熟年新米弁理士のひとり言

平成18年に59歳で弁理士試験に合格した企業内弁理士です。弁理士試験、企業での知的財産業務について、気軽にお話します。

研修制度

2007-04-13 22:59:26 | Weblog
日野原重明先生の「あるがまま行く」を読んでいたら、「医師になる前に必要な研修制度」の記載が目に留まりました。現在の日本で医師になるまでの段階は、大学の医学部を卒業後、医師国家試験を受け、その合格者が医師免許を受けます。多くの人は、国家試験合格後、約2年間は研修医として勉強しながら働きます。それは医学部時代の教育では、独立して医療を行えるほど訓練されていないからです。日野原先生が、研修制度を唱えたのは、「筆記試験に合格しただけの者に開業を許すのは、人道上許されないと思ったため」だそうです。医療ミスにより患者は生命を脅かされることになるので、このような事態を防ぐ必要があります。研修制度は必要です。
司法試験合格者も最高裁判所が行う司法修習を受けなければいけません。司法修習期間は、1年6ヶ月(旧司法試験合格者)と1年(新司法試験合格者)で、この期間終了後に、判事補、検察官、弁護士となる資格を取得します。修習中は法曹資格はありません。司法修習制度も医師研修制度と同じく、「筆記試験に合格しただけで、裁判官、検察官、弁護士になることを許すのは、裁判を受ける者の不利益が大きく、人道上許されない」からだと思います。
弁理士法の改正で、実務修習制度が導入されました。弁理士試験合格者は、弁理士登録をする前に、実際の出願書類の作成等の実務能力を担保するための実務修習を受けなければいけません。弁理士の実務修習期間は、司法修習のような長期間ではないため、どの程度実務スキルが向上するかは疑問ですが、一歩前進したことは事実です。
弁理士法で規定するまでもなく、弁理士個人が一定の実務能力を獲得するまでは開業しないという、規範を持つことが必要なのではないでしょうか。
国家から特権を付与された者の当然の義務であると思うのですが。
コメント (2)
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