「裸者と裸者」が面白かった打海文三さんの"02年作品「ハルビン・カフェ」を読みました。巻末の大森望さんによる解説の一部を引用し、作品の紹介をしたいと思います。
「(前略)主な舞台は、福井県西端の新興港湾都市・海市。大陸の動乱を逃れて大量の難民が押し寄せ、海市は中・韓・露のマフィアが覇を競う無法地帯と化した。
相次ぐ現場警官の殉職に業を煮やした市警の一部は自警主義に走り、警官殺しに報復するテロ組織(通称P)が誕生する。(中略)やがては中央に攻め上り、日本の警察組織全体を根本から改革するという“革命”まで視野に入れた運動だったが、県警公安部長暗殺を頂点とする一瞬の高揚とひきかえに、Pは中核メンバーを失い、やがてこの“熱病”は失速する。それから八年‥‥。
くすぶりつづけていたおき火が、ある事件をきっかけにふたたび激しく燃え上がる。小説は、その『激しく闘われた七日間』を多くの関係者の視点から語る断章形式を採用し、そうした(中略)『ばらばらの挿話の集積』から、事件の背後に横たわる歴史がゆっくりと浮上してくる。近未来の異界、海市に渦巻く権謀術数のドラマと、革命の狂熱。(後略)」
上で言う多くの関係者とは、6才で街娼をやっていて、その後チェコのガラス職人になった女性、殺された警官、悪夢にうなされる警察庁の婦人監察官、中国人の殺し屋、警視庁麻薬課係官、警察の身辺調査をする管理官、酒屋の嫁、福井県警の警察官、殺されたPの息子、といった面々です。
これからも分かるように、各挿話は錯綜し、登場人物の多さも相まって、物語を追うのは非常に難しい小説です。
冒頭で「事件関係者の多くが存命中であるため、いまのところ本書を公表する予定はない。」などと、いかにもこの本がノンフィクションであるかのような書き方をしているところでも著者は読者を騙す気満々で、実際本当の主人公であるPの一人が、Pでありながら仲間の情報をマフィアや警察に流し、仲間を殺させる奴だったりするので、読者は主人公にも騙され続けることになります。
ただ、最後の場面でやっと主人公の過去の行動が明らかにされてからの、危険を察知して何のためらいもなく人を殺していく場面には鳥肌が立つほど興奮を覚えました。
ということで、最後までめげずに読めれば、最後でそれまでの苦労が報われます。根気よく本を読める方にはオススメです。
「(前略)主な舞台は、福井県西端の新興港湾都市・海市。大陸の動乱を逃れて大量の難民が押し寄せ、海市は中・韓・露のマフィアが覇を競う無法地帯と化した。
相次ぐ現場警官の殉職に業を煮やした市警の一部は自警主義に走り、警官殺しに報復するテロ組織(通称P)が誕生する。(中略)やがては中央に攻め上り、日本の警察組織全体を根本から改革するという“革命”まで視野に入れた運動だったが、県警公安部長暗殺を頂点とする一瞬の高揚とひきかえに、Pは中核メンバーを失い、やがてこの“熱病”は失速する。それから八年‥‥。
くすぶりつづけていたおき火が、ある事件をきっかけにふたたび激しく燃え上がる。小説は、その『激しく闘われた七日間』を多くの関係者の視点から語る断章形式を採用し、そうした(中略)『ばらばらの挿話の集積』から、事件の背後に横たわる歴史がゆっくりと浮上してくる。近未来の異界、海市に渦巻く権謀術数のドラマと、革命の狂熱。(後略)」
上で言う多くの関係者とは、6才で街娼をやっていて、その後チェコのガラス職人になった女性、殺された警官、悪夢にうなされる警察庁の婦人監察官、中国人の殺し屋、警視庁麻薬課係官、警察の身辺調査をする管理官、酒屋の嫁、福井県警の警察官、殺されたPの息子、といった面々です。
これからも分かるように、各挿話は錯綜し、登場人物の多さも相まって、物語を追うのは非常に難しい小説です。
冒頭で「事件関係者の多くが存命中であるため、いまのところ本書を公表する予定はない。」などと、いかにもこの本がノンフィクションであるかのような書き方をしているところでも著者は読者を騙す気満々で、実際本当の主人公であるPの一人が、Pでありながら仲間の情報をマフィアや警察に流し、仲間を殺させる奴だったりするので、読者は主人公にも騙され続けることになります。
ただ、最後の場面でやっと主人公の過去の行動が明らかにされてからの、危険を察知して何のためらいもなく人を殺していく場面には鳥肌が立つほど興奮を覚えました。
ということで、最後までめげずに読めれば、最後でそれまでの苦労が報われます。根気よく本を読める方にはオススメです。