熟年新米弁理士のひとり言

平成18年に59歳で弁理士試験に合格した企業内弁理士です。弁理士試験、企業での知的財産業務について、気軽にお話します。

シンポジウム

2009-02-11 20:58:24 | Weblog
日本知的財産仲裁センター主催のシンポジウム「模倣品・海賊版対策の現状と展望」に参加してきました。

会場は、弁護士会館2階の講堂「クレオ」です。

開会挨拶、来賓挨拶に続いて、基調講演「模倣品・海賊版拡散防止条約(Anti-Counterfeiting Trade Agreement,ACTA)について」が行われました。

この条約についての知識は、ほとんどありませんので、大変参考になりました。
ACTAの特徴は、①権利行使に特化した条約、②11~13カ国の利害関係国についての条約であることです。
条約の実行を在らしめるために利害関係国のみにしたようです。

昨年の洞爺湖サミットで、昨年末までに条約を締結するとの意見表明がされましたが、EU加盟国間の調整に時間がかかり、未だに締結されていません。
そのため、条約の詳細な内容については説明できないとのことでした。
条約締結後のお楽しみですね。

基調講演に続いて、パネルディスカッション「模倣品・海賊版対策の現状と展望」が行われました。
模倣品・海賊版対策の現状については理解できましたが、各パネラーの報告時間が長かったためか、ディスカッションの時間がなくなり、物足りないものでした。

パネラーの一人が中小企業の社長で、中国、台湾における模倣品被害の現状について報告し、他のパネラーに具体的な対応策のアドバイスを求めたのですが、「防犯のために鍵を多くつける」等の一般的・抽象的な意見しかだされず、社長のガッカリした表情が印象的でした。

このパネルディスカッションで気になった点が3つありました。

①パネラーとして弁理士会から弁理士が出場していましたが、社長から弁理士に対する厳しい注文に対して、モデレータに回答を促された弁理士の方、無言でした。
これでは弁理士の資質が疑われかねないことになり、大変心配です。

②仲裁センターに所属する弁護士の方が、社長に対して、「模倣品に対する対応策ができていない。経営者として恥ずかしい」等の失礼な意見を言っていました。
流石にモデレーターの弁護士がフォローしていましたが、この社長さん、パネラーとして招待されて文句を言われてはたまりませんね。

③パネラーのもう一人の弁護士が、「弁護士知財ネット」を紹介していました。
この紹介の中で、知財がわかる弁護士を1000人育成する、知財コンサルティングは、広範囲な法律知識が必要になるので弁護士向きの業務である等・・・弁護士が知財に進出する意義を強調していました。
これは、弁理士にとって業務を脅かされる危機ですね。

今回のパネルディスカッションを聞いた感想ですが、中小企業の知的財産についての問題を解決する(問題の発生を未然に防止する)具体的な提案はできていないようです。
知財コンサルタントの重要性は依然として高いという確信を持ちました。

弁理士でも実務能力が高ければ、弁護士と競争することは十分可能です。

専門性を高める努力を継続していきましょう。




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