8月のお盆シーズン。私の職場は一斉休業ではなく個人ごとで調整して夏休みを取るのだが、どの日も誰かが当番として事務所に詰めることにしている。今年8月11日に戻った山の日が木曜日ということで、暦だけ見れば飛び石連休の形である。私の場合は11日休み、12日出勤、13日休み、14日出勤、15日~17日休みというシフトを取った。新型コロナの感染確認者が増える状況で、私もこの夏に実家で両親と会うのは取りやめた。まあ、絶対にお盆に会わなければだめということでもないし、また機会を見ることにする。それもあって変則的な休みとした。
まず11日。タイトルは中国四十九薬師めぐりとしている。札所めぐりは山口県に入っていて、第24番・法瀧院、第25番・月輪寺である。このうち法瀧院は山陽線の福川から徒歩圏内。月輪寺は徳山駅から1日数本ながら路線バスが出ている。当初は、この2つの札所をセットにして周南市内1日コースをイメージしていた(厳密にいえば、月輪寺があるのは山口市の徳地地区なのだが)。
その一方で、夏の青春18きっぷを使って山口県内の乗り鉄も考えていた。注目は山口線の「DLやまぐち号」と、山陰線の「○○のはなし」。先に下関~東萩まで「○○のはなし」に乗って、東萩からすぐの連絡の路線バスで津和野まで出れば津和野~新山口間の「DLやまぐち号」に間に合い、1日でこれらの列車を体験できる。それぞれ早くから「e5489」にて指定席を押さえた。
これも含めていろいろ考えていたが、13日の予定が思わぬ形で決まったので、11日の山口行きも変更することにした。そこで思いついたのが、11日、「DLやまぐち号」に新山口から乗ること。そして津和野から折り返して山陽線に戻り、福川で途中下車して法瀧院だけお参りする。月輪寺へは日を変えることにした。「○○のはなし」も日程変更である。どういう組み合わせになったかはおいおい書くことに・・。
11日、早朝の西広島駅から山陽線の列車に乗る。この日、新山口10時50分発の「DLやまぐち号」の普通車指定席券を持っていたのだが、乗車前、席の埋まり具合を確認するために試しに「みどりの券売機」を操作する。すると、列車選択の段階でグリーン席に△印が出ていた。座席検索すると1人席に1つだけ空きがあり、迷わず購入ボタンを押した。普通車指定席は乗車前に新山口でキャンセルしよう。
「やまぐち号」のグリーン席は人気で満席のことが多く、11日発の普通車指定席を買った時も×印だったと思うが、キャンセルが出たのかな。グリーン指定席のため青春18きっぷは使えず、新山口~津和野間の正規運賃を払う必要はあるが、滅多にないチャンスなので「衝動買い」した次第である。先に書いてしまうが、これまで旧型客車を再現した普通車指定席にも何回か乗り、往年の汽車旅の風情を楽しむことができたが、グリーン指定席は展望スペースつきで、往年の上等の鉄道旅行を疑似体験することができ、これならではの乗車を楽しむことができた。一度乗ってみるとよろしいでしょう・・。
山陽線の列車は7時16分、終点岩国に到着。青春18きっぷの時季、ホーム向かいですぐ接続の下関行きに乗り継ぐ客が目立つが、私は階段を上がり、1番線から7時19分発の岩徳線経由の岩国行きに乗る。岩徳線もまだ他線区と比べてマシなほうとはいえ、路線の今後の取り扱いについて自治体との協議対象となっている路線である。山陽線と比べて徳山までの所要時間は長いのだが、この列車については、先に発車した山陽線経由の下関行きが徳山で20分以上停車し、その間にこれから乗る岩徳線の列車と徳山に着いて乗り継ぐことができる。
これから乗る岩徳線はキハ40の2両編成。山口県はまだまだ国鉄型車両が主力である。元々山陽線として建設された岩徳線だが、今は鈍行列車が細々と運行されるのみで、ボックス席を占領してのんびりと進む。欽明路越え、山並みの景色もよいものである。
周防高森で列車行き違いのために6分停車。この先も駅ごとにポツポツ乗客はあるが、全体で見ればガラガラのままである。
8時49分、徳山に到着。ホーム向かいに先に到着していた下関行きに乗り継ぐ。この時季、岩国からそのまま新山口、下関方面に乗り通す客も結構いる。今度は115系の3000番台。帰りに途中下車する福川を過ぎ、周防灘を望む区間に入る。
ふと、JRの岡山支社で行われている「おか鉄フェス」というのを思い出す。この日(8月11日)はかつての急行「砂丘」の復刻イベントということで、国鉄急行色をまとったキハ47「ノスタルジー号」が岡山~智頭間を運転した。ツアーへの申し込みが必要だったが、受付開始当日には早々に満席になった。そのこともあって「○○のはなし」「DLやまぐち号」に目を向けたこともある。
また、急行「鷲羽」が115系湘南色での復刻イベント列車として運転されるが、外観だけなら、今私が乗っている3000番台を湘南色に塗ったほうが、かつての急行型車両により似せた形にならないかと思う。もっとも、こちらは転換クロスシートで、かつてのボックス席の風情とはいかない(国鉄急行ならそちらのほうが大切な要素なのだろう)。
9時34分、新山口到着。この下関行きは10時12分まで長時間停車する。「DLやまぐち号」は10時50分発車で1時間以上待ち時間となり、次の列車で来ても間に合うのだが10分しかなく、イベント列車に乗るには慌ただしい。待ち時間も仕方ないか。
新幹線乗り場に行ってみる。この日から連休という方も多いようで利用客も多く、また1階コンコースに設けられた無料PCR検査ブースには長蛇の列ができていた。第7波に入ってからというもの、私自身は大丈夫だが職場、現場でも感染確認が相次ぎ、ともすればクラスターではないか?という案件もあった。その対応で出張したこともあったが、ここまで来ると職場で「○○さんが陽性となりました」と言ってもそれほど衝撃的には取られなくなったように思う。感染報告も事務的に処理されるようになった。
感染拡大に不安を感じる一方、慣れ(達観?)も出ているという相反する心理状況である。
「DLやまぐち号」は10時25分頃入線ということで、ホームの先に行ってみる。カメラを構えた人もちらほら。そして、山口行きの列車が出た後のホームに、DD51に押されて5両の客車が入って来る。蒸気機関車の不具合によりディーゼル機関車が代役で運転する「DLやまぐち号」、この日はDD51が牽引する。私としてはこの機関車が牽引するほうが実際の懐かしさを感じるし、またレア感ということでその筋にとってこれはこれで貴重ということで密かな人気のようだ。