2023年10月28日(土)
袴田さん姉「真の自由を」
静岡地裁再審開始 検察は有罪主張
静岡県で1966年に一家4人が殺害された事件で死刑が確定した袴田巌さん(87)の再審初公判が27日、静岡地裁でありました。袴田さんの代理で出廷した姉の袴田ひで子さん(90)が罪状認否で「57年にわたって、紆余(うよ)曲折、艱難(かんなん)辛苦がございました。弟に代わって無実を主張します。どうぞ弟、巌に真の自由をお与えください」と声を震わせながら述べました。
公判冒頭で、國井恒志裁判長は再審公判に至った経過を説明。巌さんの出廷免除の理由について「拘禁反応と診断されており、意思疎通を図ることが困難だ」と述べました。検察の起訴状読み上げでは、ひで子さんが時折、検察官に目をやり、聞き入りました。
公判では、事件から1年2カ月後にみそタンクから発見された“犯行着衣”とされる5点の衣類が争点です。
検察は、事件直後に袴田さんが衣類をタンクに隠したとしています。しかし、衣類についた血痕は変色することなく、赤みを残していたため、捜査機関による捏造(ねつぞう)が再審請求審で指摘されています。
検察は、冒頭陳述で長期間のみそ漬けでも赤みが残る場合があると主張。今後の公判では、血の色調について、複数の専門家の証人尋問などが行われる見通しです。
弁護側は赤みが残っていた5点の衣類について「発見直前にみそタンクに入れたのではなく、衣類が長期間、漬かっていたことを確実に証明すべきなのに、検察は肝心のこの点を証明していない」と反論しました。
また、「袴田さんを犯人に仕立ててきたそれまでの証拠捏造だけでは有罪判決を得られそうにないため、5点の衣類を捏造した」と、捏造の“動機”を指摘しました。
公判は来年3月までに少なくとも12回行われ、判決は4月以降となる見通しです。