みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

『原発をつくらせない人々―祝島から未来へ』(山秋真・岩波新書)/原発の呪縛・日本よ!上野千鶴子さん

2013-01-20 21:26:35 | 地震・原発・災害
きょう1月20日は二十四節気の一つ「大寒(だいかん)」。
立春の前日までの二週間は一年で寒さが最も厳しくなるころ。
『暦便覧』では「冷ゆることの至りて甚だしきときなれば也」とされています。

大寒にあわせるように満月ロウバイが咲きました。

   
いつもなら1月の初めか中ごろには咲いているのですが、
今年は開花が少し遅いようです。

ピンクの大輪の椿も咲きました。
  

畑の無農薬野菜たっぷりの野菜炒め。
   


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友人の山秋 真さんの二冊目の本、
『原発をつくらせない人々』(山秋真・岩波新書)を読みました。

紀伊半島、能登、原発をつくらせなかった各地の闘いを丹念に取材し、
メーンは通い続けた山口県の「祝島」。

とても良い本です。
『原発をつくらせない人々』(山秋真・岩波新書) 


山秋真さんは、最初に書いた『ためされた地方自治』(桂書房)で「やよりジャーナリスト賞」も受賞されています。
 『ためされた地方自治
原発の代理戦争にゆれた能登半島・珠洲市民の13年』(山秋真/桂書房/2007) 
 
「珠洲市民の《失われた時間》は、同時に、闘って自治を手に入れる貴重なプロセスであった
 上野千鶴子 (東京大学大学院教授)」


  『原発をつくらせない人びと―祝島から未来へ』 
山秋 真著
(新赤版1399)

 みんなの海じゃから、守らんといかん
 毎週月曜日の夜、西瀬戸内海の祝島ではおばちゃんたちが中心になって、島の中を30分ほど、デモをします。島独特の練塀(ねりべい)のあいだの細い路地を、みんなで歩くのです。2012年の11月までに、1150回をこえました。
 30年以上、〈非暴力〉によって大きな力にあらがいながら、「原発はいらない」と言い続けてきた祝島の人びと。文化や祭りを守り、海や山での日々を大切にしながら生活している姿を、彼ら/彼女らの声とともに伝えます。
(新書編集部)

■著者からのメッセージ
 世界地図を眺めると実に小さな列島に、いつのまにか17カ所に54基もの原発が林立していました。長らく原発が国策として強力に進められてきた結果です。そして、福島のおおきな犠牲の末に、原子力政策がようやく国政選挙の争点になりました。国の政策を変えていくことは、一筋縄にはいかないかもしれません。
 実は、原発をつくらせなかった地域が、日本には30カ所以上もあります。その経験を共有し学びたいと思い、この『原発をつくらせない人びと―祝島から未来へ』では、原発をつくらせまいとあらがいつづける祝島を中心に、人びとの経験と声を綴りました。そうした人びとの姿を知ることが、この激動期に社会を変えることを迫られる大人たちや、そうした大人を見ながら成長してゆく子どもたちにとって、未来への希望を持ちつづける力になることを願っています。

■著者紹介
山秋 真(やまあき・しん)神奈川県出身。米国交換留学中に、79年に事故があったスリーマイル島原発の地元、ミドルタウンを訪問。ホームステイをする。それをきっかけに、原発計画にゆれた石川県珠洲市と、その関連裁判へ通って取材し、記録をとる。2003年の同計画凍結後、東大大学院の上野千鶴子ゼミへ通い、『ためされた地方自治―原発の代理戦争にゆれた能登半島・珠洲市民の13年』(桂書房、2007年)を執筆。この本で松井やよりジャーナリスト賞(08年)、平和協同ジャーナリスト基金賞 荒井なみ子賞(07年)を受賞。現在は祝島に通い、滞在して、上関原発計画の状況と計画にあらがう人びとを取材・発信し、『週刊金曜日』『DAYS JAPAN』などに執筆している。
 
■目次
序 章 原発ゼロの地
日本の原発は、どこに/原発ゼロの地、紀伊半島/熊野の漁師たちの活躍/能登半島の珠洲市/日本海沿岸の交易の拠点/敦賀からのメッセージ/そして選挙は/計画の凍結へ
第一章 おばちゃんたちは、つづける
祝島と原発/みずからの声で「原発反対」へ/「一心会」の誕生/おばちゃんたちが始めた週一回のデモ/「なぜ30年つづけられるのですか」/「たまげる」日々/一年中ズボンに/祝島の女性たち/素人選挙、はじまる/神舞神事の見合わせ/船を見張る/上関原発音頭/町長、原発誘致を申し入れ/「島民の会」
 
第二章 祝島 その歴史と風土
海の関所 上関/農村とは異なる集落/海上交通の要衝/神に直属する人の地 祝島/貴重な五穀の種/神人の特権/祝島と杖/神につながる「海の領主」/祝島の底力/練塀の集落/「ジンギ」が生きている/石垣棚田にみる技術力/祠のような暗渠/水が足りないわけ/水が溜まらなくなった/独特の生態系/生物多様性の宝庫
 
