もう廃人かもしれない~♪(菊池桃子の「もう逢えないかもしれない」調)
またやっちまっただよ…携帯電話、また置き忘れ今年で3度目バス、電車に続いて、今度は映画館に。こないだ久々にレイトショー観に行ったのですが、家に帰ったら携帯がなくてOh, my god!Again?!Shit!You're fucKing asshole!!と口汚く自分自身を罵りました。
携帯電話を落としたり置き忘れたりは、誰もがすることとは思うけど…やっても人生で1度か2度程度じゃないですかフツーは。でも私、わずか数か月の間で3度も。これって、笑止な異常事態ですよね…
置き忘れはするけど、落とした場所の見当はつく、必ず出てくる、戻ってくるというのが、せめてもの幸い。でも、そのうち一度失ったら二度と取り戻せないものを失くしそうな予感に怯える春の夜です…
「鬼龍院花子の生涯」
大正から昭和にかけての高知・土佐。侠客を自称する鬼龍院政五郎の養女となった松恵は、政五郎を取り巻く男女の愛憎を見つめながら成長するが…
私、70・80年代の邦画が大好きなんですよ。内容も演出も映像も男優も女優も、すべてが濃くて熱い。今の毒にも薬にもならないTVドラマの延長、素人同然な学芸会には、いささかウンザリ(しつつ、イケメン目当てで観てますが♪)。
先日他界した宮尾登美子の小説の多くは映像化されていますが、中でもいちばん有名なのはこの映画なのではないでしょうか。ヒロインの台詞『なめたらいかんぜよ!』は、当時流行語にもなりました。
戦前の土佐を舞台に、任侠に生きる男と彼を取り巻く女たちの激情人生を描いているのですが…こんなことホントにやってたの?!と、お口ぽか~んとなってしまうほどのハチャメチャさは、ほとんどギャグの域に達していて笑えます。やーさんたちが、戦国武将のような殺し合いしてたり。全体的にノリが劇画調で、クレイジーなハイテンションさ。みんな大真面目に血と汗と涙にまみれて大暴れしてるんです。あの元気さは、無気力な今の時代に必要かもしれません。
営業上の理由から、公開当時は女性が主人公の文芸作品として宣伝したらしいけど、中身はかなり往年の東映ヤクザ映画色が強い濃ゆいです。男も女も悲惨で非道な任侠ワールドなのに、暗澹となったり深く考えたりさせない怒涛の展開に目がクギづけです。いろんな意味で、突き抜けてる感がハンパない。「吉原炎上」とかもそうでしたが、この型破りなぶっとび感が、五社英雄監督にファンが多い理由でしょうか。コアなカルト人気を誇る吉原炎上とか、生気のかけらもないゆとり世代の連中にとっては、あまりにも激烈すぎてゲロゲロもののホラー映画になってしまう。以前、録画してた吉原炎上の、あの有名なシーン(西川峰子のココ噛んで|~!!のシーン)をピーターに観せたら、吐きそう…気分が悪くなりました…とガチで青ざめてたしこれだから、ゆとりって!ちなみに五社監督はこの映画の大成功で、同じく宮尾先生の「櫂」「陽暉楼」も映画化してます。
この映画、キャストもコッテリ特濃で味わい深いんですよね~。
主人公の鬼政役は、黒澤監督作品でもお馴染みの名優、仲代達也。まさに狂犬、凶犬、やることなすことメチャクチャなんですけど、何か憎めないところもある鬼政を、ダイナミックに激演してます。今の俳優にはない濃さ、迫力に圧倒されます。でも仲代氏、あまりにも何もかもが尋常じゃなさすぎて、もう怪人の域に達しちゃってるんですよね~。オーバーアクションが笑えるんですよ。笑いを狙ってるとしか思えないんです。男の色気とか哀愁なんか、もう吹っ飛んでしまってます。緒形拳とかだったら、もっとエロくて非情な野獣になってたかも。
そして、この映画といえば。夏目雅子は今や、伝説として語られているヒロインですよね。
夏目雅子、う、美しい…清らかで優しそうで、それでいて匂いたってる女の色香。美しいだけでなく、女優としての気概、挑戦心も素晴らしい。聖女と烈女のふたつの顔をもつヒロイン松恵を、たおやかに、かつ情熱的に熱演していて、映画を自分のものにしきっています。20代であの女優魂は、ほんと驚異的。まさに全身全霊映画女優の美しさと気迫。当時の彼女と同世代の今の女優なんて、女優とはとても呼べない薄さ、つまらなさですよね。瞠目させられるシーンは多いのですが、特に鬼政に強姦されそうになるシーンであらわになる肌には、男じゃなくてもドキっとさせられます。有名な『なめたらいかんぜよ!』とタンカを切るシーンの彼女の、凄絶でありながらはかなくもある美しさ!まさに美人薄明を地でいってしまった夏目雅子。かえすがえす、早世が惜しまれる女優です。もし生きてたら、きっと吉永小百合以上の大女優になってたことだろうなあ。
鬼政の妻役、岩下志麻も強烈。後年、五社監督の代表作となった「極道の妻たち」に先立つ極妻っぷりも必見です。子役時代の仙道敦子の凛とした可憐さ、演技力の高さにも驚嘆。夏木マリや佳那晃子らの大胆なヌード、艶技も、今のオコチャマ向け、ジジババ向けの邦画では味わえない濃厚なエロティシズム。男優も、夏八木勲や綿引勝彦のシブい男気っぷり、室田日出夫や成田三樹男の存在感、そして丹波哲郎御大の貫禄あるラスボスっぷり。ベテランや当時男ざかりだった円熟の男優がひしめき合ってるところも、この映画の大きな魅力です。端役で、役所広司や益岡徹も出てます。アゴ&キンゾーとかも出てて驚きました。
