今日は24節季のひとつ「雨水(うすい)」。
雪が雨に変わるころ。
とはいえ、
けさはうっすら雪が積もっていました。
春はどこまで来てるのだろう。
病院の待合室で読んだ2月号のNHK『きょうの健康』に、
「高齢者にやさしい漢方治療」の記事が載っていました。
NHKテキスト『きょうの健康』
ちょうどテレビでも見たところでした。
認知症の周辺症状を改善する「抑肝散」の話しでした。
抑肝散は、母がインスリノーマの手術前から心不全で入院するまで飲んでいた漢方薬で、
飲むと神経が落ち着いて不眠にきくといっていました。
そのころから認知症にも効くらしいといわれていたのですが、
「ためしてガッテン」でも取り上げられて注目されています。
体力が落ちた人には、抑肝散よりマイルドな抑肝散加陳皮半夏もよいそうです。
抑肝散加陳皮半夏 中医学処方解説
母が医師からもらっていた抑肝散(ツムラ54)はわたしが預かっています。
母からは、「不眠やイライラするときに飲むといいよ」と言われているのですが、
最近とみにはげしくなったもの忘れにも効くでしょうか(笑)。
とはいえ、抑肝散にも甘草が配合されているので、わたしは遠慮しておきます。
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NHKテキストには、「高齢者にやさしい漢方」として、
補中益気湯(ホチュウエッキトウ)も紹介されていました。
わたしは、たまたま合わなかったのですが、昨日、
漢方専門の大学堂小川薬局で聞いたら、副作用はほとんどないそうです。
わたしがまれにみる特異な体質だろう、ということです。
補中益気湯が飲めないので、体力(気力も)を整えるために、
以前から疲れたときに飲んでいた
牛黄(ゴオウ)を飲むようにしています。
牛黄製品の使い方
牛黄(ゴオウ)は服用する時は粉末をなめるのですが、
単体で何にでもよく効く「高貴薬」と言われている種類の生薬です。
「六神丸」や「救心」「牛黄清心丸」など、
高価な心臓の漢方薬などにはかならず微量ですが配合されています。
生薬のはなし 牛黄(ゴオウ)
牛黄は『日本薬局方』にも収載されているとおり、牛の胆のう中に生じた結石、要するに胆石です。牛黄は約1~4センチメートルの不規則な球形または角(かど)のとれたサイコロのような形をした赤みがかった黄褐色の物質で、手にとってみると以外に軽く、割ってみると、木の年輪のような同心円状の層があります。口に含んでみると心地好い苦味と微かに甘みのあるものが良品とされています。
『第十五改正日本薬局方解説書』によれば、その薬理作用として、血圧降下作用、解熱作用、低酸素性脳障害保護作用、鎮痛作用、鎮静作用、強心作用、利胆作用、鎮痙作用、抗炎症作用、抗血管内凝固作用などが挙げられており、適用としては、動悸による不安感の鎮静、暑気当たりに対する苦味清涼、のどの痛みの緩解に粉末にしたものを頓服する。また、主として配合剤の原料とするとの記載があります。
そこで店頭の薬を見てみますと、牛黄は、救心や六神丸といった強心薬、宇津救命丸(うづきゅうめいがん)や樋屋奇應丸(ひやきおうがん)といった小児五疳(しょうにごかん)薬、ドリンク剤などの滋養強壮剤や風邪薬、胃腸薬などにひろく配合されていますが、これらの適応はどこからでてきたものか、牛黄の歴史をひもといてみたいと思います。・・・・・・・
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さてそれでは牛黄はどのような病気の治療に用いられてきたのでしょうか。牛黄の記録としては最も古い『神農本草経』には「驚癇寒熱(きょうかんかんねつ)、熱盛狂痙(ねっせいきょうけい)。邪(じゃ)を除(のぞ)き、鬼(き)を逐(お)ふ」と記されています。これは主として急に何物かに驚いて卒倒して、人事不省になってしまう者や、高熱が続き、痙攣(けいれん)を起こしたり、そのために精神に異常をきたしたりした者の治療に使用し、また、人に悪い影響をあたえる邪気をとり除き、死人のたたりの鬼気を逐い払う作用があるとしています。これは即ち邪や鬼といったもので現わされる病気を駆逐したり、病気にかからないようにするといったように治療のみならず予防医学的にも使われていたようです。