1月9日、阿波海南からDMVに揺られてやって来た道の駅宍喰温泉。DMVの終点であるが、せっかくなのでこの日はここで宿泊とする。すぐの折り返しではなく海陽町で1泊することで、少しでも観光PRに応えることができればと思う。
宿泊は敷地内にある「ホテルリビエラししくい」だが、その前に道の駅をのぞいてみる。
ちょうど5年前の年末年始、四国八十八ヶ所めぐりで「四国の右下」を訪ねた時、大阪から室戸行きのバスに乗り、ここ宍喰温泉で下車した。その時、道の駅の食堂で「鰹酒盗丼」というのをいただいた。鰹の炙りに酒盗、温泉玉子を盛りつけた一品で、酒盗を丼にするとは!と思ったものだ。
今は道の駅の食堂はホテルのレストランに統合されたようだが、町のPRの拠点である。ここでまず目につくのは、元阪急、オリックス、日本ハム監督の上田利治さんのコーナー。3チームのユニフォームや監督当時の写真などが飾られている。上田さんは2017年に亡くなったが、2021年、オリックス・バファローズをパ・リーグ優勝に導いた中嶋聡監督が入団した当時の監督ということで、上田さんを取り上げる記事も目にする機会が増えたように思う。
そして海陽町が生んだスターとして、ゴルフのジャンボ尾崎こと尾崎将司を筆頭とした尾崎3兄弟がいる。学生の頃、その尾崎兄弟の勉強を上田さんが見てあげていたという逸話もあるそうだ。なお、彼らが通っていた海南高校は現在学校統合で海部高校という名称になっており、その海部高校からはソフトバンクホークスの守護神・森投手を輩出している。
道の駅にはDMV関連のグッズも並ぶ。新たな観光資源にしようという地元の人たちの意気込みがうかがえる。
さて、ホテルにチェックイン。こういうところのホテルなのでシングルルームはないが、ツインルームに1人でも泊まることができる。いやこれ、私が今住んでいる部屋より広いかもしれない・・・(家具家電がないだけにそう感じる)。
また部屋は全室オーシャンビュー。太平洋を目の前にしており、翌朝の日の出が楽しみだ。ちなみにフロントに日の出予想時刻が出ていて、1月10日は7時08分頃とあった。
夕食の前に入浴。横幅の長い大浴場が備えられていて、窓越しに海を見ることができる。日帰り入浴でも存分に楽しめるスポットだ。ただ、前に入った時は横幅がもっと長く、浴槽も深くて子どもなら泳げそうなくらいだったような気がする。日ごとで男女が入れ替わるので、それはもう一つの浴槽だったのかな。ならば翌朝に入ることができる。
この夜は2食つきプランで申し込んでおり、まず夕食である。1階のレストランに向かうが、この日は宿泊プランの客のみ利用可とあった。まずは前菜、そして造りの盛り合わせから始まる。
飲み物だが、普通の生ビールに柚子の果汁を足したオリジナルの一品をいただく。いつものビールもちょっとフルーティに感じられるもので、さすが柑橘の多い徳島~高知エリアかと思う。
私が注文したコースでは、予約時に海の幸か山の幸かを選べるようになっていた。海岸べりということで海の幸を予約したら、メインは鯛のあら炊き(ちなみに山の幸だと、阿波尾鶏の一品だったとのこと)。じっくりと調理されていて、身もよくほぐれて余すところなくいただけた。この鯛の身かどうかはわからないが、鍋物は鯛しゃぶである。鯛づくし、海鮮づくし、満足である。
ここ宍喰温泉は、国道55号線のちょうど88キロ地点に位置する。四国八十八ヶ所めぐりをする方なら宿泊でも日帰り入浴でもいいのでぜひ立ち寄ってほしいところだ。なお、道の駅から国道55号線を徳島寄りに少し戻るとセブンイレブンがある。宿での食事が不要なら、ここで調達するのが便利だろう。私も夕食前にあらかじめ部屋飲み分その他を買いに行った。
食後は、自宅より広い?部屋でのんびりと。ケーブルテレビに加入しているからか、日テレ系は地元の四国放送だが、その他は毎日放送、朝日放送、関西テレビ、そしてWBCことテレビ和歌山が映る。普段夜の番組を観ることもないのだが、この時やっていた番組の中だと、テレビ和歌山(テレビ東京系)でやっていたマグロ漁師のドキュメンタリー?番組がまだましだったかな。
そのテレビ和歌山を見ていると「紀ノ川は~今日も輝く海に~」という詞で始まる歌が流れる。画面は和歌山の名所をバックに子どもたちが映っていて、サビでは「笑顔でこんにちは~ふるさとにこんにちは~明日のため~に~」。歌っているのはコーラスの様子からしてデューク・エイセスかな。和歌山の何か公的なPR動画なのかなと思うと、最後に「合資会社湊組 株式会社湊組」という文字が出てきた。この湊組とは、和歌山を拠点として製鉄所での鋼管の運搬や沿岸荷役を行う会社だそうで、いずれにしても地元密着のCMである。このCM、イメージソングは和歌山では有名なそうで、私は初めて見たが思わず「へぇ~」となった(気になる方はYouTubeなど検索いただければ)。和歌山のCMを徳島の海南で目にするというのも、かなり遠いとはいえ対岸とつながっていることを感じさせる。
一方、テレビを消すと周囲は静かなもので、外の波の音すら聞こえてくる。ともかくここまで来てよかった。翌朝、この窓から見る朝日が楽しみである・・・。