まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

刑事一代(前編)

2009-06-22 | 日本のドラマ(単発)
 渡辺謙主演の2夜連続スペシャルドラマ「刑事一代 平塚八兵衛の昭和事件史」を観ました。帝銀事件、吉展ちゃん誘拐事件、三億円事件etc.大事件の捜査に尽力した昭和の名刑事・平塚八兵衛の活躍を描いたドラマです。
 最近のTVドラマ界(邦画界もですが)は、若くてイケメンなだけ、きれいで可愛いだけで男優・女優だと名乗ってる“自称俳優”のチャラチャラしたスウィーツ学芸会ばかりで、大人の鑑賞に耐え得るドラマは絶滅状態。そのことを嘆かわしく思っていた中で観たためか、このドラマかなり強烈でした。
 内容よりも、豪華(ていうか超シブい)俳優たちの顔ぶれが素晴らしかった。自称俳優じゃない本物の役者たちの個性と演技の凌ぎを削る激突は、ヌルいユルいスウィートドラマでは決して堪能できない極上の味わい。超高級だけど油っぽすぎる中華料理、みたいでしたが。水道水やジュースばかり飲んでた喉に、いきなり強い濁酒を流しこんだ、みたいな衝撃。とにかく、普段はジャニーズやチャラいイケメン主演のドラマや映画に、おまんま食うため仕方なく出てるような役者たちが、好機!とばかりに我こそは!と本来の力量を発揮してる感じでした。男優も女優も、ハリウッドスターなケン・ワタナベが主演だろうと、そんなの関係ねぇ!と言わんばかり。演技力なら俺(私)のほうが上!あわよくば食ってやる!なギラギラぶりが、スリリングでワンダフルでした。私は、優等生的に整然としてるアンサンブル演技よりも、こーいう暑苦しいまでに激しいバトル演技のほうが好きです。重要な役だけでなく、チョイ役にまで名だたる役者を配してたところも、ほんと驚嘆感嘆!
 が。若干、トホホな出演者もいることはいた。そう、小泉孝太郎と相武紗希です。
 
 二人とも、可愛くてイヤミがないけど...何だろう?ショボいって感じ?出てきた瞬間、まだ喋ってない動いてもないのに、うわっ下手くそ!と知らしめるド大根オーラびんびん。あの出演者の中では、ほとんど素人が紛れ込んだって感じで、ちょっと可哀相だった。ショックだったのは、コータローがアイブちゃんよりヒドい?!と思えたこと。あのアイブちゃん以下だなんて、憂慮すべき深刻さだよコータロー。もう新人じゃないし30歳なのに、デビュー当時から演技的な成長がほとんどないのが、ファンとしては心配...あと、ジャーナリストの鳥越さんも、いかがなものかだった。
 やはり何と言っても、主演の渡辺謙の大熱演がドラマの白眉です。謙さん、やっぱスゴい俳優ですね。演技そのものよりも、発しているパワー&オーラが激烈。ギラギラした♂臭さも、日本の同世代の俳優にはない魅力。緒形拳の後継者は謙さん?とも思った。ただ謙さんはカッコよさを大事にしてるようなので、同じギラギラでも緒形拳のような捨て身なエロさ&生々しい業みたいなのはないけど。
 このドラマ、はっきり言って謙さんがオスカー候補になった「ラスト・サムライ」より、作品のクオリティも謙さんの演技も上だったような気がする...「バットマン・リターンズ」と「SAYURI」よりは、間違いなく上質。
 事件捜査に執念を燃やす平塚八兵衛with刑事軍団が、とにかくア・チ・チ・アチ~♪by ひろみGO 見てて胃もたれするほどギラギラ濃ゆいです。ほとんどヤーさんな迫力と凄み。まさに、血汗泥まみれの漢(おとこ)たちって感じ。荒ぶる野郎どもの男臭さ、たまりません♪
 ROUND 1 帝銀事件
 12人が毒殺された、戦後最凶事件のひとつ。横溝正史の「悪魔が来りて笛を吹く」のモデルにもなりました。毒を盛られ、うげげえ~!とバタバタ悶絶しながら絶命する被害者の姿が、悲惨陰惨非道い!ひどすぎる!まさに悪魔の仕業。平塚たちは犯人が残した名刺から、テンペラ画家の平沢貞通にたどり着く...
 平塚たち名刺班の、地道でハードな捜査が熱く描かれてます。容疑者・平沢役は、榎木孝明。台詞も出番も少ないけど、“上品な胡乱さ”をよく出してた。この事件も、謎が多くて不気味ですよねえ。平沢貞通は冤罪、という説が圧倒的だし。死刑執行もされず、100歳近くまで獄中で生きた平沢貞通の人生も悲劇的。某音楽プロデューサーは、平沢の息子だとか?確かに似てる...
 平沢の娘役で、ハリセンボンのはるか?かと思ったら、貞子こと木村多江だった。若い刑事役の池内博之、刑事にしてはエロすぎる♂フェロモン。ハンチング帽が可愛かった。捜査会議で平塚と衝突するベテラン刑事役、渡辺哲がド迫力で怖かった~!チョイ役の長門裕之、洋子も呆れそうな半ボケ老人役でした
 ROUND 2 警備員殺人事件
 有楽町そごうで、警備員が殺害される。平塚は相棒となった石崎とともに、容疑者・森川を追いつめてゆく...
 
 石崎役の高橋克実、こんなに素晴らしい役者だったとは!味のある野郎キャラが素敵だった。演技だけでなく、見た目もイケてて萌えまくりました。日本一男前なハゲ男かも♪
 森川役の杉本哲太も好演。犯人にされかける男、誰?!かと思ったら、宍戸開だった。若い頃と別人のように太ってて唖然。インパクトある見た目です。チョイ役の森次晃嗣と根岸季衣もいい味。
 
 瞠目させられたのは、森川の妻役の余貴美子。彼女、やっぱ卓越した女優ですよねえ。大げさな熱演なんかしないのに、視線クギづけにしちゃう。長まわしで映されるアップ、じわじわと現れる極限の感情が圧巻だった。「オリエント急行殺人事件」でオスカーを獲ったイングリッド・バーグマンを彷彿とさせた余さんです。
 後編は、平塚八兵衛最大のヤマ。そう、吉展ちゃん誘拐事件です。このスペシャルドラマにとっても、最大の見せ場となってます。あの俳優が、謙さんを凌ぐような名演を披露してます。
 そうそう。顔も演技も熱すぎて怖いけど、何かトボけた感じの訛り(栃木弁?)は、何か可愛い謙さんです。
 
コメント (7)
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