中国の梁(りょう)( 5~6世紀)の時代の陶弘景(とうこけい)の著した『神農本草経集注(しんのうほんぞうきょうしっちゅう)』には漢の時代の『名医別録(めいいべつろく)』の引用として、「小児の百病、諸癇熱(かんねつ)で口の開かぬもの、大人の狂癲(きょうてん)を療ず。又、胎を堕す。久しく服すれば身を軽くし、天年を増し、人をして忘れざらしめる」と記しています。これは子供の病気ならどんなものでも、高熱を発して歯をくいしばって口を開かなくなってしまう者や、大人なら精神錯乱を治し、長期間にわたって服用すれば新陳代謝を盛んにし、寿命をのばし、物忘れしなくなるということでしょうか。ところでこの『名医別録』にも記載されていますが、牛黄の面白い作用に「人をして忘れざらしめる」というのがあります。
これは宋の時代( 10世紀)の大明が著した『日華子諸家本草(にっかししょかほんぞう)』という書物にも「健忘」としてあげられており、いわゆるボケの予防又は治療に用いられてきたと考えられます。現代の中国では、牛黄を芳香開竅薬(かいきょうやく)というカテゴリーに分類し、脳卒中や脳梗塞などの脳血管障害による意識障害に用いているところをみると、古い書物の臨床適応も十分納得がいきます。牛黄の薬理作用の一つに末梢の赤血球数を著しく増加させるといった報告がありますが、これなどもボケなどの脳血管障害には有効に働くものと考えられます。
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生薬のはなし 牛黄(ゴオウ)その2
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●解熱作用
かなりひどい熱を発するような場合に用いられたようです。これは、牛黄がひどい高熱だけにしか有効でないということではなく、牛黄の作用が確実であったため、重病のときの解熱にしか使われなかったということでしょう。なにせ昔から牛黄はとてつもなく貴重な生薬であったわけですから、ちょっとした発熱などには使われなかったと考えるのが妥当でしょう。薬理実験でも、アミノピリンのような解熱作用はありませんが、確実な解熱作用があります。それに、化学的な合成物質と違い、正常体温まで下げてしまうことはありません。また、近畿大学薬学部の久保道徳教授のように牛黄は単なる解熱薬ではなく、発汗解熱薬だと説明される先生もいます。久保先生は漢方生薬が免疫系を賦活することにより病気を治すことを様々な実験で証明されている方ですが、牛黄も血流を盛んにすることによって発汗を促し、病気の原因となっているウイルスなどの異物を体内から汗と共に排泄し、さらに免疫能を亢進することによって治癒をはやめると説明されています。さらに牛黄には直接ウイルスを不活性化してしまうという作用もあります。北京の中国友好病院の金恩源先生らは日本脳炎ウイルスを、兵庫県立東洋医学研究所の新井喜正先生らはチクングニアウイルスを使った実験でこれを証明しています。要するに牛黄は、発熱という生体にとっての重要な生理的防御反応を抑制することなく、解熱作用を現わすというすぐれた生薬であるといえます。単に熱を下げるだけの解熱剤ではないということです。
●循環器に対する作用
牛黄の強心作用は薬理実験などでは、それほど強いものではなく、牛黄の循環器に対する作用の中心は末梢血管の持続的拡張による降圧作用だとされています。従来は強心作用が中心に考えられていましたが、現在では、末梢血管の拡張と、抗アドレナリン作用がその本体であろうと考えられています。牛黄清心丸のような牛黄製剤の効能が高血圧の随伴症状の改善を謳っているのはまことに当を得たものであることがわかります。ただ、残念なことは、牛黄のこのような効能は、現代の臨床例が十分ではないという理由で、表示できないということです。牛黄を使用した製剤をもつメーカーは、牛黄の素晴らしさを一人でも多くの人々に知らせるためにも、新たな臨床例を積み重ね、伝承されてきた効能を証明してゆく責務があるとおもいます。
●鎮静鎮痙作用
牛黄が『名医別録』に「小児百病…を療ず」と記載されているように、わが国では主に小児の特効薬として、救命丸、奇応丸、感応丸などに配合され、現在でも使われていますが、このような伝統薬は家族のありかたが従来とは変ってきたことに伴い、親から子へ、子から孫へとの伝承が途切れがちになることは否めません。牛黄の素晴らしい効果を考えると残念なことといわざるを得ません。これらを裏付ける薬理作用は、カフェインやカンフルなどの興奮作用を抑制したり、ウレタンや溶性バルビタールの鎮静作用を増強することで証明されています。・・・・・・(以下略)・・・・・
