まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

熱い心クサリで繋いでも

2013-04-08 | 北米映画 08~14
 さっきTVをつけたら、ニュースでマーガレット・サッチャーさんが亡くなったとの訃報が。
 サッチャー女史といえば、英国初の女性首相。強硬な政治姿勢で“鉄の女”と称されていた女傑。強く賢い才媛、まさに私とは真逆な女性だったサッチャーさん。生まれ変わったら、私も彼女のように強く賢い人になりたい、けど…あまりにも強く賢いと、幸せになれそうにないような気もします。
 享年87歳。ご冥福をお祈りします…
 エリザベス女王が心配になってきた…

 「ジャンゴ 繋がれざる者」
 クエンティン・タランティーノ監督、待望の新作をついに観ることができました。
 南北戦争直前のアメリカ南部。奴隷のジャンゴは、バウンティハンターの歯科医シュルツと出会い、彼と共に指名手配の悪人どもを追うように。愛する妻が農園主カルヴィンに買われたことを知ったジャンゴは、シュルツの協力を得て妻を救出すべくカルヴィンのもとへ向かうが…
 タラちゃんが今回選んだのは、意外にも西部劇。でもバリバリのタラちゃん調ウェスタンです。正統派西部劇がお好きな方が観たら、こんなの西部劇じゃないー!と憤怒するかも?私はウェスタンをほとんど観たことがなかったので、相変わらずブっとんだ、でもよく練られたハチャメチャぶりを楽しむことができました。
 銃弾爆弾が飛び交い、血しぶき肉片がコレデモカ!と画面を赤く染める怒涛の阿鼻叫喚ヴァイオレンスワールド。過激で非道い、けど何か笑える暴力シーンがタラちゃん映画のお約束なのですが、今回は特別エグくてキツかったような。奴隷を犬に襲わせて食い殺させるシーンとか、さすがの私も目を覆いたくなりました。虫ケラのようにジャンジャカ簡単に人がブっ殺されてしまうノリ、私は正直苦手なので…でも、ぶっ殺される奴らはみんな悪人なので、まるで北斗の拳ちっくな痛快さはあります。
 ヴァイオレンスは苦手、でもタラ映画が大好きなのは、ナンダカンダですごく面白いから。2時間30分ぐらいある上映時間も苦にならない。集中力のない私にとっては、とても稀有なことであり、ありがたいことでもあります。ありえねー!と呆気にとられてしまう、もしくは笑ってしまうトンデモシーンや、問答無用にグイグイとノせてしまうパワーフルなストーリーテリングは、毎度ながら素晴らしいです。絶体絶命な展開の巧みさときたら。アカデミー賞脚本賞受賞も納得です。そして、映画ファンの心をくすぐる味わいも、タラちゃんの魅力でしょうか。どこかノスタルジックな音楽やムードと、現代風なスタイリッシュアクションの融合も楽しい映画でした。強いて不満な点をあげれば、いつもよりお笑い要素が薄かったこと、かな。日本文化、邦画への敬愛にあふれてた「キル・ビル」や、ナチスを思いっきり笑いものにしてた「イングロリアス・バスターズ」みたいな、突き抜けすぎた珍妙さが好きなんです。
 タラちゃん映画の成功は、その独特すぎる演出や脚本のおかげですが、キャスティングの大胆さ絶妙さによるところも大きいのではないでしょうか。実力派俳優たちが、その卓越した演技力と強烈な個性でしのぎを削ってるところも、タラちゃん映画の醍醐味のひとつです。今回のキャストも、ノリノリで鬼気迫ってました。

 主人公ジャンゴは、オスカー俳優のジェイミー・フォックス。静かに怒りの炎をメラメラ燃やしているような、クールで男気のあるジャンゴをカッコよく好演してます。初めて彼が男前に見えました。ボカシ入りの逆さ吊り全裸拷問シーンなど、並々ならぬ役者魂でした。サングラス(あの時代には、もうあったの?!)が小粋でした。聞くところによると、ジャンゴ役は当初ウィル・スミスにオファーされたとか?ウィル・スミスのジャンゴも見てみたかったかも。
 ドクター・シュルツ役のクリストフ・ヴァルツは、「イングロリアス・バスターズ」に続いてのタラちゃん映画出演。しかも前作同様、アカデミー賞助演男優賞を受賞!野獣のような荒れくれ野郎ばかりがひしめく中、知的で紳士的な物腰をしつつ、狙った獲物を正確冷酷に倒すスゴ腕賞金稼ぎを、ユーモアいっぱい飄々と演じて、異彩を放ち目立ちまくってたヴァルツ氏。イングロリアスの時と同じですね。脇役なのにほとんど主役化、他の俳優たちを食いまくってました。ヴァルツさんのような役者って、共演者にとっては(特に主演スターにとっては)かなり脅威な存在なんだろうなあ。でも、俺は演技派だ!ハリウッドのスターたちを食ってやる!かすませてやる!みたいな気炎や気迫など、微塵も感じられないところに好感。力みがなく軽やかなのに、はっと目を奪う瞬間の多い演技が素晴らしいです。まあ、卓越した演技力もさることながら、役が美味しいというのも事実。ジャンゴに対するドクター・シュルツの父性的な優しさは、なかなか感動的でした。
 極悪農園主カルヴィン・キャンディ役は、レオナルド・ディカプリオ

 狂気じみた役はオハコなレオですが、悪役は初めて?タイプキャストを嫌い、すぐれた映画、面白い役なら脇役でも汚れ役でも引き受ける、という挑戦心は尊敬に値します。今回は、上手にキャリアを積み、大スターへと成長したレオの余裕を感じました。彼の少年時代からのファンとしては、恰幅よく貫禄も出てきたレオの現在に、ほんと隔世の念を感じずにはいられません。おっさんになったけど、やっぱ可愛いですよね。個性的な可愛いおじさんになってます。タイタニックの頃より、私は今のレオのほうが好き。デカくなった顔も好き。

 可愛いけどプッツンしたらヤバすぎキャラに変貌する、というのが若い頃からのレオが最も本領発揮できる役です。今回も、鬼の形相が恐い。悪い男というより狂ってる男って感じだったけど。怖いけど、やっぱ可愛いんですよねえ。機嫌がいい時の無邪気なニコニコ顔とか、癒されるわあ。悪魔のような男を怪演してるレオの、憑かれたような演技に圧倒されます。割れたグラスの破片で手が血だらけになるシーンがあるのですが、あれは本当に手を切ったんだとか。それでも演技を続けたというレオ、役者ですねえ。役に入ってたら痛さなんて忘れちゃうんですね。

 カルヴィン家の執事役、サミュエル・L・ジャクソンの黒執事っぷりも強烈。早くこいつ殺して!とイラっ&ムカっとさせまくるジジイを、憎々しく陰険に演じてたサミュエルおじさんでした。
 ジャンゴの妻役、ケリー・ワシントンの、いっそひと思いに殺されたほうがマシ!な、非道い目に遭いまくりな悲惨な姿もインパクトあり。
 当時の、黒人への犬猫、家畜以下な扱いには唖然とさせられます。過去のこととはいえ、現在の黒人がこの映画を穏やかな気持ちで観たり、心から笑ったりすることはできないのでは…ろくでもない白人どもが殺されまくる展開に、ざまぁ!と溜飲をさげるのだろうけど…

 ↑来日もしてくれたレオ。「華麗なるギャツビー」も近日公開!俳優休業宣言はガセだと判明し、ホっとしました♪確かにワーカホリック気味だったので、ちょっと充電が必要かもね。グレードアップして戻ってきてくれ! 
 
コメント (6)
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