世界文化遺産への登録が6日、決まった「百舌鳥(もず)・古市(ふるいち)古墳群」(大阪府)の構成資産には、世界最大級の墳墓である「仁徳天皇陵古墳」(大山=だいせん=古墳)など宮内庁が管理する陵墓29基が含まれる。今後参拝客の増加が見込まれるが、宮内庁は「世界遺産となっても皇室祭祀(さいし)が行われる『祈りの場』に変わりはない」と強調。「墳丘内部への立ち入りを認めることはなく、保存管理に一層努力する」と静観している。
陵墓は宮内庁が管理する皇室祖先の墓。皇室典範では天皇と皇后、太皇太后、皇太后を葬る所を「陵(りょう)」、他の皇族の墓を「墓(ぼ)」と定める。皇族の墓である可能性が高い「陵墓参考地」を含めると計899に上る墓を宮内庁が管理している。
陵墓は皇室祭祀が行われる聖域として宮内庁が管理してきた結果、戦後の宅地開発から守られてきた経緯がある。
陵墓には「拝所」が設けられており、一般人も参拝が可能だ。宮内庁には「世界遺産登録がお代替わりと重なり、皇室の歴史に関心が高まる」と肯定的な見方がある一方、陵墓担当者は「現在も毎年被葬者の命日に祭祀が行われている」と説明。静かな環境と尊厳を守ることが宮内庁の役目とし、墳丘内部の立ち入りや一般公開は「墳丘の破壊につながり、今後も認めることはない」と明言する。
ただ、宮内庁には陵墓の保存管理に「地元自治体との協力は不可欠」とする声もある。昨秋、仁徳天皇陵で初めて、堺市とともに実施した堤での共同発掘調査を念頭に「他の陵墓でも可能な範囲で学術調査に協力していきたい」(宮内庁幹部)としている。
■宮内庁の坂井孝行書陵部長の話「(登録決定は)喜ばしい。お墓としての『静安と尊厳』が損なわれないことを前提に、今後とも陵墓を含む世界文化遺産の保全に向けて必要な協力を行いたい」
韓国の「書院」9カ所 世界遺産への登録決定
【ソウル聯合ニュース】国連教育科学文化機関(ユネスコ)は6日、アゼルバイジャンで世界遺産委員会を開き、韓国の朝鮮王朝時代の教育機関だった「書院」9カ所で構成される「韓国の書院」を世界文化遺産への登録を決定した。
「韓国の書院」は1543年に「白雲洞書院」の名称で建立された朝鮮で最初の書院、紹修書院(慶尚北道栄州市)をはじめ、玉山書院(慶尚北道慶州市)、陶山書院(慶尚北道安東市)、屏山書院(安東市)、道東書院(大邱市達城郡)、藍渓書院(慶尚南道咸陽郡)、武城書院(全羅北道井邑市)、筆巖書院(全羅南道長城郡)、遯巖書院(忠清南道論山市)の9カ所。
これらの書院は全て2009年以前に国家指定文化財の史跡に指定され、保存状態が比較的良好とされる。
書院は公立学校だった郷校と違い、郷村社会で自主的に設立された私設学校だ。儒教が発達していた朝鮮の建築物として、儒学の一学説である性理学の社会への伝播をけん引し、定型性をもった建築文化をつくり上げた点で、世界遺産の必須条件である「顕著な普遍的価値」(OUV)を認められた。
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