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牛黄は、もともと強心剤の作用を持ち、脳血管障害にもよいので、
医者の許可が下りたら、母に少しずつ飲んでもらおうと、
牛黄を混ぜて、チョコチップを作ってみました。
牛黄は苦い薬で、わたしは結構この味が好きなのですが、
チョコ味でシナモンを振り掛けるとまぎれて分からなくなります。
銀紙からなめている姿はなんか「危ない薬」に見えますし、
粉末で飲みにくいので、誤嚥を防ぐために口で溶けるチョコなら分量も分かっていいかな、と。
ちなみに、小指の先くらいの小さなチョコ一つで100円分くらいです。
持ち運びにもよいので、これからはわたしも「牛黄チョコ」にしようかな。
以下は、認知症関連の新聞記事です。
【暮らし】特有症状に合わせた整備を 『認知症とまちづくり』都内でシンポ
2010年2月13日 東京新聞
◆信号無視 下向いて歩く 標識読めない…
「道に迷うから」「事故が心配」と、認知症の人は外出の機会が制限されることが少なくない。そんな現状を打開しようと、認知症の人でも、迷わず安全に歩けるような街中のハード面の整備が必要と訴える声が高まっている。(佐橋大)
認知症の症状は「少し前のことを忘れる」といった短期の記憶障害だけではない。文字や記号の意味が分からない▽注意力が低下する▽自分の位置や方向を正しく判断できない▽視野が狭くなる-など、人によって症状はさまざまだ。
そんな症状を考慮し、認知症の人に安全なまちづくりを考えるシンポジウムが先月、東京都内で開かれ=写真、敦賀温泉病院(福井県敦賀市)理事長の玉井顯さんらが、複数の認知症の人の外出に同行した結果を報告した。信号無視のほか、車道に入ったり、下を向いて歩道と車道を分ける白線上を歩くなど、危険な行動が多かったことを指摘した。
シンポを主催した財団法人国土技術研究センターが行った、認知症の人の介護者を対象にした調査でも、認知症が重くなるほど「赤信号で正しい位置で立ち止まれない」「視線が下を向く」などの行動パターンが目立った。
危険が多くても、認知症の人の外出を制限することは避けたい。家にこもることになれば、運動不足になって食欲不振に陥り、健康を損ねかねないからだ。玉井さんは「認知症の人でも安全に歩ける仕組みをつくるべきだ」と訴える。
◇
玉井さんによると、認知症の人は昔からある街中のものを覚えていて、自分の位置を知る手掛かりにすることが多い。道に迷わないよう、地蔵や商店街など古くからのランドマークを残す配慮が必要という。
「青色が見づらくなる」認知症の症状もあるが、標識には青色を使ったものが多く、見やすくする工夫が必要だ。意味が分からなくなる対象が文字の人もいれば、標識など文字以外の人もいる。標識の下にその意味を示す文字を添えるなどの対策で、より多くの人が理解できるようになるという。別の出席者からは「認知症の人が気付きやすい位置に信号を付け替えることも考えては」との発言があった。
シンポジストの一人、帝京大大学院の元永拓郎准教授は「認知症の人が安心して暮らせる環境は、認知機能が十分に発達していない子どもにとっても安全」と話し、認知症に配慮したまちづくりの意義を強調した。
認知症の人に配慮した街のハード整備は、全国的にはまだまれだ。実践している数少ない自治体の一つ、愛知県高浜市では、同市吉浜地区の駅前通「人形小路(こみち)」を整備する際、認知症の人の「下を向きながら線に沿って歩くことが多い」という特性に着目して、道路の端に赤っぽい色のブロックを敷き詰めた。認知症の症状で、自分の位置を正しく判断できず、道路の真ん中を歩いてしまうケースもあるが、「ブロックを目印に、自然に道の端を歩いてくれるのでは」と同市の担当者、鈴木明美さん。「地域での認知症高齢者の見守りなど、ソフト的な取り組みと一体になれば、大きな力が発揮できるはず」と期待している。 |
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