また昨日の続きです。
林を逃げるチン。追っ手をかわし、木の根元で失神するチン。
目覚めると、滝のそばに作られた家。“酔いどれ猫”「まだ寝てなきゃダメだ」「よくも」「何のマネだ」「全部お前が仕組んだ罠だったのか?」「“お前”と呼ぶか? “先達”だったのが同格になった」「尊敬に価しない。ただの酔いどれだ」「言った通りだ。ケンカっ早いと注意したはず。腕を過信してすぐ争う。自業自得だ。お前さんの欠点はすぐ怒ることだ。解毒しよう」「ほっといて」。風景がぼやける。チンが倒れるのを抱きとめる“よいどれ猫”。ゆっくりと寝かせる。
「毒針が当たって動けるはずがない」「付近の村も探しました」「黙れ。あんな小娘一人に手を焼いて、世間の笑い者だ。あの女を捕えたら…」「うるさい。タオルー、お前が探せ。見つけるまで戻ろう」。
「まずいな。治療方法は一つだけ。毒を吸い出すしかない」。うなだれるチン。棒を握るチン。「もう大丈夫だ」。横たわるチン。鍋を火にかける“酔いどれ猫”。
朝もや。チンにおかゆを食べさせていると、「“酔いどれ猫”、役得だな」「お話なら中で」「構うな」チン「ケガ人につけ込む気?」「おい待てよ。見舞いに来たのに、あんまりだ。お嬢さんをお連れして」「寄るな」「黙れ」「傷が治るまでご容赦を」「口を出すな、どけ」。“酔いどれ猫”おかゆを相手の顔へ。ひるむ相手。「よくも」「失せろ」。チンに「休んでろ、死にたいのか?」。相手の一斉攻撃に逆襲し全滅させる“酔いどれ猫”。
車輪。布の下から手。玉「私に何の用だ?」「遺体をお届けに」「遺体?」「ご確認を」「誰の指図だ?」「駄賃を。この炎天下に運んできたんだ」「こいつ、どこで見つけた?」「林の中で」「死者がしゃべったのか?」「知ってた」「林の中で何が?」「若い娘と戦っていた」「本当か? ほかには?」「駄賃もらう」「話せ!」「林を歩いていたらこの人たちが娘と戦っていた。その娘がこうするとみんな死んだ。本当に驚いたよ」「奴だ」「その娘が死体を届けろと。銀5両は褒美が出るって言っていた。なのに…」「待て。5両やろう。娘の話をしてくれ」「どうも。毒は大したことはないと言ってた。ご安心を」「他には何を?」「確か名前に燕がついていた」「そうだ」「取引の返事は俺にしてくれって。帰ろう。降ろすよ」と死体を車から降ろす。「その娘はどこにいる?」「明日会う」「どこで?」「決めてない。俺を探すって」。“酔いどれ猫”、去る。玉「奴を見張れ。子供は追い出せ」「腹ペコだ」「黙れ」「食わせろ」「住職に供養を」。
夜。「あの娘が言ってた取引って何のことだ?」「余計なことを聞くな」「リャオコン大師がお戻りです」「お出迎えを」(中略)「あの大師って何者です?」「お前には関係ない」。
出迎える一同。「遺体の状態は?」「胸に穴が。刀傷ではないようです」「傷を確かめる」。棺を開ける大師。「小娘のワザじゃない」「では誰が?」「運んできた男は竹竿を手に?」「はい」「“灯台下暗し”とはこのこと」「奴をご存知で?」「捜していた相手だ」「どういった間柄で?」「弟弟子だ」「では大変失礼を。腕の立つ者には見えなかったので」「奴は達人の域に達してる。だが、この私に比べれば少し劣るが」「あの方の本名は?」「ファン・ペイだ。酒を飲み道化のフリをしている。またの名を酔侠と言う」。笑う大師。「殺したのは奴だ」「では何かの誤解で?」「誤解? 師匠が亡くなる時、奴は相伝の竹竿を盗み、後継者と称した。一門の大敵だ。必ず奴を倒し、竹竿を奪回する」「奴は?」「奥の院で捕えろ」。
ファンの家に押し入る賊。「どうした? あの男は?」「逃げた」「逃がさんぞ」。
夜。滝に向って座禅をするファン。チン「何か食べないと」。首を振るファン。「戻ってからため息ばかり。何かあったのでしょう?」「もう十分だ」「大丈夫。後のことは自分で対処する」「お前には無理だ。」(中略)酒を飲むファン。(中略)「命運も尽きた」「書院で一体何が?」「兄弟のリャオコンがいた」「なら協力を頼めば?」「同門とは言え、敵同士だ。奴は一門を乗っ取るため、師匠を暗殺した。再会すれば死闘は避けられん」「その相手がなぜ賊と?」「悪党同士手を組んだんだろう」「ならそいつも捕まえて裁かねば」「奴は武術を極めている。恐らく俺も及ばん。奴には恩義もある。10年前、孤児だった俺を師匠に会わせてくれた。その負い目から避けて来た」「それなら手助けは不要。一人でやるわ」「お嬢さん、待つんだ。兄上を救うには首領を釈放することだ」「賊との妥協など父も許さない」「父上には相談せずに釈放しろ。罪人は取り返す」。(また明日へ続きます……)
→Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto)
P.S 昔、東京都江東区にあった進学塾「早友」の東陽町教室で私と同僚だった伊藤さんと黒山さん、連絡をください。首を長くして福長さんと待っています。また、この2人について何らかの情報を知っている方も、以下のメールで情報をお送りください。(m-goto@ceres.dti.ne.jp)
