熟年新米弁理士のひとり言

平成18年に59歳で弁理士試験に合格した企業内弁理士です。弁理士試験、企業での知的財産業務について、気軽にお話します。

我が家のプロ

2007-04-08 19:14:46 | Weblog
知財のプロを目指す私ですが、我が家にもプロがいます。それは妻です。スーパーへの買い物には一緒に行くことが多いのですが、私は買い物用のカートを引いて妻の後ろからついて行きます。そのときの買い物は、見事です。一週間分の料理の予定を考えて、食品の値段、量、賞味期限、我が家の冷蔵庫の容量、他のスーパーの商品の値段等を考えながら購入する食品をカゴの中に入れていきます。とても真似できません。その他にも、家計のやり繰り、子育て、料理(これはプロ級)等見事なものです。このスキルを資格に例えると、ファイナンシャルプランナー、保育士、調理師等ですね(チョットほめ過ぎですかね)。
世間的にはあまり目立ちませんが、隠れたプロがいます。20年前に製紙工場を見学したときに、紙試験担当者の方とお話ししましたが、この方は紙の厚さ80μmを±2μmの精度で手触りで判断するそうです。実際にその妙技を拝見しましたが、見事の一言です。それから、紙表面の不純物を目視で判断する方の妙技も見事でした。この方は、A0サイズの紙500枚程度の紙表面の不純物を30秒程度で検査します。私は、不純物がある紙の表面を10分かかって見てもその存在を見つけることはできませんでした。熟練の技に感動しました。
この方達以外にも、多くのプロがいます。「ポンパドール」というパン屋さんのレジ係の女性。この方は、お客さんの買ったパンの値段を打ち込みながらパンを袋に一つづつ詰めていきますが、驚くのはそのスピードです。他のレジの方の2倍の速さで仕事をしていきます。この方のレジの前は、いつも大勢の人が並びます。私もその列に並んで、その方の技の見事さに見とれていました。
それから、もう一人。京都駅前食堂「力餅」の店員のお姉さん。この人は、注文のメモを取っているようには見えないのですが、混雑しているときでも正確に会計していきます。2度程食事して、良く観察していたのですが、メモはとっていませんでした。ものすごい記憶の持ち主です。
最近、この方達の技は機械に取って代わられ、本当のプロの技を見る機会が少なくなってきたのは寂しい限りです。
結構身近なところに本当のプロがいます。これからどのようなプロと遭遇するのか、楽しみです。
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発明者の認定

2007-04-08 00:16:39 | Weblog
職務発明の対価訴訟の増加、発明者の権利意識の向上等により、ここ数年、発明者の認定について関心が高まってきました。
私が研究者として発明を創作し、特許出願を行っていた15年程前は、現在と異なり、職務発明の補償金についての意識はそれほど高くなく、褒賞金、つまり会社からのご褒美という考え方が主流だったと思います。したがって、発明者の認定はそれほど厳格ではなく、むしろ同じ研究グループのメンバー全員を発明者として認定して、仕事上のモラルを向上させることを第一に考えていたように思います。
3年前に特許法35条の改正に伴い、職務発明規程を改正し、従業員への説明会を開催した際にも、発明者をどのように認定するのかという質問がかなりありました。
発明者の認定は、かなり難しい問題です。一般的には、「発明の創作に実質的に寄与した者で、アイデアとその実施化との過程での寄与を考慮して決定する」と言われています。しかし、この定義では、実務に利用することはできませんので、裁判例の分析、論文の検討を行いました。
発明者の認定については、日本での検討例はそれほど多くなく、米国の検討例が参考になりました。ただ、実務に適用できるほどの具体的な基準を得ることはできず、結局、自社の発明に合致した基準を作成することになりました。
約半年間、自社の発明を技術分野別に層別し、更に各技術分野を3段階に層別して、発明の成立過程・発明者の寄与度をできるだけ具体的に特定することにしました。この作業はかなり時間のかかる、面倒なものでしたが、効果は高かったように思います。つまり、自社の発明の成立過程を技術分野とその企業特有の状況による分類(2~3段階程度が良い)とに層別して分析することにより、発明者の認定基準をかなり具体的に作成できると思われます。
いずれにしても、100%の基準の作成は不可能ですから、70%程度を目標に、半年程度で作成して、運用後に改正を繰り返す、という方法が良いのではと思います。
私が作成した基準を研究開発部門に説明したところ、多くの質問がありましたが、概ね良好な反応でした。それから3ヶ月に一度改正するようにしています。この改正作業のプロセスと結果を研究開発部門に公開していますが、これもかなり好評です。
知財担当者は神様ではありませんから、研究開発部門の力を借りて改善していくことが重要です。
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