7月23日、長崎でのフレッシュオールスターゲームは18時に試合開始。イースタンの先発はファイターズの高卒ルーキー・達。この試合はこの後両チームとも1イニングで投手が交代することとなる。
1回表、先頭は遠藤(タイガース)。その2球目は右中間へのいい当たり。何とそのままスタンドに入る先頭打者本塁打。ウエスタンが幸先よく1点先制。続いては渡部(バファローズ)だが、こちらは空振り三振。達は先頭打者本塁打の後は2奪三振と好投。新庄BIGBOSSへのアピールとなったか。
ウエスタンの先発はこちらも高卒ルーキーのタイガース・森木。こちらは二死から3番・梶原(ベイスターズ)のヒット&盗塁、続く有薗(ファイターズ)にも四球を与えるが、後続を退けて無失点。こちらにも大きな拍手が起こる。
2回表、先頭のバファローズ・池田が赤上(ライオンズ)からヒットで出塁。続く中神(カープ)の四球で無死一・二塁とするも、バファローズ・元が併殺打。これは残念。しかし続く藤田(タイガース)がレフトへタイムリーを放って1点追加、2対0とする。ウエスタン応援側としてはいい展開だ。
2回裏、ウエスタンのマウンドにはバファローズの宇田川。育成ドラフトで入団の2年目だが力のある投球を見せる。入江(イーグルス)にヒットを許すも、こちらも2奪三振と好投。ちなみに、宇田川はフレッシュオールスター後の後半戦に支配下登録を勝ち取った。フレッシュオールスターはこうした若手の有望株がアピールするところで、正直、この試合まで知らなかった選手が大半なのだが、数年もすれば1軍の大スターが生まれるのかもしれない。
周りには地元長崎だけでなく、それこそ関西や関東から遠征で来たと思われるファンもいるが、会話の内容も結構濃いものがある。私はビールを飲みつつそうした会話にも耳を傾け、勉強になるところだ。
3回裏にはバファローズの小木田。社会人からのルーキーで1軍登板もある。二死から梶原、有薗と連打を許し、続く山本(マリーンズ)の当たりはレフトへの大きなフライ。これを元が捕球して無失点。3回終了後にインターバルとなり、グラウンド整備とともに各チームのマスコットが登場する。
4回表、イースタンのマウンドは4人目のスワローズのルーキー・柴田。おお、私の勤務先企業出身の投手ではないか。二死から元がヒットを放つも、後続を抑えて無失点の好投である。こちらも後半戦に向けて登板機会が出るだろうか。
さすがに日の長い季節とはいえ、稲佐山をはじめとした周りの山の影も濃くなった。その合間にJR九州のCMも流れる。西九州新幹線、次の九州西国霊場めぐりで乗ってみたいものである。
追加点はウエスタン。5回表、三浦(ベイスターズ)から緒方(ホークス)、遠藤、渡部が連続出塁で無死満塁とする。ここで福元(ドラゴンズ)がレフトへのタイムリーを放って3対0。さらに一死満塁の後、代打・小林(ホークス)が犠牲フライを放って4対0。試合としてはウエスタンが有利に進んでいる。
5回裏、イースタンは福島(ドラゴンズ)を攻めて二死一・三塁のチャンスを作る。続く有薗のところで福島が暴投、1点が入る。後が続かず、4対1でウエスタンがリードして前半終了。
5回終了あたりから、イニング間に外野、特にライトスタンドが賑やかになる。プレー中は、それぞれのスタンドに応援団とまでは行かないか、ファンの有志らしき人たちがメガホンで各チームのリズムの応援を送っているのだが、イニング間に守りにつく選手がキャッチボールをすると、「ボールちょ~だ~い!」「ボールくださ~い!」という子どもたちの歓声が聞こえる。久しぶりに見る光景である。ただ、今はコロナ対策ということもあってグラウンドから選手が何かをスタンドに投げ入れるのは止められている。
後は、ファウルボールが飛ぶと子どもがエサに群がる鯉のように追いかけるシーン。これも空席のあるスタンドならではの光景である。こちらも地方球場ならではで、私も久しぶりのこの風情を楽しませてもらう。
6回表のイースタンのマウンドは直江(ジャイアンツ)。元が二塁打を放つも後続をきっちり抑える。