第三章 陸でたたかう
四代地区 田ノ浦/「国内最後の新規立地」/反原発地主の会と立木トラスト/入会地は誰のもの/入会権とは/宮司解任/田ノ浦へ通う日々/「カパッとわれちょる」島で/原発は人のこころを……
 
第四章 海でたたかう
女漁師民子さん、豊かな海へ/ひじきをつくる/火の神様のために/祝島の漁師、反対の決議を重ねる/共同漁業権/漁業権の切り替え時期/共同漁業権の分割へ/つづく「祝島はずし」が逆に力に/環境影響調査の範囲を縮小/幾重もの布石/「原発のカネは受けとらん」/祝島漁協、合併へ/祝島の船、ボーリングの台船へ/海の埋め立てはじまる/「体力がもたん」/「虹のカヤック隊」誕生/“着工”/暗い海に飛び交う怒号/けが人発生/スラップ訴訟/「外部の人」攻撃を超えて/「あやしい台船は通さん」/経産省の答え/潮と風と船と/年が明けて再び
 
第五章 田ノ浦と祝島沖の2011年2月
台船が来ることが日常的に/“事件”/海上保安庁による全船立ちいり検査/必死の抗議/転覆の危機/全船とめて/立ちいり検査つづく/中電にも指導が/海上保安庁との会話/緊張も活気も不安も/陸の2・21/田ノ浦の浜に、スクラムをくぐって/祝島に休みはなし/海の2・21/いのちがけで台船をとめる/身体にロープを巻きつけて/増える海上保安庁の船
 
第六章 東電の原発事故のあと
田ノ浦でむかえた3月11日/町長、知事、「慎重に」/中国電力「一時中断」が/「宝の海」にはぐくまれて/海の森と山の森/イカス漁/近隣地域への広がり/埋め立て免許の延長は認めず/本当に中止になるのか/安全を言うチラシ/「海賊船」を再現/全国の署名が100万超える/しかし、つづく漁協ゆさぶり/二枚潮と潮の目/選挙の争点にならない原発/福島の漁師の声

終 章 未来へ
ビワの葉とともに/故郷へ戻ってくる/人びとのあいだの「亀裂」がなくなる日へ/島に帰ってきて/「無関心層」の可能性と鍵/日々生きていくのは大変、ならば「原発なし」で/祝島の神舞年

 あとがき
 主要参考文献等
 本書関連年表  


12月に毎日新聞に載った上野千鶴子さんの「特集ワイド:原発の呪縛・日本よ!◇「弱者のまま」選択を」も再掲します。

 「ジェンダー平等政策」リスト7政党の回答書/日本よ! 社会学者・上野千鶴子さん◇「弱者のまま」選択を
 特集ワイド:原発の呪縛・日本よ! 社会学者・上野千鶴子さん
毎日新聞 2012年11月30日 東京夕刊

<この国はどこへ行こうとしているのか>
 ◇「弱者のまま」選択を−−上野千鶴子さん(64)

