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下村湖人『次郎物語・第一部』

2006-11-03 16:40:51 | ノンジャンル
 今日は久しぶりに本についてのお話です。
 山田詠美さんが対談の中で言及されていた「次郎物語・第一部」を読みました。おそらく小学生の時に読んだ時以来の再読です。
 あらすじは、以下のようなものです。
 次郎は本田家の3人の男の子の次男として父俊亮と母お民の間に生まれます。生まれるとすぐ校番をしていたお浜夫婦のところへ里子に出され、かわいがられて育ちます。ある程度大きくなった頃、本田家に戻されますが、母お民は長男と三男を甘やかし、次郎にだけつらくあたります。反抗心の強い次郎はいろんな事件を起こしますが、父俊亮はおおらかに次郎を受け止めてやります。そんな折り、学校の建て替えに伴い、お浜夫婦は炭坑街へ引っ越してしまい、本田家も財政的困難から家を売り、街で酒屋を営むことになり、次郎は母方の実家正木の家で生活することになります。正木の家では祖父祖母夫婦、おばさん、従兄弟達に親しくさせてもらいますが、叔父さんにはつらく当たられます。しばらくして次郎が10歳になった頃、母のお民が結核にかかり、正木家に療養にやってきます。次郎は母の看病をし、母は「子供はただかわいがってやればいいのね」と最後に悟り、次郎に過去辛くあたったことを謝り、亡くなります。次郎は、すべての人を優しい気持ちで見ることができるようになった気がして、今までの人生を振り返るのでした。
 山田詠美さんがどのような文脈でこの少年向け小説に言及したのだったか忘れてしまいましたが、いじめられて反抗的だった主人公が、人の情けに触れていくうちに、素直に人に優しくすることを学んでいくということが、現代社会の子供を取り巻く状況にもあてあまるのではないか、だから今こそ「次郎物語」を復権させていこう、ということだったのだと思います。自分が幼い頃に読んで、もう内容も忘れてしまったという方、再読してみるのも面白いですよ。