昨年の晩秋に蒔いたエンドウ豆が、枝を伸ばし花をつけた。支柱を立て、枝を上に伸びるように紐で支柱に結ぶ。いよいよ、春野菜の苗を植えるための準備が始まった。耕した土に堆肥を施し、畝つくりを少しづつ始める。伸び始めたニラは、少しづつ収穫して日々の食卓に登る。冬の間、忘れてしまっていた新鮮野菜の、甘い味を取り戻しはじめた。今年の楽しみは、去年植えたアシタバの株が成長したことだ。心配した冬を越し、新芽を霜に痛めつけながらも、初夏の陽気に元気な若葉を伸ばし始めている。
豌豆の咲く土ぬくく小雨やむ 飯田 蛇笏
血液中の鉄分不足で、疲れを感じる体にはニラレバがいい。春は体がこの食べ物を自然に欲しがる。これを食べた翌日には、昨日の疲れが忘れたようにシャンとなる。朝の豆腐の味噌汁に、豆腐が浮上ったころ、刻んだニラを一握り入れて、煮立ちばなに七味をふって食べる方法を教えてくれるのは、辰巳浜子の『料理歳時記』。この本はいつまでも古びることなく、旬の食べ物をおいしく食べる方法がたくさんあって手放せない。