2023年3月6日(月)
NHK日曜討論 井上参院幹事長の発言
日本共産党の井上哲士参院幹事長は5日の「NHK日曜討論」で、参院で2023年度予算案の審議が始まるなか、物価高やエネルギー対策など暮らしや経済の問題について、与野党の参院幹部と議論しました。
物価高騰
食品や燃料など物価高騰について、井上氏は政府の対策は電気、ガス料金抑制など「部分的、一時的なものだ」と指摘。その上で、すべてにかかっている消費税の減税と、事実上の増税となるインボイス(適格請求書)制度の中止を求めました。
また、政府の「異次元の子育て支援」は「子どもが増えたら予算が増えるというなりゆき任せだ」と批判。給付制の奨学金とともに、「憲法で義務教育は無償としている」として、学校給食の無償化を主張しました。
自民党の世耕弘成参院幹事長は、追加の物価対策を17日までに党内でまとめることを明らかにした上で「3月末までの予備費が5兆円残っている。これをフル活用していきたい」と表明しました。
原発回帰
政府が原発依存度を低減する政策から、原発を最大限活用する方針へ大転換した問題では、世耕氏が、各電力会社が値上げ申請するなか、原発を再稼働させた関西電力と九州電力は申請を行っていないと発言。「原発は比較的コストが安く、CO2を出さない」と正当化しました。
日本維新の会の東徹参院国対委員長は「電力会社も(原子力)規制委員会も、もっと効率的に審査をして早く再稼働を進めるべきだ」とあおりました。
井上氏は、政府が原発の運転を60年を超えて可能とする法案を閣議決定したことについて「安全審査中などの停止を運転期間に含めないというが、停止中も劣化は進む」と批判。原発はゼロにし、再生可能エネルギーを拡充すべきだと強調しました。
金融政策
今後の金融政策について、日銀総裁候補の植田和男氏は2%の物価安定目標や金融緩和などアベノミクスを継続する考えを示しています。
自民、公明両党がアベノミクスは雇用拡大に成果があったと強調したのに対し、井上氏は「アベノミクス、そして異次元の金融緩和の破綻は明らかだ」と批判。株価の上昇で大企業や富裕層のもうけが増えた一方、非正規労働や低賃金労働が拡大し、10年間で実質賃金は年間24万円減ったと指摘し、「金融頼みではなく、賃上げを軸に実体経済を立て直して内需を拡大することが必要だ」と述べました。
立憲民主党の田名部匡代参院幹事長は「アベノミクスはすでに失敗していると総括しなければならない」と主張。世耕氏は「失敗して経済が悪くなっているなら、選挙に大敗して政権を失っている。安倍政権の間、6回の国政選挙に勝った。そういう意味では、アベノミクスは成功だ」と強弁しました。
統一地方選
今後の予算審議や統一地方選への姿勢を問われた井上氏は「物価高騰から国民の暮らしと命を守ること、大軍拡の暴走にストップをかける。この点で徹底論戦をしていきたい」と強調。「統一地方選挙でも平和の審判を下し、命と暮らし第一の政治を実現しようと強く訴えていく」と語りました。