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高野秀行『怪しいシンドバッド』

2008-08-03 15:36:01 | ノンジャンル
 高野秀行さんが'97年に出した「怪しいシンドバッド」を読みました。
 前半は、今までに本に書いてきた旅での短いエピソード集、後半は、これまで書かれてこなかった3つの旅についての中編です。
 前半でのエピソードは今までの本でも紹介されていたものと重複したものもありましたが、面白かったのは、ミャンマーで会った穏やかな老人が、後で実は麻薬ビジネスを牛耳り、人殺しを平気で行なう皆から恐れられている超大物だと知った話、紀元前に徐福という人物が3000人を連れて中国から日本にやってきて、日本の文化をほとんど作っていったという説があるという話、中国の田舎では嫁不足のため、もっと田舎から誘拐されてきた娘を買って嫁にしているという話、中国で人間の胎盤を漢方薬として餃子にして食べているという話などです。
 後半では、精神に不思議な作用を及ぼすという秘薬「ヤヘイ」を求めて、政府軍と麻薬マフィアの全面戦争が行なわれているコロンビアに行き、アマゾンの原住民の村で「ヤヘイ」を体験し、すごい幻覚を味わうという話、少数民族である客家族の独特の家・土楼(4,5階建てのアパートをドーナツ型にしたような建物)を見に行き、中国の近現代史の重要人物のほとんどが客家族の出身であることを知るという話、中国で野人を目撃したというニュースを聞き、目撃された場所に行き、実際に見た人に話を聞きに行く話が紹介されていました。
 高野さんの本を読んでいつも感心することですが、現地の言葉を話せるようにするのに骨身を惜しまないことがあります。大学生の時に初めて海外の辺境への旅としてコンゴに行く訳ですが、ここでも公用語のフランス語以外に、ちゃんとコンゴの原住民の言葉を大都市で習ってから現地に入っていて、それ以後も日本で学べる言語であれば日本で勉強し、学べない言語であれば現地に行き言葉をある程度話せるようになってから目的地に行っています。おそらく現在は10カ国語以上話せるようになっているのではないでしょうか? その命知らずの旅ぶり、自分を客観的に見て書かれる文章の面白さは小説を読んでいるようで楽しめます。世の中のまだ知らぬ面白い事実を知りたい方にはオススメです。