常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

雲の平は雨の中

2015年08月29日 | 登山


山行2日目。太郎小屋から薬師沢小屋まで下る。懸念された霧雨が、ゴアテックスの雨具を通して衣類を濡らす。小屋の上がり口を借りて朝食をとる。そして、薬師沢から雲の平の登りに取りつく。雲の平へ来たどの人に聞いても、一番の悪路、最も登りづらい、という言葉が口をついて出る一番の難所だ。天気予報が無常にも、今日明日の雨を告げている。週末の晴を信じて、わがチームの士気は衰えない。

写真で黙々と登るのは、6日間、トップを歩き続けたSさん。登りはしっかりと時間をかけ、下りは軽快に、そのペース配分がチーム全体の疲労を軽減してくれた。春のうちは、山歩きの自信をなくしかけた彼女が、ここでこのような自信に満ちた歩きを見せるの驚きである。雨にもかかわらず、山中で会う登山者が多い。さすがに、日本アルプスは人気の高い山だ。雨に濡れた木道に至って足を滑らせることも多くなった。小屋で聞いた話だが、登山中の怪我に繋がった事故の8~9割が、木道上での転倒ということであった。

残念ながら、雲の平のアラスカ庭園も日本庭園も雨の中に煙っている。背景に水晶岳や薬師岳の借景があって成り立つ庭園であるという話を聞いたが、なるほどそうだと思った。せっかく楽しみにしてきた庭園の景観が雨によって減殺されたことが残念である。



深田久弥は『日本百名山』のなかで、雲の平を「匐松に覆われた広い台地」と形容しているが、雲の平小屋から、一面に広がる匐松の様子が見てとれる。小屋には強烈な乾燥場があって、濡れた雨具、衣類を乾燥させた。ここで活躍したのはAさんとGさん。乾燥場濡れたものを下げてくるのでなく、熱源近くへ持っていって直に乾燥させた。やり過ぎて、帽子を焦がしてしまう失敗もした。しかし、明日の快適な登山のためには、大切な作業だ。

山行3日目。雨は早朝から降り続いている。リーダーのTさんは、予定していた水晶岳を断念。雨の中を、祖父岳から黒部源流を通って三俣山荘へのコースをとる。山荘で着替え、夕刻になって雨が上がる。小屋から鷲羽山が指呼のうちにその秀麗な姿を見せる。南には槍ヶ岳の雄姿が間近に見える。
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