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黒沢清監督『ダゲレオタイプの女』その1

2018-07-13 04:12:00 | ノンジャンル
 WOWOWシネマで、黒沢清監督・脚本の’16年作品『ダゲレオタイプの女』を見ました。
 列車から降りた青年は邸宅に行き、自分が面接に来たジャンだと告げる。相手は「他に応募者はない。写真学校の卒業生は外し、電話で向き不向きも分かるので、残ったのは君だけだ。ステファンも気に入るだろう。座ってここで待って」と言う。相手が去ると、ゆっくりと隣室との扉が開き、そこへジャンが入って行くと壁一面に皿が張り付けてあった。戻ると階段を上る女性がちらっと見える。やがてステファンが現われ、自己紹介し、先程の相手はルイと言い、腰痛のため現場は引退し、今は家の管理をしていると言う。ジャンは「経験はありませんが、前から興味がありました」と言い、ステファンは「指示通りにやってくれ」と言い、巨大なカメラのある部屋にジャンを連れていく。
 暗室でマスクをして作業をするステファンとジャン。
 金属の器具は「モデルを固定させる器具だ」とステファンは言い、「実物大のダゲレオタイプは精密なので、露光時間も長い」とも言う。「古風な衣装を着たモデルを見かけた」と言うジャン。
 「これは170年前のもので、技術は滅びたが、ここで再現しているのだ」とステファン。
 「来い。これこそ本来の写真だ。170年前の人々がずっと生きてるようだろう。存在そのものが銀板に固定されている」と言い、娘のマリーを紹介するステファン。(中略)
 アパートメントの自室に帰るジャン。
 ステファンは手を洗い「今すぐ終わるから」と言うと、マリーは「急がないわ」と答える。「今日は20分」「漠然とした恐怖に一瞬襲われるの。もう何枚も撮ったでしょう」「娘を撮るのは自然なことだ」。
 屋外撮影。林。「ジャンは覚えが早い」とステファン。写真界で生きるヴァンサンが「ファッション写真なら時代に応えないと」と言うと、ステファンは「死んだ妻のドゥニーズがモデルの理想だった」と言い、モデルに「君の20分を私にくれ」と言う。
 「マリー・エグレーさん。22歳。植物園に応募した動機は?」「植物が好きだから。それだけです」「雇われたら何を?」「植物の動きは見えません。でも地面深くに根をはり、環境を制御しています。そんな献身的なところに惹かれます」「植物学や園芸学は学んでいませんが、どこでそのような知識を?」「たくさんの書物と経験からです。幼い頃から庭の温室で育ちました」「うちでは無理ですが別の植物園なら部署に空きがあります。推薦状を書きましょうか? ただし場所はトゥールーズですが」「お願いします」。(中略)
 ジャンが廃液をタンクに入れていると、マリーが近づいてきたので「これは水銀入りの廃液なので下水に流せない」と言うと、マリーは「ここで汚染が起きて植物が枯れてしまってる。パパの考えは?」と答える。(中略)
 スポーツバーを訪れるジャン。「3週間ぶりだな」「メールの返事は?」「出したよ」「借りた分だ」「高給なのか?」「ああ」「金がなくなったら実家に帰れ。部屋代は払わなくて済むからな」。
 トゥルーズ植物園からの通知。「一度当地で面接を」と書かれているのを読んで、微笑むマリー。窓からジャンが見えたので、走り寄り「雇ってもらえそう(中略)温室の世話は?」「僕がやろう」「パパは悲しむわね」「モデル選びは難しいだろうな」「ファッション雑誌に戻れる?」「復帰を望む人は多い」「反対されても自分の道を進むわ」。二人は抱き合い、キスする。
 ステファン、喪服姿の客に「20分です」。
 礼金をもらうステファン。客「あなたこそ芸術家だ」。
 隠れて様子を見ていたマリーはジャンに見つかって逃げ出し、ジャンは追いかける。「ホルマリン臭いわ。死者への冒涜よ」「遺族への心のケアなんだ」「パパはママが死んだ時取り乱して柩さえ見ようとしなかった。今は写真と現実を混同し、生者と死者を区別できない。パパの心を治すべきよ。ママはずっと入院してた。そして最期には首を吊った。あの温室で。哀れむのはムダ。誰にも救えない」「そんなことない」。
 夜の書斎のステファン。「あなた」の声。ステファン、窓のところまで行って外を見るとそこにドゥニーズの姿が。(中略)
 レストランでヴァンサンに会い、彼の連れであるいとこのトマを紹介される。トマは開発業者で、「ステファンの土地が再開発地区の中心にあり、今ならかなりの値段で売れる。エコロジカルな開発で、国の支援事業でもある」と言い、ヴァンサンも「なのに話を聞こうともしない。写真を続けるなら遅かれ早かれ売るしかない。田舎に広い土地を買えばいい。500万ユーロから600万ユーロになる」と言う。ジャンはトマが直接ステファンに話すのがいいと言う。
 ジャンがステファン邸に行くと、トマを前にステファンは「売る気はない!」と激昂し、書類を床にばらき、直ちに帰れと叫ぶ。トマは書類を一旦ジャンに預ける。(明日へ続きます……)

 →Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto

P.S 昔、東京都江東区にあった進学塾「早友」の東陽町教室で私と同僚だった伊藤さんと黒山さん、連絡をください。首を長くして福長さんと待っています。また、この2人について何らかの情報を知っている方も、以下のメールで情報をお送りください。(m-goto@ceres.dti.ne.jp)