まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

ガエルは白い闇の中

2008-12-04 | 北米映画 08~14
 「ブラインドネス」
 ブラジルの俊英フェルナンド・メイレレス監督が、国際色豊かなキャストを集めて作ったパニック映画。
 ある日突然、目が見えなくなる病が世界中に蔓延。隔離監禁された患者たちは劣悪な環境の中、悲惨なサバイバル生活を余儀なくされ...
 悲惨陰惨なんだけど、人間の生きようとする姿、欲望の力がパワフルかつ滑稽に描かれているところは、メイレレス監督の傑作「シティ・オブ・ゴッド」と共通してるかも?ほんと、追い詰められた人間、欲望に憑かれた人間って、何でもやっちゃうケダモノと化してしまうのですねえ。私ならあーはならない!と、自信をもって断言できる人はいるでしょうか...
 ありえない!と思いつつ、あんな状況に放り込まれたら?絶対絶対イヤー!!と、怖気なしで観ることはできない収容所の、阿鼻叫喚な地獄絵図!人権や尊厳など、廊下に垂れ流しなウンコ同様状態。ひ、ひどい!動物園の動物でさえ、もっと快適で心身を大事にされた生活してるよなあ。そして、動物のほうがもっと仲良く協力して生きるかも?な、恐怖と欲望でブッコワレた人間どもの争いが、目を覆いたくなるよな醜悪さです。人間って、ここまで卑劣で残酷になれるものなのか?と唖然となってしまいます。そして、生きるためにはここまで忍耐強くなれるものなのか?と驚嘆もしてしまいます。
 でもホント、目が見えなくなるなんて、考えただけでも怖い。目にしたくないもので溢れる世の中ですが、やはり視力は生き物にとって最も大切なもののひとつだ、と思い知りました。
 収容所の中も怖かったけど、ヒロインたちが脱出して飛び出した娑婆も、恐ろしいことになってましたねえ。デパートの地下で発見した食べ物をもって行こうとするヒロインに、肉のにおいがする~!!よこせ~!と、ワラワラウジャウジャと襲いかかってくる人々は、ゾンビより怖い!
 希望のあるラストでしたが、安堵というより、あのグチャグチャになった世界をどーやって立て直すか、立て直せるのか?という不安や疑念も。あんな酷い目に遭って、済んだことは水に♪と簡単には流せませんよねえ。
 いろんな国から参加した出演者の顔ぶれが、なかなかユニークです。
 ヒロイン役は、ジュリアン・ムーア。ひとりだけ目が見えるという超優位な立場にあるのに、それを悪用せずみんなを助け励ますヒロイン。その優しさと強さは、まさに戦う聖女って感じです。ジュリムーは美人じゃないけど、良い女優ですよね。スゴいソバカスに吃驚。
 ヒロインの夫役のマーク・ラファロは、濃い見た目とギャップのあるソフトな声が素敵です。脱いだら毛モジャモジャで、ほとんど原始人!
 この映画を観に行ったのは、言うまでもなくmi novio ガエル・ガルシア・ベルナル目当てさ♪
  
 きゃやっぱガエルったらmuy guapoカッコカワイイ~出てきた瞬間に、胸ドキ☆
 ロンドン仕込の英語も、相変わらず流暢で素敵。見た目はカッコカワいいガエルですが、今回は最低最悪な男の役です。ピストルを武器に、収容所で王さまになる元バーデンダー。食べ物横取り独占、欲しけりゃ金目のもんよこせ!それがなくなったら女ども肉体奉仕しろ!と、もうヤリたい放題な暴君ぶりです。サイテーなんですが、でも可愛いんですよねえガエルったら。ガエル王専属の慰みものになら、喜んでなりたいです。
 ガエル、ほんと非道い奴なんですが、役柄は悪人というより調子ぶっこいたアホって感じです。賢そうなガエルなので、ちょっと違和感がある。カツーンの連中がやれば、ぴったりな役かもしれません。ガエルよりも、もともと盲人だった爺さんのほうが、卑劣で悪辣で最低野郎だと思った。
 日本人夫婦役で、伊勢谷友介と木村佳乃が出演。伊勢谷くんは、日本語だとド大根なのに、英語だと淀みがないって感じで不思議でした。カッコいいけど、たまにふかわりょうに見えたのは私だけ?男はみんなボロボロにムサ苦しく汚れていくのに、伊勢谷くんだけは無精ヒゲも生えずコザッパリしたままなのも、ちょっと不思議でした。木村佳乃も、英語が上手で美人。菊池リン子が日本代表と思われるよりは、佳乃のほうが断然いい(少なくとも見た目は、ですが)。伊勢谷&木村ふたりとも、こまかい仕草やキャラが日本人って感じではなく、ほとんど西洋人。別に日本人を起用する必要はなかったのでは?
 あと、収容所から出た娑婆で、ジュリアン・ムーアになつく犬が、とても可愛かったです。
 
 ↑ほぼ同時期にパパとなった、大親友同士のガエルっち&ルナちん。再競演作“Rudo y Cursi”の公開が待ち遠しい!ルナちんは、来年のオスカー候補確実と評判のガス・ヴァン・サント監督作品“Milk”にも出てますね
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする