日韓パートナーシップ宣言の精神で
両国政府は真摯な努力を
徴用工問題での韓国政府の発表をめぐって
韓国政府が、2018年に同国の大法院(最高裁)が元徴用工らへの日本企業の賠償責任を認めた判決について、韓国政府傘下の財団が賠償金の支払いを肩代わりする方策を発表(6日)しました。日本の林芳正外相は、「1998年の日韓共同宣言を含め歴史問題に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでいることを確認する」と述べました。
被害者の名誉と尊厳の回復こそ
徴用工問題は、戦時下、朝鮮半島から、多数の人々を日本本土に動員し、日本企業の工場や炭鉱などで強制的に働かせ、劣悪な環境、重労働、虐待などによって少なくない人々の命を奪ったという、日本の侵略戦争・植民地支配と結びついた重大な人権問題です。元徴用工らが求めているのは、ここに対する日本政府と当該企業による謝罪を通じた被害者の名誉と尊厳の回復です。
日本政府や当該企業は、1965年の日韓請求権協定で「完全かつ最終的に解決された」として、被害者の求めに応じてきませんでした。
しかし、国家間で請求権の問題が解決されたとしても、個人の請求権が消滅していないことは、日本共産党議員の国会質問への答弁を含め、日本政府自身が繰り返し言明し、日本の最高裁判決でも明示されてきたことです。
日韓の両政府に解決の方向提起
日本共産党の志位和夫委員長は2018年12月に、日韓議員連盟代表団の一員として、韓国・大統領府(青瓦台)を訪問した際、「徴用工問題の本質は、植民地支配と結びついた人権侵害というところにある。だから、『植民地支配への反省』を明記した(1998年の)『日韓パートナーシップ共同宣言』の精神に立って、被害者の名誉と尊厳が回復されるよう、日韓がともに努力していくことが大切だ」と強調しました。
その上で、「その際、日韓請求権協定によって、両国間の請求権の問題が解決されたとしても、被害者個人の請求権を消滅させることはないということは、日本政府も最近も国会答弁で公式に表明していることだ。(日韓)両国政府はこの点で一致している。この一致点を大切にして、被害者の名誉と尊厳の回復にむけた前向きの解決が得られるよう、日韓の冷静な話し合いが大切だと思う」と表明し、解決の方向について提案してきました。
真の問題解決に向け、この方向こそが、徴用工問題はもちろん、望まれている日韓関係の前進のためにも、重要だと考えます。日韓両政府は、この宣言の立場にふさわしい、真摯(しんし)な努力を行うことがいま必要となっています。
(栗原千鶴)