昨年の暮れ近く バッド・ニュースが飛び込んできた
そのせいか何となく物憂い日々だった
自分が人生を愉しむ事に何処か後ろめたさのような物を感じて 中途半端な日々だった
11年前 あの冬空の下をほぼ2ヶ月間 暗くなるまで彷徨った日々を思い出していた
昨夜から 今日は出かけると決めていた
朝になって 突然 深谷に決めた
徘徊の決め手は 目的地がある事 見知らぬ土地である事 とにかく歩く事 これだけである
ビールなら駅でもコンビニでも買える
日本煉瓦製造株式会社を見たかったが 平日しか見られないと これは先刻承知
私にとっては 当分見られないというのと同義語だ
あるいは生涯かもしれない
此処は 閉鎖後の将来が決まっていない身の上なのだから
だから 知っていて出かけた
愚かな行為だが 愚かな行為ほどまた面白いものは無い
此処でも 国道を(じゃなくてもだが)歩く人間なんて誰一人居やしなかった
比較的駅に近いところに商業高校がある
大正10年に建てられたシンメトリーが美しい校舎だ
部外者立ち入り禁止の札を無視して拝見させてもらった
深谷は澁澤栄一縁の地であるが 実を言うと私は当のご本人より 孫にあたる龍彦氏のファンだった
血洗島の事も 彼の書物の端々に登場していて馴染みはあった
もう一つ見たかったのは 国の需要文化財になっている誠之堂だった
建物は無論 施設も 説明して下さった方々も素晴らしかった
散々歩いた後で(10キロ近くは歩いただろう)行くのを迷ったのだが 駅に戻ってからタクシーに乗って行った
二度と来ない 来られないかもしれない そんな想いに背中を押された
河畔に立つ平屋の煉瓦造りの家は 傾きかけた日を浴びて美しかった
風見鶏の これは珍しい東西南北の漢字が青空を背景に見えた時 ただただ嬉しかった
今日一日がどんな旅だったか おそらく誰にも興味の無い事だろう
長い日記を書いても 読み手を退屈させるだけだ(そもそも読み手など居るのか)
だが 少し昔の徘徊の挙句に得たものに匹敵するほどのものがあった
少しずつ 冬が好きになっていく
そのせいか何となく物憂い日々だった
自分が人生を愉しむ事に何処か後ろめたさのような物を感じて 中途半端な日々だった
11年前 あの冬空の下をほぼ2ヶ月間 暗くなるまで彷徨った日々を思い出していた
昨夜から 今日は出かけると決めていた
朝になって 突然 深谷に決めた
徘徊の決め手は 目的地がある事 見知らぬ土地である事 とにかく歩く事 これだけである
ビールなら駅でもコンビニでも買える
日本煉瓦製造株式会社を見たかったが 平日しか見られないと これは先刻承知
私にとっては 当分見られないというのと同義語だ
あるいは生涯かもしれない
此処は 閉鎖後の将来が決まっていない身の上なのだから
だから 知っていて出かけた
愚かな行為だが 愚かな行為ほどまた面白いものは無い
此処でも 国道を(じゃなくてもだが)歩く人間なんて誰一人居やしなかった
比較的駅に近いところに商業高校がある
大正10年に建てられたシンメトリーが美しい校舎だ
部外者立ち入り禁止の札を無視して拝見させてもらった
深谷は澁澤栄一縁の地であるが 実を言うと私は当のご本人より 孫にあたる龍彦氏のファンだった
血洗島の事も 彼の書物の端々に登場していて馴染みはあった
もう一つ見たかったのは 国の需要文化財になっている誠之堂だった
建物は無論 施設も 説明して下さった方々も素晴らしかった
散々歩いた後で(10キロ近くは歩いただろう)行くのを迷ったのだが 駅に戻ってからタクシーに乗って行った
二度と来ない 来られないかもしれない そんな想いに背中を押された
河畔に立つ平屋の煉瓦造りの家は 傾きかけた日を浴びて美しかった
風見鶏の これは珍しい東西南北の漢字が青空を背景に見えた時 ただただ嬉しかった
今日一日がどんな旅だったか おそらく誰にも興味の無い事だろう
長い日記を書いても 読み手を退屈させるだけだ(そもそも読み手など居るのか)
だが 少し昔の徘徊の挙句に得たものに匹敵するほどのものがあった
少しずつ 冬が好きになっていく