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韓国にとって今回の事態は文字通り「背後から切られたようなもの」と言える。米中戦略競争が始まり、韓国が初めて向き合うことになった「事件」はTHAAD(高高度防衛ミサイル)事態だった。

2022-09-05 | 韓国あれこれ・・・

「背中を刺された」…

米国のサプライチェーン再編に参加した韓国に大きな試練

登録:2022-09-05 06:42 修正:2022-09-05 07:49
 
韓国政府、米国の「インフレ抑制法」対策に苦心 
尹政権、韓中関係を犠牲にして 
米主導のIPEFやチップ4などに参加したが 
むしろ「アメリカリスク」直撃受ける 

米、「中国との戦略競争にこだわり」 
立法の修正・猶予が容易でない状況
 
 
             米国のジョー・バイデン大統領/ EPA・聯合ニュース

 「韓国は米国のインフレ抑制法を『背中を刺された』ようなものと捉えるかもしれない」

 米国の「ブルームバーグ」ニュースは2日、米国のインフレ抑制法の発効により韓国が受けた衝撃を「裏切られた」という言葉で表現した。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が5月に就任して以来、前任の文在寅(ムン・ジェイン)政権が維持してきた米中バランス外交路線をやめ、米国が進めてきたサプライチェーン再編の動きなどに積極的に応え、「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」加盟や「チップ4」への参加など、相次いで難しい決断を下してきたが、結果的に失敗した格好になったためだ。同法により米国市場シェアの10%台への引き上げを目指していた現代・起亜自動車が補助金対象から外され、先に作られた「CHIPS法」によって、米国に大規模な投資計画を明らかにしたサムスンとハイニックスが補助金の恩恵を受けるためには中国に新規投資や生産ラインのアップグレードができなくなった。同メディアとのインタビューに応じたチョン・ソンフン元統一研究院長も、韓国が感じる戸惑いを「背中を刺された」と表現し、「米国に多額の投資をしたため、韓国政府や国民は市場アプローチ性という側面でその分の利益を得られると予想していた」と述べた。

 韓国にとって今回の事態は文字通り「背後から切られたようなもの」と言える。米中戦略競争が始まり、韓国が初めて向き合うことになった「事件」はTHAAD(高高度防衛ミサイル)事態だった。2016年に在韓米軍にTHAADを配備するという問題が浮上した後、韓中関係は急速に悪化した。中国は韓国に「韓限令」という名の経済報復を加えた。しかし、予想できる軋轢だった。朝鮮半島にTHAADが配備されたことで、自国の安全保障上の利益が侵害されたと判断した中国が「報復」したためだ。THAAD配備が本当に韓国にとって得なのかどうかについては様々な意見があるが、自ら下した判断に対する「代償」を払うことであり、覚悟して臨むことができた。

 2021年1月、ジョー・バイデン政権が発足してからは、対立の中心軸がTHAADのような「伝統的な安全保障」から「経済安全保障」に変わった。「価値観外交」を掲げる尹錫悦政権はこれに積極的に参加した。企業も価値を共有する国家を中心とした「サプライチェーンの再編」作業に合わせ、米国に対する大規模投資計画を次々と発表した。しかし、自国を優先視する米国の立法によって、善意を持って下した判断が仇になったわけだ。

 問題は、中国との戦略競争を名分に掲げ、半導体や電気自動車(EV)などを自国内で生産するという米国の決心があまりにも強く、これを変えるのは容易ではない点だ。外交部のイ・ドフン第2次官は先月30日、国会外交統一委員会で「現代自動車の米国ジョージア州工場が2025年に完工するまで同法を猶予できないかを米国に集中的に要求すべき」という与党「国民の力」のチョン・ジンソク議員の指摘に「2025年までに一種の暫定的措置でも設けることを提案した」と述べた。韓国政府がこれを初めて求めた時点は、米議会で法が最終的に成立(先月16日)する前で、韓国の要求は事実上受け入れられなかった。

