まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

これが私のセレブ道!

2009-06-15 | イギリス、アイルランド映画
 「エンジェル」
 フランソワ・オゾン監督初のコスチューム劇&全編英語作品。
 20世紀初頭のイギリス。食品店の娘エンジェルは、高貴で華やかな世界に憧れていた。出版社に送ったロマンス小説が大ヒットし、エンジェルは人気作家として富と名声を手に入れるが...
 エンジェルの作家として女としての生き様、サクセス&凋落が、なかなか興味深かったです。あれぐらい上昇志向が強くて空想(妄想?)癖があって自信満々で身勝手で傍若無人で意地悪じゃないと、面白い物語は創り出せないんだろうなあ。善い人は良い作家になれないって言われてますよね。私の大好きな女流作家の先生がたも、公私ともどもエンジェルっぽいし。
 人気作家になって女王さま化、調子ぶっこきまくるエンジェルが笑えます。ほんとヤな女なんです。才能と金にあかせて、何でも自分の意のままにしようとし、周囲に顰蹙と困惑を撒き散らしまくり。でも、見ててムカついたりイラついたりしないのが不思議。むしろ小気味良い。自分に正直なだけだから?他人を傷つけたり操りたいという邪まな欲望や悪意はなくて、あくまで自分世界でフワフワ夢のように生きていたいだけ、そのためにはいくらでも人もなげに自己チューになれるエンジェル。自分世界を死守しようとする人間(特に女)って、怖いな~と彼女を見てて思いました。
 それにしても。エンジェルの才能ってスゴいよなあ。本も読まない、人生経験もないのに空想だけで本を書いちゃうなんて。少女漫画家には、そーいう方々が多いとは聞くけど。羨ましいかぎりです。どんな経験をしても、それが何の肥やしにもならない人間からすると...
 いい男だけどダメ男に引っかかって、というのも女流作家の人生には必須条件?ですが。残念なのは、エンジェルの人生が男のせいで潰えちゃうところ。男とのドロドロも文学に昇華してしまう、現実的な強さを持ってほしかったなあ。
 オゾン監督の女性に対する皮肉な目線が、今回も心憎いです。女は性悪で愚か!と看破してるマドモワゼル・オゾンです。同じ天才ゲイ監督でも、アルモドバル姐さんは女性の強さを熱く賛美していて、マドモアゼル・オゾンは女性の性悪さを冷徹に高く評価してる、みたいな。二人とも、女を滑稽で悲しい化け物にしてるところは共通してますが、イヤな感じはしません。形は違えど、女性への敬愛が感じられるから?聖女のようなヒロインのほうが、何も分かってない!ウソくさい!と反感を覚えます。
 
 エンジェル役は、「つぐない」でブライオニーの成人期を演じてたロモーラ・ガライ。つぐないの時は、少女期のシアーシャ・ローナンが素晴らしすぎて、ちょっと印象が薄かったけど、今回はなかなかハジけちゃってるヒロインぶりでした。ラストはブっこわれちゃって(いや、始めっからビミョーにコワレてはいるけど)、「カミーユ・クローデル」のイザベル・アジャーニみたいに異様な風貌になってしまい怖かったです。
 エンジェルの夫で画家のエスメ役、マイケル・ファスベンダーが、なかなかイケメンでした。そりゃあまあ、マドモワゼル・オゾンのお眼鏡にかなうぐらいだから、ブサイクであるはずはないけど。ヴィゴ・モーテンセン+マシュー・マコノヒーを優しくした感じ?ベッドに入る時に見せる後姿のヌードが、すごくキレイだった。引き締まった美尻!それにしても彼、どっかで見たことあるなーと思ったら、ジェリーのマッスル映画「300」に出てたと判明!あの時もイケメンだな、と確か思ったはず。ブラピ&タランティーノ監督の新作「イングロリアス・バスターズ」にも出演してるらしいので、今後も要チェキな男!
 編集者役のサム・ニール、シブくて素敵なおぢさまになりましたね。若い頃よりイケてます。彼の妻役は、オゾン監督の女神シャーロット・ランプリング。出番は少ないけど、すべてを見透かしてるようなクール&ニヒルなキャラでカッコいいです。
 あと、「8人の女たち」を彷彿とさせる、衣装や屋敷の色彩の鮮やかさ、ムードとテンポの流麗さも印象的です。エンジェルが飼ってる犬&猫が可愛い!
 
 ↑ヘタな俳優より男前なオゾン監督。私生活ではムッシューにしか興味がないマドモアゼルなのが、嬉しいような残念なような
 
 
 
 
 
コメント
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