まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

有閑ゲス倶楽部

2020-09-03 | イギリス、アイルランド映画
 「ライオット・クラブ」
 オックスフォード大学に入学したマイルズは、上流社会の生徒だけが集うライオット・クラブへの加入を許される。超エリートであるクラブのメンバーたちは、家柄や金にものを言わせて傍若無人に振る舞っていたが…
 イギリスの上流階級を描いたドラマや映画が大好きです。時代劇にしろ現代劇にしろ、私のようなワーキングプアからすると異次元のライフスタイルや価値観、そして優雅で冷ややかな欺瞞と偽善は、高価な美酒のように私を酔わせます。でもこの映画のスノッブたちは、ただもう不愉快で腹が立つだけでした。イギリスのアッパークラスの気位や傲慢さって、あくまて美しい慇懃無礼さや慎みでオブラートに包まれてるから素敵なのに、この映画のガキどもときたらやることなすことゲスでクズで、まるで韓国の財閥や成金のバカ息子と同レベルな民度の低さ。憧れてしまう点がまったくなくてガッカリ。

 世界でも随一のエリート予備軍が、傍若無人なおふざけ、どんちゃん騒ぎにうつつを抜かす、その低能で下劣な内容にドン引き。百歩譲って、自分たちだけでバカやってりゃまだ嗤って許せるのですが、ものすごい顰蹙や迷惑を世間にまき散らすのが見るに堪えなかった。こんな愚かな若造どもが将来、英国の政治や経済を担うことになるなんて。にわかには信じがたかったです。世の中に出て注目されるようになるともうバカできないので、今のうちにとモラトリアムを楽しむのは理解できるが、いくら何でもライオットクラブの連中のお楽しみは度が過ぎてる。器物破損だけで一般人なら逮捕されます。

 下級国民に迷惑をかけても、彼らが不利益をこうむっても、いや、彼らが生きようが死のうが俺らには関係ない、俺らは何しても許される、という選民意識に虫唾が走りました。ただ単に名家、金持ちに生まれただけの中身カラッポなガキたちが、一生懸命生きてる庶民を見下し犬猫のように扱い、挙句の果ては傷つける姿は、英国のみならず日本にもある格差社会ともカブりました。日本だって、言動に選民意識がにじむ政治家や芸能人、有名スポーツ選手、いっぱいいますし。コロナ禍でそれはいっそう明白になった。我慢したり謝ったりするのは庶民のすること、上級国民の彼らは沖縄でクルージングしようが夜遊びしようが未成年と淫行しようが、全然OKなんです。

 後半のクラブ会合を開いたパブでの乱痴気、からの恐ろしい事件発生、罪のなすり合い、そして彼らに下される処罰、すべてがあまりにも庶民を軽んじてる、あまりにも非道い格差の現実に愕然、暗澹となりました。あんなことをしておいて、ほぼ無傷なライオットクラブ。決して美しくない上流社会の人々、格差社会の理不尽さ、苦さを描くことがこの映画のテーマだったのでしょうか。イートン校とかハロウ校、ウェストミンスター校など、有名なパブリックスクール出身によるシビアな学歴ランク付け、マウンティングもイギリス上流社会らなでは。最近の英国高学歴スターといえば、エディ・レッドメインとかトム・ヒドルストンとかでしょうか。天は与える人にはたくさん与えるんですよね~。私なんか一つもない(泣)不公平!

 内容はムカっとイラっとするだけなのですが、ライオットクラブのメンバーを演じたイギリスの若手俳優たちのイケメンぶり、そしてゲス&クズ演技は、英国映画ファンにとっては必見かも。主人公のマイルズ役は、名優ジェレミー・アイアンズの息子マックス・アイアンズ。パパみたいな退廃的美男ではなく、素朴でフツーっぽい風貌。優しそうなイケメンです。マイルズを目の敵にするアリステア役は、もう映画ファンにはおなじみな顔になってるサム・クラフリン。偏屈で打算的でイケズな男子を憎々しくも、どこか寂しげに好演してました。どんな役でもイケメンっぷりは不変。

 いちばん目を惹いたイケメンは、最も裕福で高貴な家柄の子息ハリー役のダグラス・ブース。初登場シーン、フェンシングの面をとって顔を見せる彼、キラキラすぎてまさに少女漫画だった!すごい美男子!でもゲス&クズ度はクラブのメンバー屈指もっともMYタイプだったのは、マイルズをクラブに誘うヒューゴ役のサム・リード。「セリーナ」でも脇役ながらイケメンでしたが、今回は落ち着いた大人の雰囲気、そして明らかにマイルズに友情以上の感情を抱いてる目つきや仕草が妖しく、腐は彼の一挙手一投足が気になって仕方なくなります。

 その他にも、どこかで見たことがある男優女優が何人も出演してます。クラブのメンバーでギリシア系のディミトリ役は、「ジョン・F・ドノヴァンの死と生」で成長した主人公役だったベン・シュネッツァー。クラブの会長ジェームズ役は、エドワード・フォックスの息子フレディ・フォックス。マイルズの彼女役は「チャタレイ夫人の恋人」でヒロイン役だったホリデイ・グレンジャー。ハリーが雇う娼婦役は、The Tudorsでアン・ブーリンを演じたナタリー・ドーマー。「ハワーズ・エンド」では美青年役、今は熟年バイプレイヤーなサミュエル・ウェストが大学教授役で顔を見せてます。
 英国イケメンたちのファッションも見どころ。カジュアルな服装も、どこかやはり品も趣味も良くて素敵。男性アイドルのステージ衣装みたいなクラブの正装もカッコよかった。歴史と伝統を誇るオックスフォード大学の学舎やキャンパス風景、郊外の美しい自然など、イギリス好きにはたまらないシーン満載です。

 ↑ イギリス俳優って、ほんといいですね(水野晴朗調)!近いうちにまた英国俳優映画祭しよっかな~☕
コメント (2)
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