熟年新米弁理士のひとり言

平成18年に59歳で弁理士試験に合格した企業内弁理士です。弁理士試験、企業での知的財産業務について、気軽にお話します。

著作権法

2008-03-06 22:37:37 | Weblog
東京大学の中山信弘教授が2月29日、「著作権リフォーム」をテーマにしたデジタルコンテンツ協会のシンポジウムで講演した内容が掲載されている記事を読みました。

中山教授は、「19世紀の状況を前提にして構築された著作権制度が、インターネットの発展でとてつもなく大きな問題に直面している。混迷の度合いは、同じ知財法である特許法の比ではない」、「IT化の進展で一般大衆も著作者となり、ネット上に著作物を発表できるようになった。一億総クリエイター時代。著作権法はより普遍性を持った法律に変性してきた。従来の『権利者』の声だけを考えていい時代ではない」と著作権法に警鐘を鳴らしています。

私も同意見です。
大学院での日米著作権法比較研究で、日米の著作権法は、ともに問題の多い法律ですが、日本の著作権法の問題点が特に大きいというのが、参加者全員の意見でした。
中山教授が指摘しているように、権利者の声(正確には権利者団体というべきですが)が大き過ぎることが原因と思われます。
米国の著作権法では、フェアユースの規定があり、権利者・利用者の衡平が図られていますが、日本の著作権法の私的利用は、要件が限定されており、利用者側に配慮した規定とは思われません。

以前、このブログでもご紹介しましたが、「クリエイティブ・コモンズ」の考え方が一つの解決策かもしれません。

クリエイティブ・コモンズは「著作物のほとんどは商業ベースに乗らない」という前提で、無償でいいから利用してほしいという創作者の要求と、利用者の使いたいという欲求をつなげる試みです。
また、オープンソースソフトウェアという解決策もあります。
オープンソースソフトウェアは、ソフト開発の効率化やコスト削減に貢献してきたという実績があります。

著作権法は、権利者の利益に偏重することなく、ネットビジネスの発展を阻害することのないようなバランスの取れた法律に変貌して欲しいと考えております。

今の法律では、新しいネットビジネスは、著作権を侵害する可能性が高く、著作権法がその阻害要因になっていると思われます。
このままでは、ネットビジネスを萎縮させるか、違法行為が氾濫するか、どちらかになるのではと、危惧しています。

法改正を検討される方々の深い見識に期待しましょう。



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