熟年新米弁理士のひとり言

平成18年に59歳で弁理士試験に合格した企業内弁理士です。弁理士試験、企業での知的財産業務について、気軽にお話します。

企業の社会的責任

2009-02-14 18:06:41 | Weblog
夜のテレビ番組で、日本理化学工業の特集を放送していました。

この企業は、チョークの生産量が30%を占めている優良企業です。
従業員の70%が知的障がい者で、重度知的障がい者が50%以上を占めているという素晴らしい企業です。

50年前に、この企業の近くにあった知的障がい者の施設の責任者が、「2名の施設の障がい者を雇ってもらえませんか」と社長に相談にきました。

当時、障がい者を雇用した経験がなかったため、お断りしたそうです。
それでも施設の責任者の方は、再び社長を訪ねて、「仕事の体験だけでもさせて欲しい。そうしないと、この子たちは一生仕事を経験しないで人生を終わってしまいます」と訴えました。

この訴えに応えて、2名の障がい者に、2週間仕事の体験をしてもらことになりました。

2週間が経過したとき、従業員が社長に、「あの2人をこのまま雇って下さい。休み時間がきても働き続ける勤勉な人達なので、私たちがサポートして一緒に仕事ができます」とお願いしました。

そこで、この二人をそのまま雇用続けることにしたそうです。

それから50年、今では全従業員の70%を知的障がい者が占める企業になっています。

この企業の方針(企業理念)は、「障がい者の雇用を通じて社会とジョイントし、
楽しく美しい生活具の創造と、地域社会の人々から愛される企業へ」です。

大切にすることは、「愛されること、ほめられること、役に立つこと、人から必要とされること」です。

美辞麗句を並べた企業理念よりもシンプルで素晴らしい企業理念です。

昨今の経済不況で、多くの企業が内部留保が十分あるにも拘らず、非正規従業員を解雇しています。
しかし、日本理化学工業は、従業員の雇用を守ることに最善の努力をしており、簡単に解雇することはありません。

この差は何なのでしょうか。

私の推測ですが、日本理化学工業は、企業理念にも謳われているように、「障がい者の雇用を通じて社会とジョイントし、楽しく美しい生活具の創造と、地域社会の人々から愛される企業へ」を目指しています。
つまり、企業が大切にしている(企業の存在目的)ことが、他の企業と大きく異なっているのではないでしょうか。

時価総額世界一を目指すといった経営者とは大きく考え方が異なる訳です。

企業の社会的責任、存在理由を考える上で、大変参考になる企業活動だと思います。

このような企業が多くなると、日本も本当の意味で品格のある国になると思うのですが。

日本理化学工業の地道な努力が今後も報われることを祈っています。



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