折立登山口に行くには、有料の有峰林道を通る。往復1900円の料金がかかる。有峰ダムでできた有峰湖を右手に見ながら進む。立山連峰薬師岳の麓をV字の渓谷をなして流れる急流和田川をせき止めて、水力発電所が設けられている。いくつもトンネルを抜けて折立に着くと、ここはすでに標高1400mの地点。登山口の標識を見て、登山道に入るとすぐに13輪を持つ慰霊塔が祀られている。昭和39年1月、愛知大学のパーティ13名がこのコースを通り登頂した薬師岳から太郎小屋へ下る道を誤り、遭難死した。若い命を悼むことと合わせて、この山域での遭難を繰り返さない警鐘もこめられているであろう。
折立~太郎平小屋までの距離5.5キロ、標高差900mは急坂が続く厳しい道だ。登りの道は初めての経験ということもあって夢中で登って行く。帰路になってその勾配のきつさ、道にある石や段差が障害物してあることをあらためて知らされる。ヒバなどの大木の樹林帯が続くが、三角点に到達して初めて薬師岳の遠望が得られる。途中中年の夫婦の登山者に行き会ったが、三角点まで行って下山したと言う。三角点から得られる展望は、前方の薬師岳、振り向けば巨大な有峰湖が見える。少しきつい山歩きのコースとして選ばれる十分な資格があると思えた。
折立を朝の8時30分に発って6時間、2時半には太郎平小屋に着く。右手に薬師岳、左手に北ノ俣岳。北アルプスの広大な景観が眼前に広がる。天気予報は、明日雨マーク。5時に夕飯をとると明日に備えて休息する。8月20日、曇り時々晴れ。この山行の参加者7名、内女性2名。