鉄線
2017年05月17日 | 花
鉄線は中国から渡来した花だが、江戸の町にすっかり定着した。どの家のでも、鉄線の蔓が垣根を覆い隠すように伸びて花を咲かせいた。その様子を屏風絵に描いて、室内で楽しむのも江戸の趣味であった。正岡子規も病床に臥して、鉢植えの鉄線の花を眺めながら、気を癒す毎日であった。
照りはゆる牡丹の花のかたはらにあはれに見ゆる鉄線の花 子規
妻の母の介護を担当していたケアマネは、スマホで庭の写真を撮るのを趣味としていた。老人のいる家の庭には、初夏にツツジやシャクヤク、そして鉄線が咲いている。その写真の見ながら、やさしい心を保とうする、ひとつの工夫であったかも知れない。