今夜の記事は、福井県は敦賀駅前のホテルからの書き込み。
明日13日、敦賀で行われるプロ野球BCリーグ、福井ミラクルエレファンツ対富山サンダーバーズ線の観戦と、その前の敦賀の港町歩きが目的である。BCリーグの試合は16時開始のため、明日の昼前に尼崎を出発しても間に合うところであるが、ゆっくりしようということで、出張でいうところの「前泊」で敦賀にやってきた。
新快速なら大阪から2時間のところ、久しぶりにクルマを外に連れ出そうということと、敦賀の球場はクルマでなければ行けない場所ということで、今回はドライブとする。大阪から敦賀までは130kmほど。昼間に所用で大阪市内中心部におり、13時前に出たが、何も高速道路に乗らなくてもいいだろうということで、カーナビで「有料回避」を選択。
カーナビというのは頭がいいのか融通が利かないのか、大阪から敦賀に行くのに宇治や京都の伏見の狭いところを通らせる。おまけにそこが強雨の中での大渋滞と来ている。何で好き好んで「六地蔵」という駅前を通らなければならないのか。でもまあ、山科から大津に出て、湖西道路から国道161号線を走るころには、雨は強いもののクルマの量は少なくなり、結局4時間ほどで敦賀駅前に到着。
さて、港町の敦賀である。駅前通りに面した「まるさん屋」に入る。実は2週間前の総選挙前後での金沢遠征の帰りに途中下車で入ったところであるが、なかなかよいところだったため、今回はリピーターとして入店する。関西から近い北陸の港町。よろしいですな。
街の居酒屋と比べれば値段のほうは張るのでそう毎日入れる店ではないのだが、たまに出張って来る分には若狭の味を堪能できるということでお勧めである。甘エビ、鰆の炙り、「さんのじ」などの載った刺身の盛り合わせもいける。
また、若狭の名物といえば鯖のへしこ。少々塩味がきついのだが、足の速い魚を保存食として風味よく味わえる一品である。食べすぎはカラダに毒だが、鯖のへしこと地酒というのはよく合う組み合わせだ。注文した酒が永平寺近くで作られている銘柄というのも妙な感じだ。
このほかの若狭の味となれば、これからが旬の若狭ガレイ。煮付けにしてもらったが、なかなか身が厚く、食べ応えがあった。これだけのものをいただければ十分に満足である。
さて、食後は散歩を兼ねて街並みをぶらつく。まだ19時半を回ったばかりだが人通りはほとんどない。路地を入ればスナック街もあり、大陸の人と思われるホステスと同伴出勤の姿も見られるのだが、地方の港町の駅前はこんなもんだろう。
駅前から20分ほどで港に出る。目の前には「敦賀港駅」という木造駅舎。現在は北陸線と小浜線の要衝であるが、かつては大陸との連絡船も出航していたところ。鉄道の開通も早かったところで、交通に興味のある向きには結構うならされる街である。旧駅舎は観光案内所や鉄道資料館として開放されているようで、また明日の午前中に訪ねることになるだろう。
このあたりは金ヶ崎緑地として整備されており(かつては引込み線やらなにやらで殺風景だったのだろう)、ボードウォークの桟橋が延びていたり、レンガ造りの倉庫も保存されており、ムードあるところとしてデートコースには持ってこいだとは思うのだが、昼間に雨が降っていたからかどうか、カップルはおろか人の気配も感じられない。こんなものなのかな??
しばらく歩くとコンテナが積み重なる一角にやってくる。こちらはJR貨物の敦賀港駅だ。コンテナ駅を見ると、かつて通運部門としてJR貨物関係の業務に従事していたこともあり、やはり今でも血が騒ぐものを感じる。
残念なことに敦賀港駅は今年の春で貨物「列車」の運転を取りやめており、現在は「オフレールステーション」として、トラックによる代行運転が行われる基地となっている。本当はいけないのだろうが、ちょいと線路脇から身を乗り出して、少し前まで走っていた貨物列車の姿に思いをはせつつ、残された線路の感触を味わう。
敦賀港駅で思い出したこと。通運部門で働いていた時のことだからもう10年以上前の話になるが、「つるがーみなとーコンテナーです。ちゅーけーわくの件で電話しましたがー、○日の梶ヶ谷から竜王の××列車は空いてますかー」という、女性からの電話を受けることがたまにあった。「ちゅーけーわく」というのは「中継枠」のことで、要は貨物列車というのは「全国の列車の指定席をいかにつないで、コンテナ貨物を目的地の駅までレールに載せることができるか」というのが肝心で、各駅の担当者の発送担当者の多くはこの「輸送枠取り」に業務の半数以上のエネルギーを費やしていると言っていいだろう(これはJR貨物の予約システムのIT化が進んでも根本的に変わっていない)。
すべてが思い通りにルート選定ができればいいのだが、自駅からの「押し出し列車」ではなく、途中の乗り換え駅(ここで列車を乗り換えるのを「中継」という)から先の列車というのは、どこかの通運業者やJRが「指定枠」ということで「年間指定席」を持っていることが多く、「その日はその列車のルートに空きはありますか?どうですか?」ということを聞く必要がある。本数が少なく、連結する貨車の台数が少ない列車となれば全国の通運業者からその「指定席」を持っている通運業者あてに毎日のように照会の電話がかかってくる。敦賀港の場合はJR貨物が調整を行っていたようだが、その女性というのは独特のしゃべりのためか業界では「知る人ぞ知る」という方だった(とはいうものの、その人の名前が何で、どういうルックスなのかは謎なのだが)。今でも果たして現役でやっているのかな???
夜の潮風に吹かれながらしばし昔の思い出に浸り、駅前に戻る。今夜はゆっくりと大浴場につかり、明日もまた街歩きということになる・・・・。