また、女か・・・

これは、私が生まれた時に漏れた父のため息まじりの言葉。

こう人に話すと、悲しい幼少時代を過ごしたのではないかと思われる。
けれども、家族でこれが話題になる時、みんなニコニコしている。

臨月が近づくにつれ、周りの人間が根拠の無い性別判断をし、希望的観測もあったのか、今度は男の子と勝手に思っていたらしい。

たかが二人目で「また」とは失礼な話と私も思うが、そんな胎教のせいか、それとも、もって生まれた何かのせいか、私は父とよく遊んだ。
ぬいぐるみは好きだったが、着せ替え人形で遊んだことは無い。父の日曜大工の助手は決まって私が担当。男の子が持つようなおもちゃが並び、なぜだか、ガキ大将がよく遊びに来ていた。

息子と飲むのが夢だった父は、娘と飲むことになり、その酒量もいつの間にかその娘より少なくなってしまった。
ちなみに、連休で遊びに来ている義兄、父にとっては義理の息子だが、ここでも父の夢ははかなく消えた。下戸なのだ。