gooブログはじめました!

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

清水宏監督『簪(かんざし)』

2009-07-12 15:01:00 | ノンジャンル
 WOWOWで、清水宏監督の'41年作品「簪(かんざし)」を見ました。
 恵美(田中絹代)を含む巡礼の一団が温泉宿に宿泊します。本を読むために夏休みの間逗留している学者の片田江(齋藤達雄)はその賑やかさをうるさがり、宿泊仲間の新婚夫婦や納村(笠智衆)、孫を連れた老人にも同意を求めます。団体が去った後、露天風呂に落ちていた簪を踏んで納村はケガをしますが、その後恵美は簪を落としたので見つけたら送ってほしいという手紙を宿に出します。宿の亭主(坂本武)が事情を知らせると、恵美は謝りにやってきて、子供に応援されながら歩く練習をする納村の姿に惹かれ、そのまま逗留します。当分帰らないという手紙を親友のお菊(川崎弘子)に書いた恵美は、初めて川で洗濯をし、心地よい汗をかきます。宿泊仲間で夕食を囲み、夏休みが終わってもまた集まろうと言う一同。恵美を東京に帰らせようとお菊が訪ねてきますが、川に渡してある板を納村が渡り、途中から彼をおぶって川を渡り切った恵美は、東京で妾の生活を続けるのはもう嫌だとお菊に言って泣き出し、お菊は男に話をつけてやると言います。納村は山の階段を登りきることができたのをきっかけに東京に帰り、早く東京に帰ってくるようにという手紙が恵美に届きます。納村との思い出の場所を雨の中一人で歩く恵美なのでした。
 やはり屋外のシーンはオールロケで、山中の温泉のゆっくり流れる時間が表現されているとともに、ここにも頻繁に按摩が出て来ました。片田江に謝ってばかりいる新婚の夫(日守新一)や片田江のいびきなど、ギャグも多く含まれていましたが、特徴的だったのは、手紙や電報、日記の内容をナレーションで読まずに、映像だけで提示していた点でした。戦前のロケ映像を見たい方、グランドホテル形式のコメディを見たい方にはオススメです。