「しんぶん赤旗」主張
空洞化の脅し、米倉さん・どこまでわがまま通すのか
経団連の米倉弘昌会長が11日の記者会見で机をたたいて怒りをあらわにしました。「ストレステスト(耐性試験)」の実施などで定期点検中の原発の再稼働の時期が遅れることに、いら立ちを抑え切れなかった様子です。
米倉氏は「電力の安定供給」がなければ「日本企業は海外移転してしまう」とのべました。さっさと原発を再稼働しないなら大企業は日本から出て行って、日本を空洞化させるぞという脅しです。
異常な原発擁護の姿勢
被害を拡大している東京電力の福島原発事故は国民の意識に大きな変化をもたらしています。原発は「廃炉」へと答えた人が82%(「東京」6月19 日付)、段階的に削減し将来は「やめる」という人が77%(「朝日」12日付)―。圧倒的多数の人が原発ゼロの社会を求めるようになっています。
無責任な原発「安全宣言」で再稼働を急ぐ政府のやり方には国民の怒りが広がっています。信頼を完全に失った電力会社と原子力安全・保安院、原子力安全委員会に任せるストレステストに一片の信頼性もないことも明らかです。
原発とは共存できないという思いからの国民の怒りとは正反対に経団連会長は原発をすぐ再稼働しないことに怒っています。放射能による被害は日本列 島の各地に拡散し、危険は何十年先まで及び、地域社会が文字通り崩壊の悲劇に見舞われているというのに―。かつてない国民の不安、とりわけ暮らしを根底か ら覆された福島の住民の無念と痛恨の思いに何の痛みも感じないのでしょうか。
米倉氏は東電の原発事故を見て「千年に1度の津波に耐えているのは素晴らしい。もっと胸を張るべきだ」と言い放ちました。賠償でも「東電の免責は 当然」、東海地震の震源地に建つ浜岡原発の停止要請にも「唐突だ」と、なりふり構わず原子力発電と電力会社を擁護し続けています。他方で再生可能エネル ギーを増やすことについては「電力価格の上昇をもたらす」と敵視する姿勢です。
背景には電力会社が財界中枢に座り、日本への原発導入の当初から財界が後押しし、政治献金をテコに歴代政権に原発推進を迫ってきた、財界と原発と の深いかかわりがあります。それでもなお、悲惨極まりない3月11日の事故を経験した後では、利益を最優先にしたこれまでの原発推進の姿勢を少しは反省し てもよさそうなものです。しかし、米倉氏の発言や態度からは、そんな反省のかけらも見えません。
反省どころか、日本から出て行くぞと政府や国民を脅すに至っては、情けなささえ感じます。
いまそこにあるリスク
東電の事故は本質的に危険な原発こそ電力の安定供給の最大の障害であることを示しました。その原発から速やかに撤退し、再生可能エネルギーを最大 のスピードで本格導入していくことは大企業の経営にもプラスのはずです。大企業が原発の近くから工場を撤退しようとしているように、原発の存在はいまそこ にある経営のリスク(危険)にほかなりません。
大企業の中にも浜岡原発の停止要請を歓迎したり、再生可能エネルギーの推進を主張したり、安易な海外移転はしないと表明している経営者もあります。それと比べても経団連会長の姿勢は異常さが際立つばかりです。
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孫さん立派!・・自然エネルギー協議会:秋田で設立総会 ソフトバンクなど
2011年7月13日 13時25分毎日jpより
ソフトバンクと大阪、埼玉など35道府県は13日、太陽光や風力発電などの普及促進を目指す「自然エネルギー協議会」の設立総会を秋田市内で開い た。協議会はソフトバンクの孫正義社長
が、東京電力福島第1原発事故後、地域ごとに自然エネルギーを活用する分散型エネルギー社会の実現に向け設立を提唱 したのがきっかけ。自然エネルギーの普及で電源の原発依存からの
脱却を目指しており、36道府県が参加を表明していたが、福井県は参加を見送った。
具体的には、ソフトバンクが各自治体と協力し、休耕田などを利用して出力2万キロワットを超える大規模太陽光発電所「メガソーラー」を全国10カ 所に設置する計画が柱。自治体ごとの特色
を生かし、風力発電や地熱発電なども活用する。この日の総会では、孫氏と知事らが取り組み方針を確認。協議会の会 長には岡山県の石井正弘知事を選出した。
協議会は今後、国に対して、用地手当てのための規制緩和など自然エネルギー普及策を提言することも検討する。計画実現には、菅直人首相が退陣の条 件にあげている、自然エネルギーで
発電した電力の全量買い取りを電力会社に義務付ける「再生可能エネルギー固定価格買い取り法案」の成立も不可欠となりそ うだ。
協議会に賛同を表明した自治体は次の通り。
北海道、岩手県、秋田県、山形県、福島県、栃木県、群馬県、埼玉県、神奈川県、富山県、山梨県、長野県、静岡県、愛知県、三重県、滋賀県、京都 府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、
鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮 崎県。 【和田憲二】