食育に関わってきて、いくつかの疑問が私の中であります。それを解決するヒントが永平寺の食にいくつかありました。
永平寺では二百名の修行僧が常に生活しておられます。その方々の食事を担当する方が典座(てんぞ)と呼ばれる方です。
道元禅師は食の大切さを認識していて、食事についての教えも残しています。それを今でも忠実に実践しているのが、典座です。
永平寺は三徳六味を説いています。
三徳
「軽軟(きょうなん)」 見た目はかるく、味はやさしい
「浄潔(じょうけつ)」 清潔でさっぱりしている
「如法作(にょほうさ)」正しい作法によって作られる
六味
「淡い」「塩からい」「辛い」「甘い」「酸い」「苦い」という六つの味。
六味を意識した野菜だけの食事を毎日作っているのです。
永平寺の食のあり方で私が一番勉強になったのは3つありました。
1つ目は淡い 淡味という言葉です。
食材そのものが持つ味をいただくというものです。調味料の発達で、食材の持つ本来の味を楽しむことができなくなっています。それぞれの食材にはそれぞれの個性があることを認識することで、人に対しても、それぞれの良いところを見ていくことができるのです。
2つ目は 食材に分け隔てをしないということです。
大根も松茸同じ食材、決して分け隔てをしてはいけない、そして大根も、身だけではなく、皮や、葉も同じように大事に扱って美味しく調理して食べるということ。
3つ目は 食材に感謝して、無駄なく使い切るということです
ピーマンの種も捨てずに天ぷらにあげることができるそうです。野菜のきりくずは、布の袋に入れて、お味噌汁のお出汁として使う。全てを食べきる努力をしします。
これ以外にも作法や、調理法など、典座教訓に記されています。
そして、食べ物に感謝していただくことを忘れてはいけません。
この後、西宮に戻ったのですが、夕方は適当にお土産で買ってきたものを出して夕食にしようと思いましたが、永平寺の教えを思い出して、冷蔵庫の中のもので3つほどおばん菜を作りました。