大橋みつるの平和ト-ク・・世直しご一緒に!

世界の変化を見ながら世直し提言
朝鮮・韓国・中国・ロシアとの友好促進
日本語版新聞紹介

第14回口頭弁論/前川喜平氏の証人尋問を申請

2017-12-28 | あらゆる差別を許さない

〈勝訴に向かって/無償化・補助金裁判の今 12〉

愛知、大阪/前川・前事務次官の陳述書を提出

朝高指定は〝省内の共通認識〟

2013年1月24日の提訴以来、5年におよぶ裁判闘争を続けてきた愛知で12月20日、無償化裁判がついに結審を迎えた。原告と伴走してきた弁護団の裵明玉弁護士は、制度から弾かれ、苦しみ続けてきた原告の思いを改めて裁判官に伝えた。九州の裁判では、前川喜平・前文科事務次官の証人尋問が申請された。【月刊イオ編集部】

 

愛知無償化裁判

報告集会であいさつする内河惠一弁護団長

第26回口頭弁論/弁護団長「司法は適正な判断を」

愛知無償化裁判第26回口頭弁論で原告側は、最終準備書面とその補足となる書面を、被告側は第10準備書面と最終準備書面を提出。法廷でははじめに朝鮮学校の日常生活を記録したDVDが上映された。

前回の期日以降、弁護団による検証(裁判官が実際に朝鮮学校へ足を運ぶこと)の申出が却下されたため、原告側は映像制作を開始。映画監督の朴英二さんの協力も得て、愛知朝高生たちの学校生活を約15分の映像にまとめた。クラブの朝練、授業のようす、食堂での昼食、運動会の練習、生徒会活動など、朝鮮学校でいきいきと学ぶ生徒たちの飾らない姿が映し出され、傍聴席からは自然と笑い声が上がる場面もあった。

続いて、弁護団の裵明玉弁護士と内河惠一弁護団長が書面の要旨を陳述。裵弁護士は、これまでの事実関係を時系列にまとめ、被告の主張の矛盾点と不当性について改めて強く訴えた。

途中、原告らの言葉を引用しながら、涙をこらえる場面も見られた。

内河弁護団長は、「この事件は、間違いなく在日朝鮮人への偏見に満ちた人権侵害の問題。被告による姑息な法解釈のこじつけには、一人の日本人として心から怒りを覚えずにはいられない。司法が国の方向性を示唆することは大切だ。裁判官には、どうか一人ひとりの訴えに耳を傾け、適正な判断をしてもらいたい」と、自身の思いを静かに伝えた。

閉廷後に行われた報告集会では、裵弁護士が裁判の進行状況を解説した。

被告国側は、10月に新たな準備書面と156にも及ぶ証拠を提出し、◇朝鮮学校の教育内容が教育基本法の理念に沿っていない、◇朝鮮学校と密接な関わりがある総聯は反社会的な活動を行う側面がある、などの理由から、不指定処分は不当ではないという暴論を展開したという。

60年代の事件まで持ち出し、「総聯関係者には犯罪者がいる」などと主張した。これに対して弁護団は、200以上の証拠をもって反論。被告の主張の根拠の薄弱さや矛盾点を一つひとつ指摘した。

また、集会では弁護団が12月に提出した前川喜平前文科事務次官の陳述書に対し、被告側が改めて反論を申し出たことも報告された。裵弁護士は、「内容によっては、こちらも反論を考えている。しっかり対策を取って判決の日を迎えたい」と述べた。

大阪補助金裁判

控訴審第2回口頭弁論/「行政の裁量権、無限定ではない」3月20日に判決

12月6日、大阪高等裁判所大法廷で行われた大阪補助金裁判控訴審の第2回口頭弁論では、裁判長から、原告側が提出した控訴理由書(4)と第1、第2準備書面が確認された。原告の申請により、書面の要旨陳述が行われた。

原啓一郎弁護士は、「高裁からの問題意識があった点、および地裁では十分な検討が行われなかった重大な点について主張する」として4つの問題を指摘した。第1に、無償化裁判で大阪地裁が下した判決と本件との間に存在する共通点について。原弁護士は「教育費の負担軽減を図り、教育の機会均等を確保すること」に趣旨を置くという本質は、「補助金」を対象とする本件においても変わるところはないと指摘した。第2に、その要綱を行政庁が変えられるとした一定の「裁量権」は法律の趣旨により拘束され、無限定ではないと述べた。第3に、公安調査庁が作成した文書に掲載されたことを不交付の理由とした不当性について指摘した。最後に、本件の不交付が憲法13条や教育基本法、私立学校法、国際人権法などに違反すると主張した。

次に李承現弁護士が、今回提出した駒込武・京都大学教授の鑑定意見書をもとに陳述を行った。鑑定意見書は、大阪府が学園に示した「4要件」の不当性、違法性を私立学校法や私立学校振興助成法に照らして分析しながら、「…行政として超えてはならない一線を踏み越え」、「歴史の歯車を70年以上も前に引き戻そうとする暴挙である」と指摘した。最後に、朝鮮学校を裁判官自らが訪れ、教育現場を直接確かめる「検証の申出」を要請した。