またやっちまっただよ…携帯電話、また置き忘れ今年で3度目バス、電車に続いて、今度は映画館に。こないだ久々にレイトショー観に行ったのですが、家に帰ったら携帯がなくてOh, my god!Again?!Shit!You're fucKing asshole!!と口汚く自分自身を罵りました。
携帯電話を落としたり置き忘れたりは、誰もがすることとは思うけど…やっても人生で1度か2度程度じゃないですかフツーは。でも私、わずか数か月の間で3度も。これって、笑止な異常事態ですよね…
置き忘れはするけど、落とした場所の見当はつく、必ず出てくる、戻ってくるというのが、せめてもの幸い。でも、そのうち一度失ったら二度と取り戻せないものを失くしそうな予感に怯える春の夜です…
「鬼龍院花子の生涯」
大正から昭和にかけての高知・土佐。侠客を自称する鬼龍院政五郎の養女となった松恵は、政五郎を取り巻く男女の愛憎を見つめながら成長するが…
私、70・80年代の邦画が大好きなんですよ。内容も演出も映像も男優も女優も、すべてが濃くて熱い。今の毒にも薬にもならないTVドラマの延長、素人同然な学芸会には、いささかウンザリ(しつつ、イケメン目当てで観てますが♪)。
先日他界した宮尾登美子の小説の多くは映像化されていますが、中でもいちばん有名なのはこの映画なのではないでしょうか。ヒロインの台詞『なめたらいかんぜよ!』は、当時流行語にもなりました。
戦前の土佐を舞台に、任侠に生きる男と彼を取り巻く女たちの激情人生を描いているのですが…こんなことホントにやってたの?!と、お口ぽか~んとなってしまうほどのハチャメチャさは、ほとんどギャグの域に達していて笑えます。やーさんたちが、戦国武将のような殺し合いしてたり。全体的にノリが劇画調で、クレイジーなハイテンションさ。みんな大真面目に血と汗と涙にまみれて大暴れしてるんです。あの元気さは、無気力な今の時代に必要かもしれません。
営業上の理由から、公開当時は女性が主人公の文芸作品として宣伝したらしいけど、中身はかなり往年の東映ヤクザ映画色が強い濃ゆいです。男も女も悲惨で非道な任侠ワールドなのに、暗澹となったり深く考えたりさせない怒涛の展開に目がクギづけです。いろんな意味で、突き抜けてる感がハンパない。「吉原炎上」とかもそうでしたが、この型破りなぶっとび感が、五社英雄監督にファンが多い理由でしょうか。コアなカルト人気を誇る吉原炎上とか、生気のかけらもないゆとり世代の連中にとっては、あまりにも激烈すぎてゲロゲロもののホラー映画になってしまう。以前、録画してた吉原炎上の、あの有名なシーン(西川峰子のココ噛んで|~!!のシーン)をピーターに観せたら、吐きそう…気分が悪くなりました…とガチで青ざめてたしこれだから、ゆとりって!ちなみに五社監督はこの映画の大成功で、同じく宮尾先生の「櫂」「陽暉楼」も映画化してます。
この映画、キャストもコッテリ特濃で味わい深いんですよね~。
主人公の鬼政役は、黒澤監督作品でもお馴染みの名優、仲代達也。まさに狂犬、凶犬、やることなすことメチャクチャなんですけど、何か憎めないところもある鬼政を、ダイナミックに激演してます。今の俳優にはない濃さ、迫力に圧倒されます。でも仲代氏、あまりにも何もかもが尋常じゃなさすぎて、もう怪人の域に達しちゃってるんですよね~。オーバーアクションが笑えるんですよ。笑いを狙ってるとしか思えないんです。男の色気とか哀愁なんか、もう吹っ飛んでしまってます。緒形拳とかだったら、もっとエロくて非情な野獣になってたかも。
そして、この映画といえば。夏目雅子は今や、伝説として語られているヒロインですよね。
夏目雅子、う、美しい…清らかで優しそうで、それでいて匂いたってる女の色香。美しいだけでなく、女優としての気概、挑戦心も素晴らしい。聖女と烈女のふたつの顔をもつヒロイン松恵を、たおやかに、かつ情熱的に熱演していて、映画を自分のものにしきっています。20代であの女優魂は、ほんと驚異的。まさに全身全霊映画女優の美しさと気迫。当時の彼女と同世代の今の女優なんて、女優とはとても呼べない薄さ、つまらなさですよね。瞠目させられるシーンは多いのですが、特に鬼政に強姦されそうになるシーンであらわになる肌には、男じゃなくてもドキっとさせられます。有名な『なめたらいかんぜよ!』とタンカを切るシーンの彼女の、凄絶でありながらはかなくもある美しさ!まさに美人薄明を地でいってしまった夏目雅子。かえすがえす、早世が惜しまれる女優です。もし生きてたら、きっと吉永小百合以上の大女優になってたことだろうなあ。
鬼政の妻役、岩下志麻も強烈。後年、五社監督の代表作となった「極道の妻たち」に先立つ極妻っぷりも必見です。子役時代の仙道敦子の凛とした可憐さ、演技力の高さにも驚嘆。夏木マリや佳那晃子らの大胆なヌード、艶技も、今のオコチャマ向け、ジジババ向けの邦画では味わえない濃厚なエロティシズム。男優も、夏八木勲や綿引勝彦のシブい男気っぷり、室田日出夫や成田三樹男の存在感、そして丹波哲郎御大の貫禄あるラスボスっぷり。ベテランや当時男ざかりだった円熟の男優がひしめき合ってるところも、この映画の大きな魅力です。端役で、役所広司や益岡徹も出てます。アゴ&キンゾーとかも出てて驚きました。