 政府は合同代表団の米国訪問(先月29~31日)やキム・ソンハン国家安保室長の韓米日安全保障担当高官による協議(1日)などを通じて、米国に韓国の立場を説明しているが、米国から明確な答えは得られなかったという。キム室長は協議後、インフレ抑制法が韓国製EVを米国の補助金対象から除外したことについて、ジェイク・サリバン補佐官が「皆家に帰ってインフレ抑制法を熟読してみよう」と述べたと伝えた。さらにサリバン補佐官が「インフレ抑制法はEVに限ったものではなく、自由主義国家間のサプライチェーン問題の再確立に対する戦略的方向性が含まれている側面がある」という説明を加えたという。米中間の戦略摩擦に対抗するために作られた法を、韓国の利害のために修正することは難しいという意味とみられる。ホワイトハウスも同日、協議に関する資料を発表したが、韓国が強調した「インフレ抑制法などに対する懸念」には言及しなかった。8~9日、ロサンゼルスで開かれるIPEF閣僚級会議に参加するアン・ドックン産業通商資源部通商交渉本部長も会議後、ワシントンを訪問し、米政府の高官級とEV補助金問題を追加協議する予定だが、劇的な変化を期待するのは難しい状況だ。

 このような中、バイデン大統領は自国で半導体やバッテリーなどを生産するという意志を強調した。バイデン大統領は1日、資料を発表し、米国の相次ぐ立法で今週(8月28~9月3日)だけマイクロンやトヨタ、ホンダなどが米国に新たな大規模投資計画を発表したとし、「私たちは将来、EV、半導体チップ、光学繊維や他の主な部品をここ米国で生産する」と述べた。

キル・ユンヒョン記者、ワシントン/イ・ボニョン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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円相場が一時、1ドル=140円台まで下落し、1998年以来24年ぶりの安値を記録した。原材料価格の引き上げに加え円安の流れが続き、日本でも物価が高騰し、貿易赤字が続くなど、経済的困難が続いている。

2022-09-05 | 世界の変化はすすむ

ドル高で円もガタ落ち…24年ぶりに140円台まで下落

登録:2022-09-03 08:14 修正:2022-09-03 12:19
 
輸出企業の工場移転により輸出のメリットは大きくなく 
原材料価格の上昇で企業・家計に負担直撃 
日本財務相「急速な変動は望ましくない」
 
 
円相場が一時、1ドル=140円台まで下落し、1998年以来24年ぶりの最安値を記録した=東京/AFP・聯合ニュース

 円相場が一時、1ドル=140円台まで下落し、1998年以来24年ぶりの安値を記録した。原材料価格の引き上げに加え円安の流れが続き、日本でも物価が高騰し、貿易赤字が続くなど、経済的困難が続いている。

 2日午前、東京外国為替市場で円相場は1ドル=140.26円まで下がった。円相場が140円台を突破したのは1998年8月以来。円相場は今年に入って18%も下落した。これは1979年(19%)以来43年ぶりのことだ。日本の鈴木俊一財務相は同日の記者会見で、「急速な変動は望ましくないが、最近の変動はやや大きいという印象だ。政府として為替市場の動向に高い緊張感を持って注視していきたい」と述べた。

 韓国のウォンと同様に、最近円安が続いているのは外部要因のためだ。米国が自国の物価上昇を抑制するために6~7月、連邦公開市場委員会(FOMC)で2回連続で金利を0.75ポイント引き上げたのに続き、先月26日のジャクソンホール会議で米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエルの議長は、これまでの通貨政策基調を維持するという方針を明らかにした。その影響で米国に資金が集中し、世界の主要通貨の一つである円の下落も加速している。

 だが、円安による貿易収支改善効果などは観察されていない。日本の貿易収支赤字はすでに12カ月連続で続いており、今年7月には1兆4367億円を記録した。7月の赤字額としては史上最高水準だ。米国・中国など主要国の経済が新型コロナウイルス感染症の余波から回復できていないうえに、日本の製造業工場の海外移転などで円安が以前ほど輸出増加に寄与できないためだ。

 一方、ウクライナ戦争によるエネルギー価格の高騰や輸入物価の上昇で、経済の厳しさは増している。調査会社「帝国データバンク」が7月に日本企業を対象に実施した調査(回答1万1503社)によると、61.7%が「円安が企業業績に負の影響を与えた」と回答している。

 庶民の生活に直接影響を与える食品・外食などの生活物価も上がり続けている。パン、菓子、ラーメン、ビールなど今年中に食品だけで2万品目の価格が上がる見通しだ。東京商工リサーチは7月の調査で、外食業120社のうち、半分ほどの53社が今年値上げを表明したと明らかにした。

 NHKは「かつてほど輸出によるメリットは大きくない。また、円安には外国人観光客を呼び込むプラスの面もあるが、新型コロナウイルスの感染拡大でそのメリットも薄らいでいる」とし「今の円安はデメリットのほうが大きい『悪い円安』だという指摘も出ている」と報じた。

東京/キム・ソヨン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
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