gooブログはじめました!

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

清水宏監督『みかへりの塔』

2009-07-17 18:21:00 | ノンジャンル
 WOWOWで、清水宏監督の'41年作品「みかへりの塔」を見ました。
 子供の更正施設を母たちに草間先生(笠智衆)が説明すると、それにしたがって起床の鐘、寝小便の布団を干す、朝食の用意、体操、掃除、礼拝、授業、屋外整備、農作業、木工、ミシンかけをする子供たちの様子が描かれます。新入生の多美子と父(坂本武)は保母(三宅邦子)に紹介されますが、院長は草間にまた大変な子が入ってきたと言います。保母は同じ部屋にいる 12人が皆兄弟で、自分は母だと説明しますが、多美子は少女同士のケンカに怯えます。多美子はレベルの低い授業に嫌気がさして教室を飛び出しますが、保母に連れ戻され、保母はやはり教室を抜け出した善雄に指をかまれます。しかし善雄を担当する保母は彼をうまく誉め、自分から母に手紙を書くように導き、草間は善雄に謝りに行かせます。多美子は靴を無くして裸足で外へ飛び出し、林で正夫と昼寝をしていると、正夫の母が訪れてきます。正夫の母は自分の髪を正夫に託し、父も酒を控えて働くようになったと言って泣きます。正夫に母からもらったものを見せろと言う善雄と、自分も母から数珠をもらって身に付けていて正夫をかばうコウジの間でケンカが起こり、興奮したコウジは列車に飛び込もうとしますが、先生らは二人を仲直りさせます。今度は多美子ら6人が脱走事件を起こします。捕まるとすぐ多美子は家に帰りたいという父への手紙を正夫に託し、皆の前で施設への不満を爆発させます。父はすぐに迎えに来ますが、院長に諌められ帰っていくと、それを見た多美子は一人でも出て行くと言い張り、ついに保母は手を上げます。保母は辞めると言いますが、草間が思いとどまらせ、多美子はまた脱走を誘われると断り、保母は泣いて多美子に感謝します。信一に義母が訪ねてきますが、信一は逃げ出し、草間らは戻ってきた信一に義母の気持ちを考えるように説教します。多美子と同部屋の直子は多美子を保母が依怙贔屓するので部屋を変わりたいと院長に直訴しますが、多美子の靴を隠しているのがばれ、そのことが後ろめたくて直訴したことが分かります。そこへ卒業生の岡本が遊びに来ますが、前歴を知った人の目に耐えられなくて仕事を辞めてきたことが分かり、草間から励まされます。そんな折、井戸の水だけでは水が足りなくなり、試行錯誤の結果、草間が他の先生を説得して、子供たちと大人が協力して2キロ先の池から水を引く工事を行うことになります。工事は難航し、病傷者や脱走者を出しますが、希望を持って働いた子供たちのおかげでついに水路が完成し、流れる水の中を子供たちが走り下っていきました。これにより多美子、正夫、善雄、岡本ら施設始まって以来の多くの卒業生を出す事になり、一人ずつ謝辞と抱負を述べ短歌を詠み、鐘を皆で鳴らし、螢の光を歌いながら保護者とともに施設を去っていくのでした。
 おそらく室内も含めてオールロケだと思います。話は古めかしいものですが、カメラが動き出すと画面は活気づき、子供たちが屋外を走り回る様子は壮快でした。この作品までで清水宏監督の戦前の5作品を連続して見ましたが、決定的といえる作品にはめぐり合えませんでした。今後に期待です。