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ヴィム・ヴェンダース監督『ランド・オブ・プレンティ』

2006-11-18 16:48:41 | ノンジャンル
 一時遠ざかっていたヴィム・ヴェンダース監督の映画を久しぶりにWOWOWで見ました。'04年作品の「ランド・オブ・プレンティ」です。
 舞台はアメリカの中部。ベトナム戦争の悪夢から抜けだせず、9・11の同時多発テロから、テロリスト退治に乗り出した男。彼は大きなバンを改造し、周囲を監視し、完全武装できるだけの武器も車の搭載しています。そんな彼のところへ、ヨルダン川西岸から妹の子供(といっても、年頃の娘)がやってきます。彼女は教会で働くようになりますが、そんな折り、男が前から目をつけていたアラブ人が彼の目の前で殺され、彼はそのアラブ人が死ぬまぎわに言った地名を手がかりに、テロリストの探索に向かいます。そこは、貧乏な人々が暮らすキャンピングカーのプールで、死んだアラブ人の親類はテロリストとは何の関係もない人でした。彼は途方に暮れ、姪と話をします。ベトナムのこと、同時多発テロのこと。すると姪は、同時多発テロの映像がヨルダン川西岸で流された時、民衆は喝采の声を上げたことを話します。男は「そいつらはテロリストか?」と聞きますが、姪は「一般の人々よ。そこが悲しいところなのよ。皆、アメリカのことを憎んでいるのよ」と話します。男には、そのことが理解できません。目的を失った男と憎しみの連鎖を止めたいと思う姪は、二人バンに乗り、どこへ続くのか分からない道を進んで行くのでした。
 途中までは、男の異常さが目を引きますが、死んだアラブ人の親類と話をするあたりから、人間性を取り戻し、最後の姪との会話で本来の心を取り戻します。
 同時多発テロ以降のアメリカを描いた一本の映画として、見る価値はあると思います。