常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

笙ヶ岳

2018年08月05日 | 登山

笙ヶ岳、山の名にしてはしゃれている。

笙は本来、竹の笛を意味する。この峰を

吹き渡る風が、笛の音を奏でるという意

味あいであろうか。

笙ヶ岳は、標高1635m。鳥海山の外輪

山と位置付けられている。長井政太郎先

生の『山形県地誌』によれば、鳥海山を

コニーデ型複式火山であるとし、西方に

ある西鳥海(笙ヶ岳)の肩に噴火したも

のと記している。この西鳥海に対し、新

山を含む鳥海山を東鳥海山と呼んでいる。

 

朝、5時に出発して大平の登山口に到着

したのが8時。登山口には、地元小学校

6年生と父兄の登山教室100名ほどの団

体がいた。本日の参加者は6名、内男性

2名。標高1000mの地点からの大平コー

スは道がきっちりと整備されて、登りや

すい。小学生たちと、抜きつ抜かれつ、

にぎやかな山歩きになった。小さい子か

ら、「頑張ってください!」と声をかけ

られると少し複雑な気持ちになる。

1時間ほどで見晴らし台に着く。西を見

れば、青い日本海がまじかに見える。象

潟、酒田北港などの高台からの展望も良

好、海風に吹かれているようで心地よい。

本日も快晴、下界では今日も35℃ちかく

まで上昇するらしい。

河原宿で小学校の団体に別れ、長坂道の尾

根道に出れば視界が、一気に開ける。鋭い

鳥海山火口の岩峰がが間近に迫り、そこを

取り巻く山々や草原がのびやかな景観を見

せている。

一方、三峰、二峰から目指す笙ヶ岳へは、

登山道がくっきりと見え、路傍にはニッコ

ウキスゲ、チングルマ、ハクサンフウロな

ど高山の花々の群落が目をなごませてくれ

る。夏休みに加え、週末とあって、たくさ

んの登山を楽しむ人々との出会いがあった。

やはり、こんなに涼風にふかれた楽しい山

歩きは、大勢の人たちと喜びを共有した方

が愉快だ。

11時40分、頂上に着く。三角点はある

ものの山名を記した標識はない。火口部

分だけを見せる鳥海山をバックに記念撮

影と昼食。暖かい夏を楽しむようにたく

さんのアゲハチョウが乱舞している。よ

く見てもアサギマダラは見つからない。

明治の俳人河東碧梧桐の紀行『三千里』

に鳥海山が記されている。

「鳥海山は何等目に遮るものもなく

 ほとんど赤裸々に見える。袖が浦

 という海辺などに出ると、手に取 

 るように近い。稲村岳も生か岳も

 鳥海山の瘤のように見えて、その

 裾は大師岬となって直に波に迫っ

 ておる。」

生が岳とは原文のままだが、笙ヶ岳

を指しているに違いない。

いま、我々は、こんな風に見えてい

る鳥海山の真ん中にいて弁当を広げ

ている。

河原宿から長坂道へ至る道で、ニッコウキ

スゲが咲いていた。もう花も終わりかと、

いう予想を覆して美しく咲いていた。

フデリンドウの濃紫が貴重。太陽に

向かって、花を開いているのを見る

のもめったにない。

夜空に星がきらめくように咲くチング

ルマ。下山するのが、惜しい時間帯で

ある。帰路、アポン西浜の温泉で汗を

流す。疲れた足の疲労がたちまち消え

ていく。

 

コメント
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