米情報収集活動:暴露の元CIA職員「中国、香港も対象」
毎日新聞 2013年06月13日 11時25分(最終更新 06月13日 11時34分)
【上海・隅俊之】オバマ米政権による大規模な情報収集活動を暴露した米中央情報局(CIA)の元職員 で、香港に滞在中のエドワード・スノーデン氏(29)は香港英字紙、サウスチャイナ・モーニング・ポストの取材に応じ、米政府が2009年から中国本土や 香港のコンピューターをハッキングしていると語った。13日付の同紙が伝えた。
8日まで行われたオバマ米大統領と中国の習近平国家主席との首脳会談では、中国が発信地とみられるサイバー攻撃の問題も取り上げられた。中国政府は「中国もサイバー攻撃の被害者」と主張しており、今後、この問題が米中間の新たな外交の火種になる可能性もある。
スノーデン氏によると、情報収集の対象になっていたのは、香港の大学や公務員、ビジネスマンや学生ら で、ほかに中国本土も対象にしていた。米国家安全保障局(NSA)は世界中で6万1000件以上のハッキング活動を行い、香港や中国本土を対象にしたもの は数百件だったという。「中国の軍事システムに関する情報は漏えいしていない」と述べた。
米司法省は重大な機密漏えいの可能性があるとして捜査に乗り出している。米政府と香港政府の間には犯罪 人引き渡し協定があり、米政府が求めればスノーデン氏は米側に引き渡される可能性もある。スノーデン氏は「離れるよう求められるまで」香港にとどまるとの 意向を示した上で、引き渡し要求があれば「(香港の)裁判所で米政府と闘う。香港の法治を信じている」と語った。
また、スノーデン氏は「私は隠れるためではなく、犯罪を暴くためにここにいる」とも強調。「世界の人々がこのような組織的なプライバシーの侵害に反対していることをうれしく思う」と述べ、国際社会の理解が広まることに期待を示した。