gooブログはじめました!

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

斎藤貴男『強いられる死 自殺者三万人超の実相』

2009-07-22 16:08:00 | ノンジャンル
 今日、神奈川県厚木市での部分日食は雲がいいフィルターの役目をしてくれて肉眼で見ることができました。メガネだと太陽が欠けていることしか見えないので、周囲の風景とともに日食を見れたことは良かったと思います。トカラまで高い金出してわざわざ行かれた方々は荒天に会ったとのこと、お気の毒でした。

 さて、朝日新聞で紹介されていた、斎藤貴男さんの'09年作品「強いられる死 自殺者三万人超の実相」を読みました。
 先ず、年間自殺者10年連続三万人超の実態について述べられ、次いでパワハラと過重労働の果ての自殺、郵政民営化による職場でのいじめによる自殺、多重債務者の自殺、中小企業経営者の自殺、学校の生徒と先生そして自衛隊での自殺、障害者自立支援法によって追い込まれた自殺、新銀行東京でのモビング(企業ぐるみの虐め)による自殺、過労死、そして今後への希望が順次述べられます。この中で知ったことは、東尋坊に自殺防止のための柵が設けられていないのは自殺の名所としての観光資源を守るためであること、郵政民営化による自殺は通算2千人にも及ぶこと、青木ヶ原樹海は6キロ四方しかないこと、消費者金融のアイフルでは利用者が自殺しても貸し金を回収できるように勝手に利用者に生命保険をかけていたこと、日本の官庁の中で最も自殺率の高いのは自衛隊だと言われていることでした。著者はここで取り上げた以外にも、高齢者の孤独に耐えかねての自殺や、就職あるいは結婚で差別された人々の自殺、外国労働者の自殺なども取り上げなければならなかったと述べていますが、遺族や自殺未遂を起こした方々への取材には疲れ切ってしまったとも書いていました。実際、書かれている内容は壮絶なもので、どんなに意思の強い人でもこれだけの虐待を受けたり、ひどい環境に置かれたら自殺するのではと思われるものでした。私も2度ほど自殺未遂を起こしているので、10年前には自分が自殺しようとするなどとは何にも思わなかったという自殺未遂の人の話は他人事とは思えませんでした。
 毎日全国で90人の人が自殺しているというのは、どう考えても異常です。自殺するのは意思の弱い人だと考えている方、この数字はそうした考えでは説明がつかないのだということを改めて考えてほしいと思いました。自殺をする人を非難する方には特にオススメです。