熟年新米弁理士のひとり言

平成18年に59歳で弁理士試験に合格した企業内弁理士です。弁理士試験、企業での知的財産業務について、気軽にお話します。

国民投票の弊害

2016-06-26 20:32:02 | Weblog
23日実施された英国の欧州連合(EU)残留か離脱かを問う国民投票は、国論を二分した論戦の末、4ポイントの僅差でEU離脱に決着しましたが、投票の争点で生じた対立は、もともと英国が抱えていた国民の分断をはっきりと露呈させ、その亀裂をさらに広げる結果となりました。

国民投票による弊害が明らかになりましたね。

残留派の今回の結果への失望感や怒りは深く、60%が残留支持だったロンドンを英国から「独立」させEUに加盟するよう求めるオンライン署名運動が15万人以上の支持を集めているそうです。

ケント大のマシュー・グッドウィン教授(政治学)によれば、英国社会は(1)中産階級と労働者階級(2)若者と高齢者(3)大都市居住者と地方居住者―という三つの次元で、まったく価値観の異なる二つのグループに明確に分裂していて、経済と移民という二大争点で、離脱による経済リスクを重視して残留を支持したのがそれぞれの前者、EU諸国からの移民増の脅威を重視して離脱を支持したのが後者ということだそうです。

地域別の投票結果をみると、離脱支持が多数の地区は、労働者階級が多いとされるイングランド地方部に集中しています。

イングランドでもロンドンをはじめ大都市部は残留派が強かったという結果が出ています。

また、投票後の世論調査によると、18~24歳の73%以上が残留に投票したのに対し、65歳以上では40%と、世代間の差が大きく出ていますね。

グッドウィン教授は「国民投票は分裂した二つのグループを統合できない。投票に向けた論戦で一層亀裂が広がった」と指摘しています。 

スコットランドでは、EU残留を求めて英国からの独立の賛否を問う住民投票が行われることになりそうで、正に、英国は分裂の危機にありますね。

国民投票で決着をつけるというのは、格好いい決め台詞ですが、負けたほうにはしこりが残り、ノーサイドにして一致団結で頑張ろうとはいきません。

相手の意見を聞かない一方的な主張を互いに言い合っても何の解決にもならず、分断が大きくなるだけです。

拙速な国民投票に頼るのではなく、熟議による賢い妥協と優れた第三の提案を行うような解決方法が望ましいのですが。

国会の議論やテレビ討論を聞いていると、まともに答えている政治家の何と少ないことか。

「うっかり投票、ゆっくり後悔」

英国の国民投票だけでなく、参議院選挙にも言えることですね。

単純で分かりやすい主張には、裏に何かが隠れています。

それを見抜く知性を発揮させたいですね。










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