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北尾トロ『裁判長!おもいっきり悩んでもいいすか―裁判員制度・想定問題集』

2014-03-15 10:01:00 | ノンジャンル
 マキノ雅弘監督の'65年作品『日本侠客伝 関東篇』をスカパーの東映チャンネルで再見しました。築地の魚河岸を暴力で乗っ取ろうとする悪役を天津敏、それに抵抗する問屋の社長を南田洋子、その妹を藤純子、船に乗り遅れた機関士で南田洋子に惚れて彼女の問屋で働くようになる男を高倉健、高倉健の知人で焼津から魚を運ぶ船長を丹波哲郎が演じ、寿司屋の北島三郎は天津敏を殺しに単身乗り込んで死に、ラストでは藤純子と相思相愛の人足・長門裕之も天津敏の元に単身切り込んで死に、最後は天津敏の後ろ楯だった遠藤辰雄率いるやくざの山本麟一らを高倉健と丹波哲郎らがやっつけ、天津敏は南田洋子の幼馴染みで彼女と相思相愛だった侠客・鶴田浩二に殺されるという映画でした。他にも人足頭役で大木実、目立つ人足役で待田京介と潮路章、その他の人足役で山城新伍と田中春男も出演していました。これで、『日本侠客伝』シリーズは『浪速篇』と『関東篇』を再見してきましたが、学生時代にオールナイトでシリーズを5本立てで見た時の興奮は、もう味わえなくなっていました。寂しい限りです。

 さて、北尾トロさんの'09年作品『裁判長!おもいっきり悩んでもいいすか―裁判員制度・想定問題集』を読みました。弁護士の方に裁判員裁判の対象となる様々な事件のケースを問題として出してもらい、それに裁判員のつもりで北尾さんが判決を出し、それにまた弁護士の方のコメントをもらうという本です。
 この本を読んで初めて知ったことは、有期懲役の上限は20年であること、国選弁護人の費用は国が立て替え払いしていると考え、裁判に負けるとその費用を国に返さないといけないこと、ただし実際の取扱いでは、実刑判決の場合には免除することがほとんどで、逆に執行猶予をつける場合には負担させることが多いこと、警察官や検察官による調書は、調べを受けた人が喋ったことを、メモなどを元に取調官が書き起こすこと、犯罪の情状に酌量すべきものがあるときは、刑を2分の1に減刑することができること、判決が有期求刑の5割を割り込むと検察庁において控訴すべきかどうかの検討対象になると言われていること、強姦罪の刑罰は3年以上の有期懲役であること、別の日時・場所でも強姦などの事件を起こした場合は、有期刑の上限が1.5倍に引き上げられること、同性愛者の強姦では強姦罪が成立しないこと、示談とは、被害全額の賠償をして被害者がそれ以上損害賠償請求権を行使しないことを明言し、被告人の処罰については寛大にしてもらっていいという意思を表明することを意味すること、情状証人は被害者参加人からの質問にも答えなければならないこと、一人暮らしの人が自分の住まいに放火しても、居住者を皆殺しにした後で、その建物に放火した場合も、現住建造物等放火罪にはならず、非現住建造物等放火罪になること、殺人罪が「殺意の有無」を問われるのに対し、傷害致死罪では「悪意の有無」を問われること、危険運転致死傷は四輪以上による事故が対象で、2輪車の事故は対象にならないこと、14歳は法律上では「幼年」「幼年者」扱いになること、仲間で飲みに行き、泥酔した者を路上に放置して帰宅したら遺棄罪になること、無期懲役囚が仮釈放されるのは運用上では20~40年であること、裁判官は「計画性」を重視することが多いこと、一度に2人殺したのと、1人殺して、さらに別の機会に1人殺した場合では、後者の方が罪が重くなること、冤罪の一因としてよく指摘されている代用刑事施設(代用監獄)とは留置場のことであること、冤罪だとわかったとき、冤罪被害者に支払われる額は、補償請求を受理した裁判所の裁量で決められ、その金額は1日につき、千円~1万2500円であること、2005年からスタートした裁判員模擬裁判は、この本が刊行されるまで600回近くになるが、死刑問題を扱った模擬裁判は1つとしてないこと、などでした。
 弁護士の方の問題とそれに対する著者の答えというだけでなく、裁判に関する様々な知識を問題形式で弁護士の方が出してくれるなど、楽しく読めて勉強にもなりました。いつ自分が裁判員になるか分からない現在、必読の書と言えるかもしれません。

 →「Nature Life」(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/