林を逃げるチン。追っ手をかわし、木の根元で失神するチン。
目覚めると、滝のそばに作られた家。“酔いどれ猫”「まだ寝てなきゃダメだ」「よくも」「何のマネだ」「全部お前が仕組んだ罠だったのか?」「“お前”と呼ぶか? “先達”だったのが同格になった」「尊敬に価しない。ただの酔いどれだ」「言った通りだ。ケンカっ早いと注意したはず。腕を過信してすぐ争う。自業自得だ。お前さんの欠点はすぐ怒ることだ。解毒しよう」「ほっといて」。風景がぼやける。チンが倒れるのを抱きとめる“よいどれ猫”。ゆっくりと寝かせる。
「毒針が当たって動けるはずがない」「付近の村も探しました」「黙れ。あんな小娘一人に手を焼いて、世間の笑い者だ。あの女を捕えたら…」「うるさい。タオルー、お前が探せ。見つけるまで戻ろう」。
「まずいな。治療方法は一つだけ。毒を吸い出すしかない」。うなだれるチン。棒を握るチン。「もう大丈夫だ」。横たわるチン。鍋を火にかける“酔いどれ猫”。
朝もや。チンにおかゆを食べさせていると、「“酔いどれ猫”、役得だな」「お話なら中で」「構うな」チン「ケガ人につけ込む気?」「おい待てよ。見舞いに来たのに、あんまりだ。お嬢さんをお連れして」「寄るな」「黙れ」「傷が治るまでご容赦を」「口を出すな、どけ」。“酔いどれ猫”おかゆを相手の顔へ。ひるむ相手。「よくも」「失せろ」。チンに「休んでろ、死にたいのか?」。相手の一斉攻撃に逆襲し全滅させる“酔いどれ猫”。
車輪。布の下から手。玉「私に何の用だ?」「遺体をお届けに」「遺体?」「ご確認を」「誰の指図だ?」「駄賃を。この炎天下に運んできたんだ」「こいつ、どこで見つけた?」「林の中で」「死者がしゃべったのか?」「知ってた」「林の中で何が?」「若い娘と戦っていた」「本当か? ほかには?」「駄賃もらう」「話せ!」「林を歩いていたらこの人たちが娘と戦っていた。その娘がこうするとみんな死んだ。本当に驚いたよ」「奴だ」「その娘が死体を届けろと。銀5両は褒美が出るって言っていた。なのに…」「待て。5両やろう。娘の話をしてくれ」「どうも。毒は大したことはないと言ってた。ご安心を」「他には何を?」「確か名前に燕がついていた」「そうだ」「取引の返事は俺にしてくれって。帰ろう。降ろすよ」と死体を車から降ろす。「その娘はどこにいる?」「明日会う」「どこで?」「決めてない。俺を探すって」。“酔いどれ猫”、去る。玉「奴を見張れ。子供は追い出せ」「腹ペコだ」「黙れ」「食わせろ」「住職に供養を」。
夜。「あの娘が言ってた取引って何のことだ?」「余計なことを聞くな」「リャオコン大師がお戻りです」「お出迎えを」(中略)「あの大師って何者です?」「お前には関係ない」。
出迎える一同。「遺体の状態は?」「胸に穴が。刀傷ではないようです」「傷を確かめる」。棺を開ける大師。「小娘のワザじゃない」「では誰が?」「運んできた男は竹竿を手に?」「はい」「“灯台下暗し”とはこのこと」「奴をご存知で?」「捜していた相手だ」「どういった間柄で?」「弟弟子だ」「では大変失礼を。腕の立つ者には見えなかったので」「奴は達人の域に達してる。だが、この私に比べれば少し劣るが」「あの方の本名は?」「ファン・ペイだ。酒を飲み道化のフリをしている。またの名を酔侠と言う」。笑う大師。「殺したのは奴だ」「では何かの誤解で?」「誤解? 師匠が亡くなる時、奴は相伝の竹竿を盗み、後継者と称した。一門の大敵だ。必ず奴を倒し、竹竿を奪回する」「奴は?」「奥の院で捕えろ」。
ファンの家に押し入る賊。「どうした? あの男は?」「逃げた」「逃がさんぞ」。
夜。滝に向って座禅をするファン。チン「何か食べないと」。首を振るファン。「戻ってからため息ばかり。何かあったのでしょう?」「もう十分だ」「大丈夫。後のことは自分で対処する」「お前には無理だ。」(中略)酒を飲むファン。(中略)「命運も尽きた」「書院で一体何が?」「兄弟のリャオコンがいた」「なら協力を頼めば?」「同門とは言え、敵同士だ。奴は一門を乗っ取るため、師匠を暗殺した。再会すれば死闘は避けられん」「その相手がなぜ賊と?」「悪党同士手を組んだんだろう」「ならそいつも捕まえて裁かねば」「奴は武術を極めている。恐らく俺も及ばん。奴には恩義もある。10年前、孤児だった俺を師匠に会わせてくれた。その負い目から避けて来た」「それなら手助けは不要。一人でやるわ」「お嬢さん、待つんだ。兄上を救うには首領を釈放することだ」「賊との妥協など父も許さない」「父上には相談せずに釈放しろ。罪人は取り返す」。(また明日へ続きます……)
→Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto)
P.S 昔、東京都江東区にあった進学塾「早友」の東陽町教室で私と同僚だった伊藤さんと黒山さん、連絡をください。首を長くして福長さんと待っています。また、この2人について何らかの情報を知っている方も、以下のメールで情報をお送りください。(m-goto@ceres.dti.ne.jp)