疲労、不眠症、脱毛…
新型コロナ回復から1年過ぎても半数に「後遺症」
10人中3人は呼吸困難、不安・うつ病
疲労感・筋肉無気力症の訴えも20%
不眠症17%・脱毛11%発現
6カ月目に比べ1年目に回復の傾向は明確
新型コロナウイルスの最初の発生地である中国湖北省の武漢で、感染後に回復した患者のうち半数ほどが1年が過ぎた後にも依然として様々な後遺症を病んでいることが明らかになった。
27日の「サウスチャイナ・モーニングポスト」の報道を総合すると、中国の研究者たちは武漢の新型コロナ指定病院である金銀灘病院で昨年1月~5月に退院した患者1276人を対象に追跡調査を進めた結果を、前日に医学専門誌「ランセット」に掲載した。調査対象者の平均年齢は59歳であり、感染後6カ月と1年をむかえる時点にそれぞれ健康診断をはじめとする各種の検査を実施した。
これを具体的に見ると、感染後1年が過ぎた時点でも、回復した患者10人のうち3人の割合で呼吸困難、不安・うつ病の症状が見られた。また、20%は回復初期に最も多く見られる後遺症である疲労感と筋肉の無気力症を依然として訴えた。この他、17%は不眠症を訴え、11%は脱毛症状を示した。
研究陣は「円満に回復した患者が多数だったが、特に感染当時に重症症状を示した患者を中心に、1年が過ぎた時点でも健康の不安が続いていた」とし、「一部の患者は完全に回復するのに1年以上かかった。したがって長期的な医療サービスの提供を計画しなければならないだろう」と伝えた。
実際、軽症の回復患者の20~30%が血液に酸素を供給する肺胞機能の低下症状を示したが、入院当時に呼吸器治療を受けた重症患者群では54%が同じ症状を示した。ただし、6カ月目の検査で調査対象者の11%が嗅覚減退を訴えた反面、1年目には同じ症状を示した患者は4%にとどまり、回復期間が長くなるほど各種の後遺症も弱まる傾向を見せた。
「ランセット」は前日の社説で、新型コロナの回復患者が体験する長期後遺症を称する「ロング・コビット」を「現代医学が直面した最大の難題の一つ」に指定した。同誌は「確実な治療法も回復指針もないロング・コビットは回復患者が日常に復帰するうえで多大な影響を及ぼす」として「医療費負担の増加と経済・生産力の損失など、これに伴う社会的波及も大きいロング・コビットについて、きちんと認識できていないのは世界的現象」と憂慮した。世界保健機関(WHO)による集計の結果、新型コロナの最初の発生から現在までの感染患者は世界で約2億1400万人にのぼる。