まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

第2回中国四十九薬師めぐり~井原鉄道経由で備中へ

2021年07月27日 | 中国四十九薬師

備中高梁を目指す中国四十九薬師めぐり。早朝の山陽線に乗って東に進み、福山で下車。ここから福塩線に乗り換える。次は8時44分発の府中行きである。

備中高梁に行くのなら、山陽線でそのまま倉敷まで行き、伯備線の列車に乗り継げば10時13分に到着する。そこを福山で下車して福塩線に乗り継ぐのは、神辺から井原鉄道に乗るためである。これだと備中高梁着は約1時間後の11時09分だが、先を急ぐわけではないので旅程に変化をつけてみる。

今や中国地方に残るだけとなった105系の2両編成に揺られ、神辺着。次の井原鉄道の列車は9時26分発で時間があるので、乗り換え改札ではなくいったん駅の外に出てから乗り換える。神辺から先の井原鉄道の沿線にも西国四十九薬師めぐりの札所があり、またいずれこの鉄道で訪ねることもあるだろう。

折り返しとなる総社行きが到着。今回、井原鉄道のスーパーホリデーパスを使う。1枚1000円だが、神辺~総社の片道運賃が1120円だから乗り通すだけでもお得である。この日はそのまま乗り通すが、どこかで途中下車するならより一層お得だ。

1本後の福塩線の列車から乗り継ぐ客もいて、ボックス席も1つあたり1人という乗車で発車する。まずは高架区間を走って行く。2駅目の御領を過ぎると岡山県に入るが、いつの間にか県境を越えるという感じである。同じ県内でも安芸~備後は国跨ぎの様子だが、備後~備中はそれほどでもない。同じ吉備の国の流れを汲むからだろう。

会社名にもなっている井原でそこそこの乗客があり、ボックス席も賑やかになる。

早雲の里荏原に着く。早雲とは北条早雲のことで、一介の素浪人から戦国大名にのしあがった、下克上の時代を象徴する人物である。長くその出自はわからなかったが、近年の研究で、幕府の執事を務めていた伊勢氏のうち備中に移った一族がこの荏原に領地を有しており、そこから出たのが後の北条早雲だという説が有力になっている。

もっとも、早雲自身は実際に浪人生活も送っていたようだが、身内の結婚で駿河の今川氏と結びつき、これを足掛かりに伊豆、相模に進出して小田原城も手に入れた。これが後北条氏、小田原北条氏の始まりで、以後5代に渡って関東で大きな勢力を占める。現在、小田原あたりでは後北条氏を大河ドラマにとのPR活動を行っているそうだが、こちら井原も早雲の出身地として一口乗っているようだ。

その早雲の里荏原の駅東側に車庫があり、2021年の大河ドラマ「青天を衝け」のラッピング車両が停まっているのを見る。ドラマ自体は観ていないのだが、今回のテーマは渋沢栄一。それが井原鉄道に出るのはどういうことだろうか。さすがに、渋沢栄一はこの辺りの出身ではないが・・。

矢掛で下車する人も目立つ。観光地の玄関口であるし、毎月第3日曜に行われる「井原線DE得得市」の当日ということもあるだろう。

そんな中、吉備真備駅が近づく。3年前の西日本豪雨で大きな被害があった真備町で、隣の川辺宿駅までの区間、その様子を見て歩いたこともある。3年も経てば新たな道路や防災施設もできていたり、建て替えられた家もあって元の姿を取り戻したようにも見える。ただ、ところどころでは(不自然に)更地ができているし、今なお仮設住宅に身を寄せている方も県全体で600人以上いるそうだ。完全な復興はもう少し先というところだろう。

この西日本豪雨の最中に「赤坂自民亭」とかいってバカ騒ぎしてエラそーに写真を投稿していたのが、あの西村康稔である。こいつが現在新型コロナ対策担当大臣になって上から目線の指示を出すのを見るにつけ、豪雨のことを思って余計にムカつくのである。最近は五輪の影に隠れて一休みしているようだが・・・。

・・さて、それはさておき、高梁川を渡り清音に到着。倉敷・岡山方面の客は乗り換えということでほとんどの客が下車する。スーパーホリデーパスがあるし、この先備中高梁までの列車は同じなので、そのまま乗って行く。10時29分、終点総社着。

総社駅の改札にも「青天を衝け」と渋沢栄一のポスターが掲示されている。渋沢栄一は農兵募集のために井原を訪ねたことがあり、地元の剣術家や漢学者らと交流を深めたとある。その漢学者の一人だった阪谷朗廬が初代館長を務めたのが、現在は駅伝の強豪で知られる興譲館である。

総社からは10時44分発の新見行きに乗り継ぐ。2扉車の213系である。外は暑いが、ほどよく冷房が効いたクロスシート車に揺られて高梁川沿いにさかのぼる。備中高梁までといわず、この先も乗って行ってもいいくらいだ。

11時09分、備中高梁着。何度となく通っているが、駅に降り立つのもずいぶん久しぶりのことである。ともかくまずは中国薬師第2番の薬師院を目指すことに・・・。

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