陳述終了後、裁判長は原告側弁護団からの「検証の申出」を却下するとして、本件弁論の終結を宣言し、結審した。

【無償化連絡会・大阪】

九州無償化裁判

裁判後に行われた報告集会の様子

第14回口頭弁論/前川喜平氏の証人尋問を申請

12月7日の九州無償化裁判第14回口頭弁論では、原告側から前文科事務次官・前川喜平氏の陳述書を含む甲号証の証拠と前川氏の証人尋問を申請する証拠申出書が提出され、被告(国)からは第11準備書面、乙号証の証拠、文書提出命令申立書に対する意見書が提出された。被告の準備書面の内容は、無償化法や教育基本法の解釈をねじ曲げるとともに、朝鮮学校、総聯、朝鮮民主主義人民共和国に対するネガティブキャンペーンの度合いをさらに強めるひどいものだった。乙号証も偏見に満ちた新聞報道や公安の資料などが多かった。

前川氏の証人尋問に関しては、同氏が本件について文科省内で深く関わった官僚であったとともに、現在同省を退職した私人として誠実に供述できる人物であるので、証言を聞くことが必要不可欠だといえる。今後の九州訴訟のメインとなるのは、前川氏の証人採用と尋問、裁判官による九州朝鮮中高級学校での検証などだ。

裁判後には報告集会が行われた(写真)。今回、新しい試みとして九州中高生徒と弁護団、連絡協議会による交流会が同日、九州中高で行われた。また、弁護団、連絡協議会、九州中高教員、南朝鮮・釜山の朝鮮学校支援団体代表、北九州在住の在日同胞らによる懇親会も行われた。

【福岡朝鮮学園】

大阪無償化裁判

高裁での審理が始まった大阪。閉廷後、報告をする原告側弁護団の金英哲弁護士
(12月14日)

控訴審第1回口頭弁論/「国側は規定13条を都合よく判断」

大阪朝鮮学園が原告となり、去る7月28日に大阪地方裁判所で原告全面勝訴判決が下された高校無償化裁判の控訴審の第1回口頭弁論が12月14日、大阪高等裁判所で行われた。

大阪地裁判決は、高校授業料無償化・就学支援金支給制度の趣旨である「教育の機会均等」とは無関係な外交的、政治的判断に基づいた規定ハの削除は違法、無効であると断じ、国側が大阪朝鮮高級学校を不指定とした処分を取り消し、同校を無償化の対象に指定するよう命じた。

この日、控訴人(国側)から控訴状と控訴理由書が提出され、被控訴人(朝鮮学園側)からは答弁書が提出された。

控訴理由書の要旨について意見陳述を行った国側弁護士は、「大阪朝鮮高級学校が就学支援金に関する指定の要件を満たすとは認められないとした文部科学大臣の判断が『裁量権の逸脱』または『濫用』したものだとし、『ハの規定』を削除したことが制度の趣旨を逸脱して無効だとした原判決の判断が誤りである」とした。国側は文科大臣の判断に誤りはないとし、規定ハの削除については「文科省内でもかねてからの懸案事項であったので、文科大臣の外交的、政治的意見によるものでないことは明らか」だと断言した。

一方の朝鮮学園側弁護団は、規定13条適合性を都合よく解釈、適用している国側の誤りを指摘した。学園側弁護団は、国が要件としてあげた「(支給した就学支援金が)流出する恐れがないこと」について、他の外国人学校を例に挙げながら、朝鮮学校に対して法が差別的に適用されていると指摘。「不当な支配」に関して、国が抽象的な文言に終始し、偏った情報をもとに恣意的に「反社会的な活動」や総聯や朝鮮との「密接な関連」などを作りあげていると断じた。そのうえで、国が憲法や国際人権法、教育基本法をねじ曲げて解釈し、朝鮮学校に対して予断と偏見の目で見ており、法の趣旨である「教育の機会均等」という最も重要な視点が欠けていると指摘した。

このたび学園側は前文科事務次官・前川喜平氏の陳述書を法廷に提出した。前川陳述書は、「高校無償化法制定当時、文科省内には朝鮮学校を対象として指定しないとする議論は存在せず、指定対象になるということは関係者の共通認識だった」と指摘。「検討会議で『適正な学校運営』を議論する中で教育基本法の条項への抵触が問題とされたことは一度もなかった」ことや、「審査の継続中、高校教育改革プロジェクトチーム内において規定ハを削除する準備を進めていた」という主張についても、「当時の自分の記憶にそのような議論などなかった」と否定した。

学園側弁護団は以上のような内容の陳述を行ったうえで、地裁の原判決判断に誤りはないと述べた。

【無償化連絡会・大阪】

今後の裁判日程(いずれも2018年)

  • 大阪無償化裁判控訴審第2回口頭弁論:2月14日(水)15時~ 大阪高裁
  • 九州無償化裁判第16回口頭弁論:3月8日(木)14時~ 福岡地裁小倉支部
  • 大阪補助金裁判控訴審判決言い渡し:3月20日(火)15時~ 大阪高裁
  • 東京無償化裁判控訴審第1回口頭弁論:3月20日(火)15時~ 東京高裁101号法廷
  • 愛知無償化裁判 判決言い渡し:4月27日(金)14時~ 名古屋地裁

(朝鮮新報)

「勝訴に向かって/無償化・補助金裁判の今」記事一覧

 
 
 
 
 

 

 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする