「安保3文書」基づく23年版外交青書
軍事力一辺倒の方針
林芳正外相は11日の閣議で2023年版外交青書を報告しました。中国など新興国の台頭によって競争が激化し、「歴史の転換期」にあると明記。これに対し、安保3文書に基づき「防衛力の抜本的強化に裏打ちされた外交を展開」し、日米同盟や同志国との協力を強化すると強調しました。
青書は安保3文書に関する特集を掲載。同文書に基づく「力強い外交」の具体例として、日米の戦略レベルでの連携や、同志国との協力の深化、北大西洋条約機構(NATO)や欧州連合(EU)、東南アジア諸国連合(ASEAN)との安全保障上の協力の強化などを列挙し、軍事力一辺倒の「外交方針」を示しました。
中国の対外姿勢や軍事動向は「これまでにない最大の戦略的な挑戦」だと位置付け、「日本の総合的な国力と同盟国・同志国などとの連携で対応すべきだ」としました。
ロシアによるウクライナ侵略を受け、「北方領土」問題の解決を含むロシアとの平和条約締結交渉については「展望を述べる状況にない」と強調しました。
韓国は「重要な隣国」だとし、今年3月に尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権が発表した元徴用工問題の「解決策」を評価。22年版にはなかった「日韓を健全な関係に戻し、さらに発展させる」との一文を加えました。
また、南半球を中心とする新興・途上国を指す「グローバル・サウス」について初めて明記。存在感が増しているとして、連携強化を盛り込みました。
核兵器禁止条約については、昨年と同様に核保有国の不参加を理由に署名に背を向けました。