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高野秀行『異国トーキョー漂流記』

2008-08-05 18:29:00 | ノンジャンル
 高野秀行さんの'05年に出された「異国トーキョー漂流記」を読みました。この本は、日本で知り合った8人の外国人について書かれた本です。
 1人目は、著者が立案したコンゴ行きのためにフランス語を習おうと声をかけた、京王線の車内でフランス語の本を読んでいたシルヴィというパリジェンヌ。彼女は大学卒業後アフリカをバイクで縦断し、「青い種族」という異名で知られる砂漠の遊牧民と3ヶ月をともにし、インドにも1年滞在して、暗黒舞踏を習うために日本にきていたのですが、結局現実の世界に戻って、パリで普通に仕事をするようになるのでした。
 2人目は、著者がコンゴ流域で話されているリンガラ語を学ぶために探し当てたザイール大使の息子ウイリー。彼はマイケル・ジャクソンに似ていると日本で言われたため、日本でアメリカ人として歌手デビューするために英語を習うというふざけた人間で、贅沢な生活を送っているのですが、ザイール大使館は電話代にも事欠く貧乏大使館であることが書かれています。
 3人目は、著者がスペイン語を教えてもらった天真爛漫なスペイン人のパロマ。著者は気持ちが離れつつある彼女をつなぎ止めるために、おっちょこちょいで世話焼きなパロマに、彼女と一緒にスペイン語を習いに行きます。
 4人目は、コンゴ人のインテリ男性ドンガラさん。著者は彼と一緒にタイ人の溜まり場や、京都・奈良に行き、著者が書いた推薦書によってドンガラさんがアメリカに移住できたことが語られます。
 5人目は、著者がギリシャから帰る飛行機で著者の隣に座った、野性味あふれるペルー人ウエキ。彼が500ドルしか持ってなくて北海道の知人の家に行くというので、著者は彼の面倒を見てやりますが、結局彼が悪徳斡旋業者に騙されたことが分かり、就労ビザが取れなかったことが語られます。
 6人目は、大連で中国語を習った魯先生と、その息子達夫。彼らと著者との交流が語られます。
 7人目は、フセイン統治下のイラクに著者が行くためにアラビア語を習った、人の良さそうな熊といった風貌のアリー。著者が彼のためにバイト先を探してやる話が語られます。
 8人目は、スーダンからきた盲目の男子留学生マフディ。彼は目が見えない上に外国人であるため多大な努力をしていますが、とても明るく、まためちゃくちゃ優秀で、ラジオ中継を聞いているうちに日本のプロ野球の大ファンになってしまったという話が語られます。
 インテリのコンゴ人のルームメイトのフランス人が東大の客員教授をしていて、「蓮實重彦という同僚がいるが、なかなか優秀な奴だ」と言ってみたり、スーダン人のマフディが、天童荒太の「永遠の仔」や金城一紀の「GO」が面白いと言ったり、私に縁のある名前が次々に出て来るので、不思議な感じがしました。そんなことを除いても、この本もとても面白く読めました。次の高野さんの本を読むのが今から楽しみです。