その裏、ウエスタンのマウンドは坂田(カープ)。育成ドラフトでのルーキーで、出場辞退者を受けての出場である。入団直後、広島のローカルニュースでこの投手を取り上げていたのを見たが、ナックルボーラーとのこと。ただこの日はコントロールに苦しんでおり、一死から代打・赤羽(スワローズ)に四球、入江がヒット、川野(ライオンズ)に四球とピンチを招く。そして迎えた池田(マリーンズ)のところで暴投・・。これで4対2。さらに池田の犠牲フライで4対3となる。
さらに、続く途中出場のウレーニャ(ジャイアンツ)のところで坂田がまたも暴投。4対4の同点となった。もっとも、後ろに座っていたファンは「キャッチャーがダメだな・・」と話をしていたが・・。キャッチャーは途中から味谷(ドラゴンズ)に替わっていたが、ひょっとしたらナックルボーラーの投球が受けにくいということもあったのかな。ともかく、前半のワンサイドから一転して試合は振り出しに戻った。
7回からは再び両チームの投手陣が踏ん張る。特に、8回裏にイースタンのマウンドに上がった廣畑(マリーンズ)は即戦力として1軍でも登板しており、相手を寄せ付けない力強さがあった。
9回表は宮森(イーグルス)が無失点に抑え、延長戦がないためイースタンの負けがなくなった。
9回裏のウエスタンのマウンドを任されたのは大道(カープ)。今季は1軍での登板はないようだが、カープでは栗林、森浦とともに即戦力として期待されていた投手。本来ならフレッシュオールスターに出ている場合ではないのかもしれない。ただこれですんなりと4対4の引き分けで終わるだろうというのがスタンドの雰囲気だった。
ただ、先頭の梶原がエラーで出塁。そして2つ目となる盗塁を成功させる。場面としては一打サヨナラ。それでも大道は有薗、山本を打ち取って二死として、三塁側、レフトスタンドからは(声は出さないが)「あと一人」の手拍子が起こる。ここで迎えた萩原(ジャイアンツ)だが、四球を選んで二死一・二塁とする。この試合で初めて、マウンドに野手陣が集まる。終盤淡々と進んだ分、9回裏で久しぶりの緊張感だ。
迎えるのは途中出場の赤羽。ここも「あと一人」、さらには「あと一球」の手拍子も起こったが、振り抜いた当たりはレフトへ。そのままスタンドに入り、何とサヨナラ3ランとなった。まさに劇的な展開、
こんな形で決着とは誰も予想していなかっただろうが、一塁側、三塁側問わず驚きと大きな拍手が起こった。
試合終了後にはヒーローインタビュー。まずは勝利監督としてマリーンズの鳥越2軍監督が登場。「すごいホームラン、やはりヤクルトは強いですね」と、現在セ・リーグを独走中のスワローズと合わせて称賛していた。
そしてお立ち台には赤羽。初めて目にする選手である。BCリーグの信濃グランセローズから育成で入団して2年目。フレッシュオールスターも新型コロナ陽性で出場辞退した別の選手の代替での出場だった。フレッシュオールスターでのサヨナラ本塁打というのは初めてのことである。
試合終了後は両チームの監督、コーチ、選手が登場して一礼。この日の観客は8000人ほどだったが、両チームの選手の頑張り、熱戦に暖かい拍手が起こった。目の前の勝負もそうだが、将来の1軍スターを目指す若手選手たちのプレーも引き付けるものがあった。
表彰式では、最優秀選手はもちろん赤羽で、賞金100万円。そして優秀選手にはウエスタンから先頭打者本塁打の遠藤、イースタンから4安打2盗塁の梶原が選ばれた。また、MVPの赤羽がこの後、見事支配下登録を勝ち取ったというニュースも入って来た。もともと、支配下登録の候補だったのかもしれないが、代役で出場したフレッシュオールスターでの本塁打が大きなアピールになったことである。スワローズのファンというわけではないが、長崎の夜に強烈な印象を与えた選手としてこれから応援することにしよう・・。
試合終了後、大橋電停から路面電車で長崎駅前に戻る。満員の電車の中に各チームのユニフォーム姿が乗り合わせるのもオールスターならではだ。
長崎駅前に到着。球場でビール他もたくさん飲んだし、この時間から居酒屋ということもなくそのままホテルの一室に収まる。翌24日は九州西国霊場めぐりの後半だが、まずは軍艦島上陸クルーズが待っている・・・。