オバマ米大統領にノーベル平和賞
「核なき世界」提唱など評価
【ロンドン=小玉純一】
ノルウェーのノーベル賞委員会は9日、2009年のノーベル平和賞を米国のバラク・オバマ大統領に授与すると発表しました。同委員会は「核兵器のない世界というオバマ氏のビジョンと働きに特別な重要性を認めた」と指摘しました。
また「オバマ氏は国際政治に新しい環境をもたらした。その際、国連やその他の国際機関が果たしうる役割が強調されている。対話と交渉が、最も困難
な国際紛争でさえ解決する手段として好んで選ばれている」と指摘。「オバマ大統領のイニシアチブのおかげで米国はいま、世界が直面している気候変動という
重大な挑戦に立ち向かう上で、より建設的な役割を果たしつつある」としました。
受賞理由は、「核兵器のない世界」の呼び掛けにとどまらず、オバマ政権の外交全般を手放しで評価する内容となっています。
そのうえで同委員会は、「オバマ大統領ほど世界の注目を集め、人々によりよき将来という希望を与えた人物はきわめてまれである」とたたえました。
オバマ氏は昨年たたかわれた米国大統領選挙で「変革」を訴えて当選。今年1月、アフリカ系米国人として初めて米国大統領に就任しました。
オバマ氏は4月5日、チェコの首都プラハで「核兵器のない世界」を追求することを明らかにし、「核兵器を使用した唯一の核保有国として、米国には行動すべき道義的責任がある」と明言しました。
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“電撃的決定を称賛”
“まだ早すぎる受賞”
米紙にさまざまな声
「この電撃的決定を称賛する」「ノーベル平和賞? まだ早いのでは」「ノーベル賞委員会は過去8年の米政権に反対を表明したのだ」―米国のオバマ
大統領のノーベル平和賞受賞をめぐり、10日付の米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)はこうしたさまざまな声を紹介しています。
英オクスフォード大学のセラ研究員は「オバマ氏の業績には敬意を表するが、平和賞受賞は多くの意味で誤りだ。多くの人が指摘するように、まだ早すぎるように思える」と指摘しています。
米国がイラクとアフガニスタンで戦争を継続していることについて、「二つの侵略戦争を統括する現職の軍最高司令官にノーベル平和賞を授賞するのは無責任で危険だ」と批判する声もあります。
米反戦組織「戦争抵抗者同盟」のパスターナック全国委員も「二つの戦争を実施している」と指摘。「ノーベル賞委員会は同賞の道義的価値を一発で切り下げてしまった」と落胆を表明しています。
一方「まだほとんど業績がない」との指摘に、「世界中の人たちが新しい違った考え方をするようになった」として、「これほど世界平和に貢献するものはない」と反論する意見もあります。
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