 「私たちが地球と命を汚しました。私たちは汚れました。もう、たくさんだ。もうこんなこと、やめましょう」
 1月、国際交流NGOピースボートなどが中心となり、市民の手で原発に頼らない社会を築こうと横浜市で開かれた「脱原発世界会議」。ゲストに呼ばれ、2日間の会議の締めくくりにスピーチに立った上野千鶴子さんが呼びかけた。そして、東京電力福島第1原発事故以降の日本の先行きを見据え、次のように言い切った。
 「大丈夫。私たちは原発がなくてもやっていける」
 「大丈夫。原発に代わる代替エネルギーや再生可能エネルギーは確実に手に入る」
 だが、三つ目の「大丈夫」だけはニュアンスが違った。「大丈夫かどうかちょっとわからないのは私たちがそれを決めることができるのかどうか」
 汚した「加害者」を自覚するとともに、これからの社会のあり方を決めるのは自分たち一人一人、人ごとではない、と覚悟を促すと、会場を埋めた約1000人から拍手がわき上がった。
 「深い深い後悔からです。環境問題を考え行動していた周囲の仲間は原発は危険、事故は必ず起きるとずっと前から言っていた。それを私は聞いていたのに、何もしてこなかった。こんなことになるとは知らなかったと申し開きはできません」。スピーチの動機をそう話す。
 性差別をなくし女性の権利を広げようと訴えるフェミニズムを通じて「こんな世の中に誰がしたのか」と問い、「おやじ、うざい、はた迷惑」と言い続けてきただけに、自分が「加害者」の側にいたことは「痛恨の思い」だった。
 「母を反面教師にして育つ娘たちがいます。ああはなりたくないと、母の不幸を見て育つんです。そういう娘の一人でした」。自らの母娘関係をきっかけにフェミニズムの世界に入った上野さんにとって、原発問題は遠くにあった。
 昨年3月15日、東京大学退職の節目に予定されていた最終講義の演題は「不惑のフェミニズム」だった。女性の解放運動であるウーマンリブが日本で社会的注目を浴びた1970年10月の国際反戦デーから約40年。誤解と偏見のなかで、女性学という新しい学問分野をつくり出した一人である上野さんたちの取り組みを振り返るつもりだった。運動のバトンを後輩に手渡すためでもあった。「フェミニズムは偏った思想に過ぎず学問とは違う、といまだに考えられています。最終講義の演題は看板に書かれて東大の構内に立てられます。『フェミニズム』と大書された看板が立つのをこの目で見てみたいと思っていました」。そんな看板が立ったことは一度もなく、以降もおそらくないだろう、とのいたずら心があった。
 あと4日というときに東日本大震災が起きた。「学究生活の中でただ1回」の講義はキャンセルに。このことが上野さんを原発問題に向かわせた。世の中がやや落ち着いた7月9日。最終講義は「震災復興支援特別公開講演」に変わり、「生き延びるための思想」を演題に行われた。「フェミニズムは女が男並みに強くなりたいという思想ではなく、弱者が弱者のままで尊重されるための思想です」と前置きしたうえで、公開講演で訴えたかったことをこう語る。
 「原発は強者の思想。強者になりたいという志向の産物です。日本が原発を捨てられないのは、核武装の潜在能力を捨てたくないためであり、国際社会で列強諸国と肩を並べるためです。支配者になりたい、抑圧者になりたい……それは明治維新以来の悲願。そして、その通りになった」。強者の思想のつけが原発事故であり、いまだに多くの被災者を苦しめる。
 事故は「人災」でもある。「東電では、戦略を立てる人が意思決定の過程で現実をきちっと把握していない、現場からの報告に耳を傾けない、希望的な観測しかしない。都合の悪い情報は隠蔽(いんぺい)する。誰も責任を取らない。敗戦の構造とそっくりです。太平洋戦争時の日本軍の組織体質が、戦後の日本企業にそのまま引き継がれています」
 「奇跡のときは終わったのです」と語気を強める。「人口減少、高齢社会のなかで再分配の政治・社会を目指すときです」。強者の思想に基づく社会ではなく、弱者が弱者のままで尊重され、生きていける社会づくり。「女を主題にやってきたことが、高齢社会で介護や障害と結びつきました。環境とかエコロジーとは距離を置いてきましたが、原発事故でつながりました。バラバラにあったものが今、ひとつながりになってきたという実感があります」。原発問題と寄り添ったことで、上野さんの運動の動機に「子どもたち未来世代への責任」が加わった。
 民主党政権は「2030年代に原発ゼロ」を決めた。「財界の顔色をうかがうならばそうはしたくなかったのでしょうが、国民の意思に抗しきれなくなったという妥協の産物。ぎりぎりの選択をしたという意味では評価できます」。しかし、「原発ゼロ」の閣議決定を見送ると同時に、大飯原発の再稼働や原発建設の再開と、ぶれ続けた。
 「再稼働問題では、立地県の知事が国の判断に頼るなど自分たちの意思決定を棚上げすることがあった。ひと任せ政治極まれりという感じです。国民の間にも、原発問題を人ごとのように捉えている空気がまだある。一人一人が『当事者意識』を持つことが必要です。そのためにも、原発是非を問う国民投票をやった方がいいかもしれません。自分の運命を自分で決める実感が持て、責任を意識することにもなりますから」
 12月15、16日、「脱原発世界会議」が東京と福島で再び開かれる。上野さんが理事長を務めるNPO法人WANは今回、実行委員会に参加する。東京・日比谷公園で集会、官邸前でデモ、また福島県郡山市では日本政府・国際原子力機関共催の「原子力安全福島閣僚会議」に合わせる形で「脱原発をめざす首長会議」−−と、2日間にわたり同時多発的に行動する。
 16日は衆院選の投開票日と重なる。実質的に、上野さんが言う原発国民投票になるかもしれない。「今回の選挙では、WANを中心に女性問題に取り組む団体と個人が連携して『ジェンダー平等政策を求める』全政党アンケートを実施しました。原発問題を含め、女の声が政治に届かない……それが、今日の社会の行き詰まりをもたらしたと思えてならないからです」
 そう、ひと任せではなく、自分たちで新たな社会を築くときなのだ。【内野雅一】
■人物略歴
 ◇うえの・ちづこ
 1948年生まれ。女性学、ジェンダー研究のパイオニアの一人。2009年NPO法人ウィメンズアクションネットワーク(WAN、http://wan.or.jp/)設立、11年4月から理事長。

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ファクス03・3212・0279

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1月19日(土)のつぶやき

2013-01-20 01:23:48 | 花/美しいもの

女性は、もっと活躍できる! ~「女性のエンパワーメント原則」(WEPs)を手がかりに★「女性の活躍シンポジウム&交流会」女性は、もっと活躍できる!「女性の活躍シンポジウム&交流会」 | WAN:Women's Action Network wan.or.jp/information/in…

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