お盆の帰省ラッシュが始まっている。本来、7月15日前後がお盆の行事であるが、この地方では月遅れでお盆を祝う。今は、夏休みの代名詞のようになっているが、古来冬と夏のタマ祭りであった。祖先のタマ(霊、魂)を迎えるために、一定の期間、人々はは身を慎み、先祖への供養を行い家族の無病息災を祈った。
門には盆花を供え、タマ迎えの道しるべとした。正月の門松も同じ役割を担っている。盆花として使われるのは、桔梗、女郎花、萩などの秋の七草が一般的である。祖先の霊が一時的にやすらう依代の役割があった。13日に精霊(タマ)迎えをして、16日に精霊送りをする。その期間、家には、祭壇を設けて精霊を祀る。一年以内の新精霊には、新しい精霊棚が設けられた。
お盆のもうひとつ考えに、施餓鬼というのがある。祖先が地獄で飢餓に苦しんでいるのを、その子孫が救済するという考えである。お盆は地獄の釜の蓋が開く日として、そこへ堕ちた祖先を供養して、飢餓から救済する日である。これは、祖先への孝養をつくすし、救済することである。帰省ラッシュのどれだけの人が、この祖先への供養のために移動しているのであろうか。